黒龍?TT?なんの龍?
「レンナさん、どうしましょう…このままお互い弱るまで見てますか?」
状況が状況なだけに、杖を構えつつも、攻撃はしないフェル…まあ、下手に攻撃して、両方の敵意がこちらに向くと最悪だからな…。
オプション設定の結果、黒龍の頭上に名前が表示されないということは、TTである可能性は極めて低いが…それならなぜ、こっちに一切攻撃を仕掛けないんだ?
黒龍がTTが操作してるならわかるが、違うならこちらも攻撃してくるはずだ。
それにずっと頭の中で引っかかるのが、このタイミングでTTのフレンドが謎に解除されて、TTから貰ったビーコンが消えた事だ、余りにもタイミングが露骨な感じがする。
TTが悪ふざけで、フレンドを解除するとは思えないし…。
「あの、どうしますか、レンナさん?もしかして龍になにかされました?」
「あ、いや…TTが黒龍になっている可能性があるから、どうすればいいのかなと…ほら、TTは龍の力を得たの知ってるだろ?」
「……………たった今知りましたよ?」
困惑のフェル…そう言えば、フェルはTTが龍の力を得る所に居なかった…基本ずっと一緒にいるから、あの時も居ると誤った記憶をしていた…。
「つまりあの龍は、TTさんなんですか?」
「わかんない…しっかりと見極める方法があると良いんだが…」
「見極める方法て、今まで通りに言葉は伝わらないんですか?」
「わかんない、意思疎通取れるなら、TTの性格的にすぐにしてくるはずなんだが…してこないということは、難しいかもしれない…?」
戦闘中に下手な手は使えない、MPが薬でほぼ満タンになったとはいえ、もしも黄金蜘蛛がこちらに意識を向けて、黒龍が味方じゃなければ三つ巴になる、そうなればかなり不味い…。
かと言ってこのまま黙っているわけにもいかない、撤退は…ここまで来て逃げる訳にはいかない。
もしも黒龍が負けて、黄金蜘蛛に食われたら黄金蜘蛛が手を付けられないくらいに強くなる可能性があるからな…。
「決めた、黒龍をサポートしよう…少なくとも知性はある筈だ、邪魔をしなければ敵対はしないはずだ」
「…わかりました、龍に攻撃を当てないように戦うんですね!」
方針を決める…はっきり言って、激戦後の急展開に超展開に頭が麻痺して、真っ当な判断が出来てるかは怪しいが、やるしかない!
「地門!」
「ライトニング!」
黄金蜘蛛に大地の針と雷が襲いかかる!
「隅っこで怯えてたと思ってたが邪魔するな!」
黄金蜘蛛は、地門やライトニングでダメージを負いつつも、こちらに向かって極太の蜘蛛の糸を撃ち出してくる、黒龍の鱗を溶かしていたからまともに食らうわけにはいかない、横に飛んで回避する。
自分達が攻撃されている間に、黒龍は黄金蜘蛛に火のブレスで攻撃する。
やはり黒龍は、こちらを攻撃する意思を感じない…自分の気の所為ではないはずだ…やっぱりTT?龍の関連知り合いなんて、TTしかいないが…。
というかTTなら、まずこちらに声をかけてくるはずだし…そう考えるとこの黒龍はなんなんだ?判断に困る!
「レンナさん、考えている暇はないですよ!」
「す、すまない!」
フェルの言葉で意識が戦闘に戻る、黄金蜘蛛は体の一部が焦げながらも、変わらず蜘蛛の糸を黒龍に撃ち出す、黒龍は体格がデカくて回避できずに、もろに蜘蛛の糸を浴びてどんどん鱗が溶けていく…。
だが蜘蛛の糸を浴びながらも、黒龍は体当たり攻撃を放ち、黒龍の大きさ的に黄金蜘蛛は回避できずに食らっていく…。
「モンスター同士の戦闘に巻き込まれるのは勘弁してくれよ…」
黄金蜘蛛の攻撃も黒龍の攻撃も見た感じ、喰らえばひとたまりもないのは想像しやすい…。
そして現状は黄金蜘蛛に近付いて攻撃ができないのだ、黄金蜘蛛に近づけば黒龍の攻撃にあたってしまいそうだ…故に地門で攻撃するしかない。
「地門!地門!地門!」
「ライトニング!」
「だあ!?なんだ?お前ら二匹は龍と知り合いなのか?」
3連続の大地の針に突かれながらも、黄金蜘蛛が叫ぶ。
黒龍が自分達を攻撃せず、自分達は黒龍を攻撃せずにいたからか黄金蜘蛛がそんな事を言い出した。
「そうだったらどうする?」
「ならお前ら二匹から殺す!」
黄金蜘蛛はこちらに狙いをつけて、再び極太の蜘蛛の糸を吐き出してくる!
「危な!」
蜘蛛の糸を全力で回避していると、黒龍は黄金蜘蛛にタックルして、黄金蜘蛛を吹き飛ばして壁に叩きつけた…。
大広間の来た時は大量の虫の卵があったが、二人がかりの妖精門から放たれたビームや天井の崩壊、黒龍の襲来、乱闘で虫の卵はもう全滅している。
虫の卵は破壊されると、赤いエフェクトを纏って消えていっているので、見た目的な負担はかなり楽になったが…。
現状戦場にいるのは、オールモスキートを捕食した、巨大な黄金蜘蛛とTT説?がある謎の黒龍だ、訳が分からなくて頭がパンクしそうだ。
早く終わってくれこの状況…。