新たな乱入者
妖精火門と妖精氷門の合体攻撃は、確かに効いている、じゃなきゃオールモスキートが全身ボロボロにはならない。
だが血を吸われたら、回復されてしまう!
そしてリーダーさんの声が聞こえない、姿も見えないのは…時間切れなのだろう、MPが回復するアイテムをぶつけてきたのが最後の支援なんだろう。
「離せ!」
「アイスニードル!」
「痛、嫌ですね、ごちそうを手放すバカは居ませんよ」
少し距離があるせいで、アースキーが硬いホースの口にしか届かないし、フェルの放った氷の針が刺さろうがお構い無しにオールモスキートは血を吸い始め、みるみるとHPゲージが減り始める。
吸われ続けるほどやばいのはわかっている、こうなったらまた大ダメージと引き換えに無理やりでも引き剥がそうと思った時、背後から見たことある剣が飛んできて、オールモスキートと衝突!オールモスキートを吹き飛ばした!
その衝撃で痛みと共に、オールモスキートの口が自分の体内から抜ける、その結果大ダメージを負ったが、吸い取り攻撃から開放された。
飛んできた剣はレンフェルソード…妹の為に最初に作った剣だった、剣はまるで糸が付いてるかのように一人でに自分の背後に飛んでいった。
「ユリ!助かった!」
「お兄ちゃん、サポートするよ!」
もうオールモスキートに不意打ちされないように振り向く事はせず、背後にいると思われる妹に声を掛ける、ユリもゼロオーダーの呼札の効果で助けに来てくれたのか!というかまだ効果残ってたんだな。
すると自分の周辺にドローンみたいなものが飛んできた。
なにこれ?と思うが、オールモスキートが起き上がったので、気にしないことにする、多分ユリのサポートだろうからな、放置しても不利にはならないはずだ。
「全く次の増援ですか…全く痛くないですし、それに戦力を一人づつ逐一投入とか、食事の邪魔をされてはイラッとしますね」
「は、増援に関してはお互い様だろう?」
にらみ合い、口で言い合いしているともう一人の声が聞こえた。
「みんなー!特別ゲリラライブを始めるよー☆」
背後からリオアの声が聞こえる、リオアも来てくれたのかよ…。
というかゲリラライブて1日1回しか使えないリオアの取っておきの支援スキルだよな?使ってくれたのは感謝しかない、皆と言ってるのはまあ、スキル発動的な都合なんだろうな。
「ただ歌を歌ってるだけじゃないですか…血はデザートとして美味しそうですが…まずはメインディッシュをいただきましょう」
「メインディッシュになるつもりはない!」
大ダメージはフェルのリジェネレートでだいたい回復したし、リオアの支援の歌による強化で、長期戦による精神的な疲れが取れた気がする。
アースキーを握りしめて白兵戦を仕掛ける、下手に距離を取り、軍勢虫門を使われたら、リオアがやばい、ユリが居るから、多少は問題ないかもしれないけど、それ以上に自分の精神衛生的に使わせたくない!
ギィン!とアースキーとオールモスキートのホースみたいな口がぶつかり合う、オールモスキートに有効打を与える為には、側面か背後に回って赤黒く光る胴体を攻撃しないといけない。
「アースチェーン!アイスチェーン!」
フェルの魔法でオールモスキートに2種類の鎖が巻き付くが…。
「同じ魔法は飽きましたよ、脆い所も一緒ですし」
「そんな!?」
2種類の鎖が簡単に引き千切られる。
「フェルの一手を舐めてたら、それにすくわれるぜ!」
だが鎖を引き千切るにも、僅かな隙になる、オールモスキートの背後に素早く回り込み、オールモスキートの赤黒く光る胴体に全力の一刺しを叩き込む!
するとアースキーは深々と突き刺さり、シンクロの効果でアースキーにバチバチと電流が走りオールモスキートにダメージを与える。
「いい加減倒れやがれ!」
「これでどうですか!アイスメテオ!」
フェルが大きな氷をオールモスキートの上に落とす、それに巻き込まれないようにアースキーを引き抜いて、距離を取る。
リオアの歌が聞こえる、2曲目か?段階的にバフが強くなる、姿を見る余裕も、曲を聞いている余裕がなくて、リオアに申し訳なくなる。
巨大な氷が砕けて消えたと思ったら生きたオールモスキートが現れた!
「全く…珍味がここまで厄介になるとは…あの時に吸い殺したほうがよかったかな?」
全く蚊なのにしぶとい!台所の黒い悪魔並みの生命力かよ!