地は巡る
「はあ、はあ…取り敢えずユリに連絡しよう」
洞窟から脱出して、洞窟が見える程度に距離を取る、辺りを見渡すと、遠い草原で未だ続く地震に警戒する他の人達などがみえる。
『ねぇユリ!なかずと地震続くてれけど何が起きてるけわかれ!?』
やばい、揺れでメッセージの入力が上手く行かない…けど妹なら理解してくれると思い、誤字脱字のメッセージを送信する。
『こっちは地震起きてないからわかんないよ、可能性として考えるなら、レンナのいるエリア内で、誰かが広範囲に影響を及ぼす数字クエストを発動させたとかかも?少なくとも街に戻れば、巻き込まれたりはしないはずだよ?』
すると、凄い速度で返信が飛んできた…流石ユリだ……なら選択する手段は一つ。
「街に戻ろうフェル、こんな地震が続く状況は危険だ」
「は、はい、ゆ、揺れすぎてちょっと気持ち悪いです」
生憎こっちは低レベルかつ、死んだら終わりのフェルと行動している、生き返れるゲームだからといって、わざわざ危険に突っ込む事は出来ないし、したくもない。
街に向けて戻ろうとした時、強烈な揺れが足を襲い、立っていられなくなる。
胸ポケットにフェルが入っている為、前のめりに倒れるわけには行かず、体を傾けて、背中から倒れる、ゴン!と背中と頭を強打したが、ゲームだからか、軽い痛みはあっても、気絶とか出血とかはしなかった。
HPバーは削れたが…。
「大丈夫ですか?レンナさん!?」
「な、なんとか…フェルが怪我なくて良かった、それよりも地震が終わった?」
何だったんだろうか?あの地震は…?化け物の封印でも解けたのか?そう思っていたら、システム画面が現れた。
『エレインが発動させたクエストの影響で、貴方がいるエリアで地殻変動が起こりました、一部の洞窟系のダンジョンが崩落して、新たな洞窟系のダンジョンが生まれました、また崩壊した洞窟ダンジョンの入口には宝箱が設置されました』
バッとさっきまで入っていた洞窟を確認する…そこには洞窟がなく、宝箱が一つぽつんとおいてあるだけだった。
「ど、洞窟がなくなっています…中に居たらどうなっていたんですかね…ゾッとします…」
「だ、大丈夫…仮にそうなったとしても、フェルの事は何とか助けるから…」
怖がるフェルを元気づける、これ他者のクエストで殺されかけたのか、しかもこれ崩壊したダンジョンに居たら、多分というかほぼ即死だよな…ゾッとする…何やらかしたエレイン…でも…。
「取り敢えず宝箱だ!」
不幸中の幸いというやつか、洞窟の間近にいたのは自分だけだったので、宝箱を開けることができた。
『宝箱をあけたレンナは地の結晶(特大)を手に入れた!』
なんか凄い希少そうな物が来たー!!
凄い!これなら強い武器作れるのでは!?
「よし、帰ろう、フェル!これで強い武器を作るぞ!」
「はい!作りましょう、レンナさん!」
終わりよければ全て良し、意気揚々と自分とフェルは街に戻っていった。
ついでに道中は、戦闘を避けて鑑定眼で使えそうな薬草などの植物を採取していった。