地殻変動と消えた遺跡
帰宅後、晩ご飯を食べた自分は早速ファンタジーフリーダムの世界にログインした。
夏休みの間は朝、昼が主なプレイ時間だったが、夏休みが終わり、学校が再開してからは、平日は朝と昼は学校の時間なり、夕方から夜にファンタジーフリーダムにプレイする生活スタンスになった…。
休みの日は朝からログインしたりしている、かなりゲームに日常が侵食されているが…まあ、ユリも似たような者だし…問題ないよな…?
「おかえりなさいレンナさん」
リスタート地点であるユリのマイホームでフェルが出迎えてくれる。
あの妖精のパーティから、ユリのマイホームではフェルの生活用品が増えていた、コップやお皿や椅子やテーブル、ミニチュアな個室と…。
コップやお皿、テーブルはフェアリーガーデンの妖精達の贈り物だが、ミニチュア個室は自分の自作だ。
レシピとかは無く、呪血鍛冶や細工スキル等のシステムサポートは受けられず、作るのに一週間かかってしまった。
材料や道具とかは作業風景記録していいなら出すよーとユリが準備してくれたが、定期的に作成作業を見られて結構恥ずかしかった…。
「ただいま、フェル…うん?」
視界端にメッセージが届く事を伝える、通知ボタンが点滅していた、ログアウト中に誰かがメッセージを飛ばしたのかな?
確認してみるとリーダーさんからのメッセージだった、お昼時間前に飛んできたメッセージみたいだ。
『落ち着いて聞いて欲しい、地魂の遺跡が地殻変動で消滅した』
「……………は?」
思わず変な声を上げる。
「どうしたんですか?レンナさん」
「地魂の遺跡が地殻変動で消滅した…」
「え!?待ってください!それってフェアリーガーデンに行けなくなるということですか!?」
フェアリーガーデンに行く為には転移魔法陣を使う必要がある、それがある地魂の遺跡が地殻変動で消えたとなると、フェアリーガーデンに行く手段を失ったと言うことだ…。
「落ち着いてくれフェル、まだメッセージの続きがある」
『現状新しく出来た遺跡の情報をかき集めるから、楽に行ける転移魔法陣を見つけたらまた連絡する』
「リーダーさんが新たな転移魔法陣を見つけたら、連絡してくれるって」
リーダーさんの情報網ならば、すぐに見つけてきそうだ、それに前にナンバークエストで他に移動方法があるっぽいからな…見つからなかったらそこら辺を探すのもいいな…。
「早く見つかって欲しいですね…」
「まあ、フェアリーガーデンが大変な事になってるとかじゃなくてよかった」
フェアリーガーデンが滅びの危機になってたら泣く、大嫌いな虫と相打ちになって、殆ど取り戻したと言っても、色々と代償を支払って平和になったのなら、10年位平和で居て欲しい…。
それよりも地殻変動…ファンタジーフリーダムをプレイして二日目だったけ?その時でもあったよな…?
確か地殻変動でなくなったダンジョンの入口に宝箱が設置されてたよな…ちょっと探してみるか。
「フェル、ちょっと出かけよう」
「はい、ついていきます!」
ジャケットの胸ポケットにフェルが入ってくる、それを確認してから地魂の遺跡があった所に向かった。
ちょくちょく襲いかかってくる敵を倒しつつ、地魂の遺跡にたどり着いたが、そこには宝箱はなく、変わらずに遺跡があったが…。
もっともその遺跡は地魂の遺跡ではなかったが。
「なんか違いますね…」
「違うな、地魂の遺跡に光源とかなかったはずだし…」
地魂の遺跡は大きな石門と地下に続く階段と入口があって、入口を覗くと、暗くて光源が必要で、天井と地面が石製で、明らかに人工の手が入っているのがわかるが…。
今眼の前の遺跡は石門が無く、階段はあるが、遺跡内はなぜか明るく、光源が無くても問題なさそうだ、それにわかりにくいが地面と天井の石が少しばかり色が違う…。
「入ってみます?」
「入ってみるか…多分だけど難易度は地魂の遺跡と同じ位だと思うし…」
ツー街周辺のダンジョンだから問題ない…そう思って自分達はダンジョンの中に入っていった。