Errorの先には…
たどり着いた所は花畑ではなく、雲が少しある程度で太陽がないが明るい青空、地面は所々白くなっているが、地面の大半は空や自分自身を映す鏡のように、浅い水辺のようになっている。
はっきり言って、絶景の領域だが、楽しむ気分にはなれない、エラーが出てからのワープだからな…。
「おー!?ここがフェアリーガーデン?庭というか創作の聖地であるあの塩湖に似てるけど」
「いや、違うよ!?こんな所じゃないよ!?」
背後から聞こえたユリの言葉を否定する、フェアリーガーデンは、禁忌の力で不毛の地だった荒野は花畑に変わっているはずだ、仮にそうじゃなくても、こんな大地ではないはずだ!?
後ろを振り向くと、辺りを楽しげに見渡すユリと口を引き攣らせて、武器を取り出しているリーダーさんがいた。
「折檻空間…あーそういう事か、考えが足りてなかった…すまん、2人共戦いの準備をしてくれ…確実に言えるのは本気で戦わないと、フェルに2度あえなくなるぞ!」
リーダーさんの言葉で、ユリは素早くレンフェルソードを取り出して戦闘姿勢に入る。
「ど、どういう事?リーダーさん?」
「これはナナサカに聞いたんだが、バグやグリッチ、外部ソフトを使ったチート等で悪事を行った際は神々に罰されると…その時にはとある空間に送られるんだが、その空間の特徴がここと一致しているんだ」
「待ってくれ!それだとおかしくないか、自分達は何も悪い事してないよ!?」
もしかして、リーダーさんがチート級に強くて誤検知とかじゃないのか!?
「……多分だけどレンナさんが禁忌で払った代償を取り戻せる手段が揃った結果ここに送られたんだと思う、その…薬が結構ルール的にグレーの作り方したから…多分そこで引っかかった…かも?気をつけてくれレンナさん、多分死んだら、薬落とす可能性がある…」
「リーダーさん!?」
グレーの作り方てなに!?怖くて聞けないよ!?
「でもこう喋っていても、敵も天罰も降ってこないけど、本当に折檻空間てやつなの?リーダー?」
ユリが相変わらず辺りを警戒して見渡しているが、確かに自分達3人以外何も見当たらない。
「わからん、俺だって噂で聞くことはあっても遭遇する事は初めてだ、もしかしたらナンバークエストの続きだったりとか違う可能性もあるから困る、ファイナルターミナル、オールブースター!」
リーダーは周囲を警戒しながらも自分達に死亡を防ぐ魔法と補助魔法をかける、フェルがいない現状ありがたい。
そう思っていると、なにもない空間に光の一閃が走ったと思ったら、なにか丸いゲートのような…なにかが現れて、ゲートの中からなにかが現れた…え!?
「ナナサカさん!?」
ゲートから現れたのは仰仰しい鎧を着たナナサカさんだった、そう言えば夏イベントフィールド以外で初めて会ったかも、でもなんか雰囲気が怖い…生気を感じないといえば良いのかな?
「違う、レンナさん!ナナサカは今ログインしていない!」
「「はあ!?」」
リーダーの言葉に兄妹の言葉が重なる。
リーダーさんの眼の前にはシステム画面が出ている、フレンド一覧でナナサカさんのログイン状態を確認したのだろう。
「じゃあ、あれはなんなのリーダー!?コピー!?」
「いや、鎧以外の装備とステータスはナナサカそのものだ、あいつログアウト中にたまにAIコンピューターに体を勝手に使われると言ってたが、そういうことかよ!?」
鎧以外はナナサカさんそのもの?どういう事なの!?
「危険指数2、強者の力を借り、禁忌の代償を取り返さんとするものよ、代償を取り返したければ力を示せ」
刀を構えるナナサカさんの口から、人が絶対出せないような機械音みたいな声が響き渡る、それがナナサカさんではない違う誰かが動かしている事を強調している。
どう見ても戦いは避けられない、アースキーを取り出して構える。
「うん?薬の製法が引っかかった訳じゃなくて、禁忌の代償を取り戻そうとしているから試練としてここに飛ばされたのか?あーくそ、ナナサカからもっと具体的な内容聞いとけば良かった!」
「リダ!大好きな考察は後にして!中身なしとはいえ、あれ相手だと下手したら全滅するわよ、バトルダンススタンス!」
ユリもレンフェルソードを構えた瞬間、ナナサカさんの体が襲いかかってきた!