二刀流対二刀流
二刀流になった、操られたナナサカさんが斬りかかってくる!
「二刀流戦は想定してない!」
アースキーと火光で迎えうつが、散々切られた攻撃が2つになると一気に対応が難しくなる。
「ぐぅ…」
ナナサカさんの片方の刀が肩に突き刺さる。
補助魔法で持続回復していたHPバーがゴリッと残り1割まで減る…。
「お兄ちゃん!リジェネエール!」
「だあああ!」
アースキーと火光を使いナナサカさんに攻撃するが、バックステップで回避されてしまった。
「くう…いってぇ……」
じわじわとHPバーは回復しているが、もう少し深くバッサリ斬られてたら、リーダーさんが残したファイナルターミナルが発動してしまうな…。
不屈は発動するかわからない以上、あれは確定で発動する最後の命綱だ、そう簡単に切らせるわけにはいかない!
「ブレードブーメラン!」
ユリがレンフェルソードを投げて、ナナサカさんを牽制してくれる。
可能なら薬を飲んで回復したいが、敵はこちらを斬らんとすぐに接近してくる!持続回復でHPバーは3割までしか回復していないが、戦うしか無い!
「地門!火の刃風の刃!」
大地の針と火の斬撃で攻撃するがナナサカさんの十文字の斬撃で全て粉砕される!
「ニィ目閉じ後ろ飛び!」
ユリの圧縮言語反応して、目を閉じてバックステップする。
言葉が圧縮されなかった場合は、お兄ちゃん目を閉じてバックステップして!だろう、そんな事が頭を過った瞬間、瞼を貫通して眼の前が真っ白になる、これは閃光手榴弾でも投げたのか!?
目を開くとナナサカさんは斬りかかって来ずに、2本の刀を腰につけてた鞘に納刀して、目を閉じている…うん、居合い切りでカウンターしてくる構えだ。
目を潰されても反撃出来るようしているんだな。
まあ、カウンターは総じて近寄らず、攻撃しなければ無用に時間がすぎる…。
つまり減ったHPを回復する隙になるのだ、持続回復効果でHPバーがあっという間に満タンなる、本当はもっと回復したいが、最大HPが低い以上、これ以上は回復出来ない。
今こそ妖精火門の使い時かもしれないが、ナナサカさんのカウンターがどんなチート効果があるかわからない為、カウンターを解くまで警戒する。
「お兄ちゃん、勝てる?」
「勝つぞ…ここまで来て負けてられるか!指輪に誓ったからな、クエストなんて無くてもフェルの記憶を取り戻すと…フェアリーウィッシュ…妖精の加護よ、力を貸してくれ…」
左手の嵌めた指輪がキラリと光った気がした…。
自分の声に反応したのか、ナナサカさんの体はカウンターの構えをやめて、斬りかかってきた!
「だりゃあ!」
刀とアースキーがぶつかり合う!だけど鍔迫り合いになったら押し負けるので、受け流す!
「そこまでの覚悟とはね、頑張れお兄ちゃん!その覚悟ならこれだね!ヒーローエールソング!」
ユリの歌声が響き渡る、それと同時にHPバーに新たな強化状態を示すアイコンが現れる…リオアと同じ歌って強化するのか!?
妹の歌声で強化されるてなんかこそばゆいんだが!?いや、そんな事を思っている暇はない!
「はあ!」
アースキーで攻撃を繰り出すが、ギインと、刀の一撃でアースキーは強く弾かれて、自分の体に大きな隙が生じる…やばいと思い、火光で守ろうとするが、1本の剣じゃ2本の刀からの攻撃は守りきれない。
せめて首を切り落とさんとする、一本の刀を防ぐが、もう一本の刀が、自分の胸に突き刺さり…体が吹き飛んだ!?
「ぐお!?」
バチャバチャ水辺の上を転がりつつもすぐさま起き上がる…。
ダメージはごく僅かにしか食らっていない…そう言えば、胸ポケットに確率でクリティカルガード機能がついていたか…あれに救われたのか?普通なら間違いなく、刀が心臓を貫いてたはずだ。
「キツイな…」
相手は何者か分からないけど、中身がAIなら精神的な疲れはないのだろう。
だけどこっちはずっと神経や集中力をフル稼働させていたが、限界を感じる、さっき刀で攻撃を弾かれたのがその証拠だと思う。
よくよく思えば、昨日は虫と死闘を繰り広げたんだ、それなのに今日はなにかに操られたナナサカさんの体と死闘をしている…。
連日の酷使で脳や精神が過労の悲鳴をあげてもおかしくない、そんな事を考えてたらナナサカさんはゆっくりと近付いてくる。
「はは、ナナサカさんの中身がナナサカさん本人だったら、何回死んでるのやら…」
半分挑発、半分疑問の言葉を吐いた時、声が聞こえた…。
「バインドを唱えて…」
「え!?」
自分でも操られたナナサカさんの声でもユリの声でもない、だけど左手の指輪が熱を帯びたのを感じ取る。
だがナナサカさんは驚きの声を隙と認識したのか刀で自分の体を斬らんと攻撃してくる!
「バインド!」
咄嗟に言葉を…いや魔法を唱えると、ナナサカさんの動きが魔力の鎖による拘束で僅かに止まる!
「そこだぁ!」
白兵戦闘において僅かな隙は致命傷!アースキーをナナサカさんの心臓部に深々と突き刺した!だが拘束から開放された刀の一撃がお腹のど真ん中に深々と突き刺さり、貫かれた…。
クロスカウンターというやつかよ…。