表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
232/626

誓い

「大丈夫、確かに記憶を失うかもしれないけど…思い出せる、取り戻せる可能性はゼロじゃない、ナナサカさんやリーダーさんに聞けばきっと手がかりが見つかるはずだ…」


ああ、やだな…こういう時位は、誰の力も借りずにフェルを安心させたかったな…。


「………」


フェルは何も言わず、ただ自分を抱きしめて、自分の胸に顔をくっつけている…顔が見れないけど泣いているのか…?


もう、頭の中も心も正常でまともな判断が出来ないくらいに、グチャグチャだ…いやそれはフェルもそうだろう、頑張って言葉を紡ぐ。


「フェル…自分はフェルの事が好きだ、だからこそ死んでほしくないし、自分の記憶を失って欲しくない…だけど両方取りするには、ネージュフラワーが壊れてて出来ない…だから確実に生き残れる選択をして欲しい」


「…………悔しいです、杖が無くても強い攻撃魔法が使えれば、こんな事なかったのかな…大好きなレンナさんの事を忘れる必要性があるなんて…」


フェルの抱きしめる力が強くなる、自分が死んでなければきっとここから出た時にたどり着くのはユリのマイホームではなく、フェルと同じ場所だったはずだ。


そうだったら守れたはずだ、そう思うと何度悔やんでも悔やみきれない、でもこうなった以上、こうするしかない…はずだ。


「…約束しようフェル」

「約束…?」

「必ず迎えに行くと…そして禁忌報酬で失ったフェルの記憶を取り戻すと…自分はこの指輪に誓う」


抱きしめるのを止めて、自分の左人差し指に装着している指輪を見せる、フェルはそれを見てフェル自身の左手の薬指に装着している指輪をみる、そうだ2人で作った妖精と鍛冶屋の指輪だ。


「記憶を失っても物は消えないんですよね?」

「そのはずだ」


でも記憶失った場合、装備とか持ち物とかの認識はどうなるんだろうか?


「それなら…レンナさん、この指輪をレンナさんの手で私の指に嵌めてくれませんか?」


フェルはそう言うと指輪を外して、こちらに手渡してきた。


「わ、わかった…」


指輪を受け取る、この指輪を作った時のことを思い出す。


どの指に通すべきかはわかっているつもりだ。

自分はフェルの指輪を妖精にとってフェルの左人差し指に通した、妖精にとって大切な誓いの指輪をする所に。


するとフェルの泣き顔はぎこちないながらも笑顔に変わった。


「ありがとうございます、レンナさん」


フェルはそう言うと再び抱きついてきて…。


唇に熱い感触が伝わった、それがキスと認識するのに数秒時間を要した、キスが何秒続いたかはわからない…1秒か30秒か…少なくとも言えるはこの一時の記憶は自分の記憶に強烈に焼き付いた。


「この記憶も忘れちゃうんですね…」

「そ、それでもお、思い出させるから…」


キスの衝撃で、色々と頭の中が吹き飛んだけど、フェルを元気づける。

すると頭上で鐘のような音が聞こえる。


「時間のようですね…」

「な、時間制限あるのか!?」

「うん、そう書いてあったよ…後1分で元の場所に戻るはずだよ、レンナさんは制限時間が無いて、書いてありました」


まじか、さっきフェルが見ていた画面はそういった情報もあったのか!?


「フェル!これを飲んで」


そう言ってMP回復薬を渡す。


「……私のレンナさんの記憶を代償に虫を全部消滅させるのに、魔力の薬を飲む必要はないよ、それにここに来た時に、何故か魔力は満タンになりました」


そう言いつつも、MP回復薬を受け取るフェル。


「あ、そのすまん…」

「謝らないでください…記憶はなんとかしてくれるんですよね、それにすぐにまた会えるんですよね?」

「あ、ああ…」


実際、記憶を取り戻すなんて事が可能かわからない…完全なでまかせだ、それでも今はそう言うしか無い…そうじゃないと、笑顔で別れられないから…。


「それじゃあまたね、大好きだよ、レンナさん」

「ああ、またなフェル…俺も大好きだ」


そう言葉を交わした瞬間、フェルはこの場所から消えた、それと同時に自分は選択した。


ピ!


『禁忌報酬の1:フェルのレンナ関連の記憶を代償にフェアリーガーデンの虫を全て消滅が選択されました』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] あぁ、やっちゃったか…。あとは二人の絆を信じるしかないか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ