ゼロオーダーの呼札
殺虫スプレーは破壊されて、火光はヒビを入れられて壊れかけ、戦える手段がどんどん潰されていく。
次の切り札として、リーダーから貰ったゼロオーダーの呼札を使いたいが、安直に取り出して使おうとしたら、また血魔:フェアリートリックで奪われてしまう。
「さて、そろそろ血をいただきましょう混血人間」
「…吸えるもんなら、吸ってみろよ…」
「なら頂きます」
空元気で挑発すると、再びオールモスキートが突進してくる、単調だが上手く対応が出来なければかなり脅威だ。
というか自分の場合、巨大な蚊が突進してくる事自体が精神的にキツイ…。
「エレメントブースト、アイスコフィン!」
「地門!」
フェルがアイスコフィンでオールモスキートを凍らせて少しでも動きを鈍らせる中、自分は地門で攻撃する。
大地の針は赤黒く光る胴体に突き刺さる。
「ぐう…!」
するとオールモスキートは怯んで、突撃攻撃を止めた。
もしかして赤黒く光る胴体が弱点なのか?
それよりも今だ!切り札を使うタイミングは!
「ゼロオーダーの呼札!」
リーダーさんから貰った札を掲げてから使う!
しかし呼札は消えたけど、なにも起こらない!幻影が召喚されるんじゃなかったのか!?
「おや?なにか大技を仕掛けてくると思いましたが、ハッタリでしたか…だけどもう少し弱らせたほうがいいみたいですね、軍勢虫門」
再び、周囲に大量の魔法陣と共に虫が召喚されてしまう。
「支援効果も幻影もでないとか、恨むぞリーダー!」
「ならその分、恨みが無くなるまで働こうか、ペタグラビティフィールド」
背後から声が聞こえた次の瞬間、オールモスキート以外の虫がぐしゃりと潰れた!!潰れた虫が気持ち悪い!でもすぐに赤いエフェクトを纏って消えた。
「は!?え!?」
後ろを見るとそこにはリーダーさんが立っていた、どう見ても幻影じゃない、本物のリーダーさんだ。
「リーダーさんがなんでここに!?」
驚きの声を上げるフェル。
「安心しろ、転送魔法陣は使ってないから、ファイブクエストの失敗条件は満たしてない」
「え、いやそれよりも、幻影じゃなくて本人!?」
幻影が来ると思ってたが、何度見ても眼の前のリーダーは実体があり、透けては見えない。
「増援ですか…それがさっきの大技の正体ですか、ただの人間にかまってる暇はありません、軍勢虫門」
「レンナ、俺が渡した呼札は幻影を呼ぶと言った覚えはないぞ、あと今の俺は長時間ここに居られないし、札の制限で雑魚敵は排除できても、ボスにダメージは与えられないんだ、だからボス戦は頑張ってくれ、アースクエイク」
リーダーさんの魔法で、召喚された虫が大量の大地の杭によって倒される!地門より凄いや…。
「わかった!助力感謝する!」
「後来るのは俺だけじゃないが…今は戦闘に集中してくれ!」
「全く、軽い食事の時間がハードな運動になりそうですね…血魔:マジックハンド、軍勢虫門」
再び虫の軍団を呼びつつ、魔力で出来た、成人男性の手を3倍位大きくした巨大な手を召喚、それを操作して、殴りかかってくるオールモスキート!
「いくぞフェル!」
「はい!ライトニング!」
フェルの雷は巨大な手に防がれる、その間になんとか側面か背後に周り込んで、赤黒く光る胴体を狙う!
「狙ってる所が丸見えですよ」
アースキーを振るうが、アースキーはオールモスキートの胴体に突き刺さらずに、巨大な手に阻まれた!
「マジックキャンセラー!ボルテックレイン!」
リーダーさんの声が聞こえると同時に雷鳴が響き渡り、召喚された虫が消えて、更に巨大な手が消え去る、それによって生じた隙を逃さずに追撃を叩き込む!
「ぐう、厄介な魔術人間だな!それにクソみたいな、血の匂いがするし吸いたくない…」
自分から距離をとるオールモスキート、リーダーさんの血は不味いのか。
「…血を吸われる気はないが、攻撃出来ないのが腹が立つな、オールダウンブースト」
「血魔:マジックキャンセラー!力を下げるとは多彩なやつだ」
リーダーさんの言葉からしてデバフをかけたみたいだが解除されたみたいだ…。
でも、攻撃は出来なくてもリーダーさんがいるだけで、かなりオールモスキートの行動が妨害出来てる…。
長時間は居られないみたいだから、リーダーがいる間に勝負を決めたい!