妖精達への再会
結界があった場所が目視出来る範囲にまでたどり着いたのだが…。
結界が見当たらないのだ…平和になって消したのかな?
辺りを見渡すと花畑で遊んでた妖精達とガッツリ目があった。
「え!?メシアだー!?」
「ねぇねぇこの花畑はレンナのおかげー?」
「早くフェルの所に迎えなのー!フェルがおかしいのー!」
「フェルのお母さんカンカンだよー!?先に謝ったほうがいいのではー!?」
妖精達が自分の周辺に集まったと思えば背中を押されて移動を余儀なくされる。
「な、なにがあったんだ!?」
「まずはあってみてー!」
「フェルの記憶がなくなったのー!」
「メシアならなんとか出来るんじゃない?」
「もっと早く動いてー!」
話を聞こうにとよくわからない…。
殆ど時間かけずに戻って来た為、感動の再開………という訳にはまったくならず、自分はフェルのお母さんの眼の前まで妖精達に背中を押された。
「ああ、レンナさん…ひとまず良かった、生きていたのね…」
「ごめんなさい、少しトラブルに巻き込まれてしまって、再びこの地に入るのに手こずっていました…えーとフェルは大丈夫ですか…?えっと記憶欠落とか……」
そう聞くとフェルのお母さんは険しい顔になる…。
「その感じだとフェルが変になっている原因を知っているみたいね…あの子、一人で帰ってきて、貴方の事を聞いたら誰?というし、なんで私はここに?どうして花畑が元に戻っているの?と所々会話が成立しないし、困っていたのよ、レンナさん教えてくれるよね…?」
「はい、えーと、最初に言っておきます、フェルの記憶の欠落に関しては、既に解決策はありますし、手元にありますので落ち着いて聞いてくださいね?」
そう前置きを言ってからオールモスキートを倒した後の事を話す…。
禁忌の力でフェルの記憶と自分の力の1部を犠牲に全ての虫を消して、虫に食われて荒野だった土地を花畑に戻した事を説明した…勿論キスしたとかそういうのは伏せる…。
その間ずっとフェルのお母さんの表情の変化がない為、めっちゃ怖い…。
「話はわかりました…それがフェルの様子がおかしい理由ですか」
「えっと、そのごめんなさい、フェルの記憶を消してしまって……」
頭を下げて謝るが恐怖で上手く謝罪を言葉にして謝れた自信はない…というかはっきり言って仲間の怒りを買う位ならオールモスキートと戦わされたほうがマシだと思えてきた…。
「……怒ってませんよ、レンナさんが好んでフェルの記憶を消すとは思えませんし、フェルも覚悟を持って選んだと思いますし、そんな怯えないでください…」
「ご、ごめんなさい…」
「………フェルは気晴らししたいと、そこの丘に居るわ…気をつけてね、貴方も知っているけど、今のフェルは貴方の事を忘れているし、今のあの子は記憶を失って、とても臆病になっているからね」
「わかりました、それでは行ってきます…」
フェルのお母さんに別れを告げて言われた丘へ向かおうとしたら一人の妖精…メーチャに止められた。
「良かった、てっきり死んだと思っていたけど、生きていてるじゃん」
「まあ、一旦死んだような者だが…なんのようだ?診察なら受けたいけど急いでるし、フェルに会いたいから後にして欲しいけど…」
「む、その診察するつもりだったし、他にも伝える事があるけど、フェルに会いに行くなら後で知らせるじゃん」
メーチャに分かれを告げて再び丘に向かって走り始める、そう言えば他にも伝える事があるて何だったのだろう、まあいいや後々わかるだろう。
歩きから駆け足、駆け足からダッシュと自然と足のスピードは早くなり、あっという間に丘まで辿り着いたんだけど、フェルの姿は見当たらない…。
「指輪よ、教えてくれ…フェルの居場所を…」
左手の人差し指に装備している指輪の力、場所共有の力を使うと割と近い位置にフェルが居る事を知れた…。
「こっちか?」
指輪の力に導かれて、歩いていくと自分は水色のカンパニュラ・メリーベルの花畑の中心で空中で漂っているフェルを見つけることが出来た。
分かれた時と変わらずコートを着たままだ。