シャベルを製造する下準備
リーダーから貰ったシャベルのレシピを見る、レシピには必要素材が書いてあった。
『シャベル製造時の最低要求素材
取っ手、金属インゴット素材×1
柄、木製素材もしくは金属インゴット素材×1
刃先、金属素材×1』
「地の結晶て宝石?金属?」
「地の結晶は両方の特性を持っているから、刃先に使うことをおすすめするよ」
「なら柄は鉄、取っ手は銀にしようかな…」
せっかくファンタジー世界なら、非現実的な素材を使いたいが、低レベルの自分では鉄と銀しか取れなかった。
「刃先が高レアリティなのに、柄と取っ手が低レアリティはもったいないな、どうせなら高級素材だけを使ったシャベルを作ったらどうだ?素材や金が無いなら、ユリのツケにして融通してやろう」
「いや、流石に勝手に妹にツケを被せるほど落ちぶれたくないぞ!?あの子はちょっと、この世界ではっちゃけてるだけだけど、現実だと、クールでおしとやかな子だからね!」
「おしとやか……?ぷ、あはははははは、あれが、あれが、おしとやか…あははははは!!ありえねえー!あははは!」
そういうとリーダーさんは爆笑する、そこまで笑う事か?ここまで来ると、この世界の妹の活動が気になってくるよ…。
「ははは…すまない、久しぶりの大爆笑させてもらったよ…まあ、今回はお近づきの印にこのミスリルのインゴットと白銀インゴットをあげよう」
「い、いいのか?」
なんか裏があるのか、怪しんでしまう…。
「いいよ、それに鉄と銀は鉱石なんだろう?インゴットにしてないのなら、シャベル作りには使えないぞ、早く初期装備を卒業したいんだろ?先輩の優しさは受け取っておくべきだぞ」
「わ、わかった、リーダーさんのご厚意を受け取らせてもらいます、早く強くなって、フェルを守れるようになりたいからな」
押し切られる感じで2つのインゴットを受け取る、ずしりと重く、これ今持ってるハンマーで加工出来る?という考えが湧き上がる。
「なあ、このインゴットて、このハンマーで加工できるのか?」
「そのハンマーはユリが注文して買ったやつか、それなら加工できるよ、結構良い素材を使って、低レベルでも装備できるようにした上質ハンマーだよ、まあ、より上位の素材となるとハンマーを新しくする必要があるけどね」
なるほどユリも結構考えて、用意してたんだな。
「後必要なのは燃料になる木材か魔力だな、昨日はユリが魔力で火を起こしていたけど、レンナさんはMPて300以上ある?もしくは大量の木材か高レアリティの木材」
「全部無いです」
「私の魔力は火属性に向いてないので力になれそうにないです」
やべ、色々と準備が不十分過ぎたか、というかフェルは火属性と相性悪いのか…。
「む、なら回復支援は出来なくなるが、燃料の魔力を提供しよう」
「い、色々とお手数おかけします…」
初心者故の知識や準備不足が露呈しているな…。
だがリーダーさんの助力のお陰でなんとか制作に移れそうだ。
「あ、あともう一つ頼み事を頼むことになって、申し訳ないが、もしもまた消えたら、街の入口に居ますのでフェルと一緒に合流お願いしていいですか?」
「………ああ、そうか前回と同じことがあった場合は、そこの妖精とレンナさんを会わせればいいんだね、わかったよ」
あって間もない人にお願い事するのはちょっと不安だけど、要は倒れなければいいよね…頑張って倒れないようにしよう。