全力の一手
「リーダーさん、ダメージは与えられなくても、動きを止める事はできますか!?」
「出来るけど大技を打つのか?なら出来る限りの事はする!少し待ってくれ」
リーダーさんにお願いしてから、火光を手にする、相変わらずヒビが入っていて、切り札である妖精火門使えば壊れてしまいそうだ。
「フェル、タイミングをあわせて切り札を使ってくれ!」
「でもそんな事したら火光が…形見なのに!」
自分のやることに気付いて、声をだすフェル、武器が壊れてしまう行動に反対なのだろう…だがそれでもやらねばならない。
「今武器を大事にして、自分達が倒れてしまったらそれこそカギロイに顔向け出来ないし、カギロイも自分達が今ここで倒れるのは、望んでないのはわかってるだろ?」
「………わかりました、ごめんなさいユキさん、カギロイ…その代わり絶対に仇を取ります!」
覚悟を決めるフェル、その間にリーダーさんとオールモスキートの魔術合戦が続いていた。
「軍勢虫門、血魔:風門」
「アイスストーム!マジックバリア!増援やばいけど、これ1人で挑むボスなのか!?」
氷の嵐が、召喚された虫を凍らせて消滅させていく、こちらに飛んできた風の刃はリーダーさんのバリアで防がれた。
「パラライズショット!まったく、相変わらずバランス崩壊しているな…あんまり会話している時間がないぞ、レンナ準備はいいか?」
「あ、はい!」
「天魔の五芒星、時を縛りて、全てを止めよ、ここは賢者の領域、クロノスタイム!」
巨大な魔法陣が現れると同時になにかしようとしていた、オールモスキートがビタリと止まる。
「「妖精火門!」氷門!」
2つの声が重なる、2色の魔法陣が現れては重なり、巨大な白い魔法陣が展開される、そして巨大なビームが放たれると同時に、自分の顔面に水分みたいな何かがぶつかった!?胸も冷たい!?
それと同時にビームの衝撃の余波に晒されて、吹き飛びそうになる!
「うおおお!?」
目まぐるしい状況に混乱しつつも、姿勢を低くして吹き飛ぶのを抗う!すると足に一度見たことある石が纏わりついているのに気付いた…。
これは火光を強化した時に体が吹き飛ばないようにしてくれたリーダーさんの魔法…?
「そうだ火光!?」
爆発の衝撃に抗いながらも、視線を足から手に持っていた火光に移す、すると半分以上刃が無くなっている火光が目に入った。
鑑定眼で見ると大破の文字と共に全てのスキルにバツがつき、魔法力と攻撃力が両方+1になっていた…。
すまん、カギロイ…大破した火光を電子にしてアイテム一覧にしまう、可能なら修理の為に欠けた刃を探したいが、この状況で破損した刃が見つかるとは思えない。
ビームの余波が無くなり、なんとか立ち上がる、衝撃が凄くて少しフラフラする、辺りも煙で包まれている。
「フェル無事か…?」
「はい、なにか液体がかかって気持ち悪いですが、何故か魔力が満タンになっています…」
魔力が満タン?まさかと思い自分のMPも確認すると、妖精火門で全て使ったはずのMPが満タンになっていた…まさか、さっき顔にかかった液体は、MP回復のアイテム!?
「もしかしてリーダーさん!?あれ居な」
居ないと言おうとしたが、その時頭の中で共鳴の試練で見た本当の歴史、妖精火門を使った後、ユキさんがオールモスキートに背後から刺される映像がフラッシュバックした。
あ、やばい、切り札を使った後、オールモスキートが見えない今の状況、ユキさんと似ている。
そう認識した瞬間、条件反射か本能か、アースキーを手にして、背後を攻撃するように振るうがアースキーは空を斬る、それと同時にお腹に何かが突き刺さる痛みが走った…。
「な、私の本気の不意打ちに反応しましたか…ですがやっと口にできましたね」
煙が晴れる…眼の前には目に見えてボロボロだが、オールモスキートがいた…心底驚いた声を出すが、口を差し込んでるのになんで喋れるんだよ…くそが…。