夏が終わり、秋の入口の月曜日
あの一夏の冒険を終えて、夏休みが終わるまで時間が過ぎた…妖精達のパーティが終わってから、夏休みが終わる間は、特に命を賭けた死闘や激戦はしなかった…。
いや、ナナサカさんに遊び感覚で、フェルのサポートありで決闘を誘われて戦ったが…それ以外は特に激しい戦いは無く、その結果レベルアップすること無く、のんびりと過ごしていた。
というかずっと目的を持って、それをこなす事を最優先で動いていた為、フェアリーパーティ後の冒険は目的もなくなり、緩く最初の街周辺のエリアをメインに冒険していた。
最初の街周辺でも絶景スポットがあるとリーダーさんに教えて貰い、巡っていたのだ、最初の街周辺エリアだと敵も弱いお陰で安全に冒険…?ピクニックしていたのだ。
それに現実で家族で旅行に行ったり、現実で鍛冶屋の修行で、あんまりファンタジーフリーダムをプレイできてなかったのだ…。
夏休みの前半はファンタジーフリーダムで遊びまくったからな、後半でそのツケを払う…と言うには少しおかしいが、前半にゲームを優先していたので夏休みの後半は現実を優先することになったという事だ…。
ゲームばかりしていると親の眼もあるからな…説教は勘弁だ。
そんな秋に差し掛かったある日。
月曜日の学校の放課後、自分はTT…高田に話しかけられた。
「なあ錬那、ファイブの街が開放されて、レベルキャップが50まで開放されたからファイブの街に行こうぜ!」
「え、やだよというかそもそも自分はフォー街にもたどり着いてないぞ?」
そそくさと帰る準備をする、というかレベルキャップ開放されたのか…別にレベル上限には全く届いてないので、自分への影響はほぼ無い。
「なんで35レベル以上なのにフォー街に行かないんだよ!?妖精のパーティで呼んでた、あの人達と一緒に行けば安全にボス倒せるだろ!?」
「だってまだ最初の街周辺のダンジョン見て回ってないし…それにあんまりリーダーさんやナナサカさんの力を借りすぎるのも、どうかと思ってな…」
実際あの2人の力を借りれば、余裕でフェルを守りながらフォー街に行けるだろうが…フォー街に行く目標も目的も無いのだ。
「かなりのんびりプレイだな…」
「まあ、フェルの故郷を救ったからな、これ以上無茶する必要もない…」
フェルは平和になった後も、ユリのマイホームで暮らしている。
自分と会いやすいように、またフェアリーガーデンに行きやすいようにとの事だった…。
自分…レンナが妖精の血を持っているので、別に一人でもフェアリーガーデンに行く事は出来るのだが、毎回迎えに行く為の往復は大変なので、ユリのマイホームで生活してもらっている…。
妹の友奈、ユリも快諾してくれた…というかまじでユリには頭が上がらなくなってきたな…。
真面目に強い武器を作ってオークションで流して、大金を稼いで自分用のマイホームを買うべきか…工房といい借り物が多すぎる…。
「お前は目標が無いと、あの爆発的強行軍な行動力を出せないのか…」
「別に強くなる事やすごい武器を作ることが目標ではないからな、強さもフェルを守れる位には強くなったし」
「はー甘いな錬那、オンラインゲームの世界はダンダンインフレしていくんだ、のんびりしていたら、いざという時にフェルを守れなくなるぞ!」
ビシリと指をさす高田…。
「忠告感謝するよ、でも自分は自分のスペースでのんびりやるさ」
それにレベルてそうポンポン上げられるものではないはずだ、高田はリオアの追っかけでファンタジーフリーダムを始めたらしいが、今じゃ自分に追いつかれている…。
ただモンスターを狩るだけでは効率的にレベルアップは難しいだろう?たしかナンバークエストに関わるのが手っ取り早いレベルアップの近道だっけ…。
だけど自分のナンバークエストはほぼ終わった、フェルは元気で故郷も平和になった…流石に一ヶ月足らずでフェアリーガーデンが新たな危機状態に…なんてことが起きたら個人的に泣きたくなるわ…。
フェアリーガーデンを平和にするのにどれだけ苦難したか思い出したくもない。
そんな事を片隅で考えながら、自分は高田と一緒にゲームや勉強の話をしつつ、家に帰宅した。