血で繋ぐ可能性
「これは…薬なのか?」
鑑定眼を使うが、鑑定はしたが失敗した。
見た目は薬局でよく売っている薬瓶の中に、ひと粒だけ赤い球体の薬が入っている、でも大きくないか?妖精の体で考えるなら飲むのに一苦労だぞ…?
「ああ、フェルの血を元に作った記憶触媒といえばいいのかな、それをフェルに飲ませればレンナさんの事を思い出せるとはずだ、欠点はレンナさんとフェルさんが会ってから、決闘バカの刀を修理して、俺がフェルさんに魔法を教えた辺りしか思い出せないようになっているけど、まあ大半を思い出せば、レンナさんが教えれば十分なはずだ、名前はフェル用の記憶の薬だ、1つしかないからなくすなよ?無くしたら、二度と作れないからな」
なにそれ凄い…名前そのままだが……て、フェルの血?
「いつの間にかフェルの血を手に入れたの!?!?」
「魔法を教える際に研究の為に血を頂戴とお願いしたら貰えた」
…フェルの立場的に断りづらいやつじゃん、何やってるのリーダー…いや今回の状況的に助かったと言えば良いのかな?
大切に薬を胸ポケットにしまう。
「所でフェルの元に行く手段はあるの?お兄ちゃん?」
「…それを確かめる為に、一回地魂の遺跡に行ってみようかなと思う」
転移魔法陣がある地魂の遺跡に行った所でフェアリーガーデンに行ける可能性は低いが、かつて妖精の血を纏っていた自分の血を取り込んだから、僅かに使える可能性がある…たから念の為に確認しておきたい。
「あ、それなら私も行くよ、お兄ちゃん」
「暇だし、俺もついていく、今はナンバークエストも受けてないんだろ?今なら俺達も平和になったフェアリーガーデンに行けるはずだ」
2人がパーティ参加申請をしてくる。
「まあ、2人が来てくれるなら戦闘が楽になるからありがたいけど、フェアリーガーデンに行ける保証はないからな?」
パーティ申請を受理して、自分のHPバーの下に2人のHPバーが現れる。
「よし、それじゃあ早速行こう!お兄ちゃん、リーダー!」
「準備は…まあ、いいか、地魂の遺跡なら最悪素手でも問題ないか」
やる気満々の2人…リーダーさんは魔法使いだから素手でもどうにでもなりそうだな…。
こうして3人で地魂の遺跡に向かう…自分1人でも問題ないのに、ナナサカさんと同レベルのリーダーさんと自分より高レベルのユリが同行となるともはや道中にトラブルなんて起きようがなかった…。
リーダーさんの魔法の力か、敵と戦うこと無く地魂の遺跡の最奥にたどり着く。
「ここ初めて来た気がする」
「まあ、他に経験値効率良い所は多いし、対応クエスト少ないからな…レンナさん、早速使えるか試してみて」
リーダーに促されて、火光片手に転移魔法陣の上に立つ。
『現在妖精門の鍵と妖精の組み合わせでフェアリーガーデンに転移可能です…目的地に設定しますか?現在このフィールドはリスタート地点の設定が出来ません。
ハイならば鍵を地面に刺してください』
「つ、使える!」
「へーお兄ちゃんの話では使える可能性が低いと言ってたけどなんとかなるんだね」
「あ、MPは俺が払うよ、MPならあまってるからな…何時でも鍵を使ってくれ」
2人が転移魔法陣の中に入ってくる、何時もはフェルと2人で飛んでたからちょっと新鮮だ。
「それじゃあフェアリーガーデンへ!」
火光を地面に突き刺して転移を開始する。
『ErrorError』
眼の前に真っ赤なメッセージ画面が現れて視界にノイズが走る!
「なにこれ!?」
「お兄ちゃんなにしたの!?眼の前がノイズだらけ!?」
「あー…これはヤバいやつだ…」
どうやら2人の視界にも、ノイズが走っているみたいだ…。
ノイズはドンドン酷くなり、また周囲にErrorのシステム画面が増え始め、眼の前が見えなくなった。
そうして視界が正常に戻った時には、地魂の遺跡でもフェアリーガーデンでもなく、全く知らぬ所に立っていた。