おまけ、妹とフェル
「はあああああーー!なんで気付かないのかなーーー!」
時刻はフェアリーパーティが終わった夜、バーダークムーンにてリオアはリンゴジュースを一気飲みしていた。
「レンナさんは変な所で鈍感ですよね…」
「オールモスキート戦はまあ、死闘で振り向く余裕がなかっと言えば仕方ないとしても、流石にフェアリーパーティの時はなんで気付かないのー!?」
「お客様、店内で騒音はご遠慮ください」
バーテンダーがリオアを注意する。
「いいじゃん、今ここにはアイドルと妖精とバーテンダーの3人しか居ないんだから!」
「リオア落ち着いて…それよりも珍しいですね、貴女が私をお出かけに誘うなんて…」
「今まではレンナに遠慮してたからねー…まあ、今回は遠慮しない!レンナは燃え尽きて、力尽きているし!」
「その言い方だと死んだみたいです…死んでませんよね?」
因みにレンナは立て続けに発生した死闘で脳が疲れ果てて、現実の世界で眠りに落ちているのでここには居ない、決して力尽きて死んでる訳では無い。
余談だが、フェアリーパーティを終えて、レンナはリーダーさんに平和になった後のフェアリーガーデンに他のプレイヤーが妖精門の鍵を手に入れて入ってくる可能性はあるのかな?と相談した所。
リーダーさんの返答はトラブルが無い所ではナンバークエストが起きない可能性が高いので、基本的に無いとの事だった…。
それを聞いたレンナはフェアリーガーデンが平和になり続けるんだなと、大きく安心して、死闘の疲れも相まって、ぐっすりと眠っているだろう。
「本当なんでおかしいと思わなかったんだろう?私がフェアリーガーデンにいる状況はかなり異質なのに…」
「れ、レンナさんも疲れ切っていたんです…」
フェアリーガーデンに行く為には妖精と妖精門の鍵が必要だ…。
当然だがリオアは妖精門の鍵は持っていないし、レンナのように妖精の血を引いているわけでもない純粋な人間だ。
じゃあリオアはどうやってフェアリーガーデンにたどり着いた?ユリに召喚された?
いや、ユリは召喚術は持っていないし、レンナが使っていた切り札、ゼロオーダーの呼札でも短時間しか召喚出来ないし、リダでも作るのに難色を示す物をただのパーティに使う訳にもいかない。
「はー…いっそのこと盛大なドッキリ企画でも仕掛けようかな?」
「何をするつもりなんですか…?」
「クイズゲームでユリ、リオア、フェルの声だけを聞いて貴方の血のつながった妹の声はどれ?当たれば大金、外れれば………女装でもしてもらおうかな?」
「…え、私もやるんですか!?」
「大丈夫よ、声だけ借りる感じにするから、フェルに負担はかけないわよ、ハズレた場合の女装どうしようかしら?」
「………リオアのアイドル衣装とかどうでしょう?」
フェルもなんだかんだ乗る気だった…。
「服はリーダーに頼めば作ってくれるし…まだまだ気付かないようなら頃合いをみて仕掛けてみようかな?」
「………そうなる前に気づくと良いですね…」
「ここまでやってバレてない時点で口で直接言って、バラさない限りバレない気がするけどね、あのお兄ちゃんは…」
「口で言ってバラさないんですか?」
「長年隠してきたからね…どうせ自分の口でバラすなら派手にバラしたいの…その為にオールモスキート戦の時に撮影ドローンとか色々と準備していたけど…こっち見なかったせいで色々と頓挫しちゃったけどね…」
そうため息をつくリオアの腰にはレンナとフェルの初めて作った武器、レンフェルソードがバーの照明の光を反射して煌めいていた。