VSオールモスキート
あんまり心の準備が出来ずに始まった、オールモスキート戦。
初撃は、オールモスキートの突撃攻撃だった。
ホースのような長い口を槍のように突き出して、攻撃してくる。
「ナナサカさんのスピードに比べたら!」
アースキーで口を叩き落とすように受け流す、ガキンとアースキーの先端とぶつかり合い、金属音が鳴り響く…。
前回の鍔迫り合いで理解したが、オールモスキート相手に鍔迫り合いは危険だ、ホースのような口で鍔迫り合いしながらも、自在に伸びて動く口を体に刺されて、血を吸われてしまう…。
オールモスキートは血を吸う目的があるので、白兵戦をするのはリスクがあるが、切り札を除けば遠距離攻撃が武器を投げるか、アースキーを使って地門しかない…武器を投げる隙や地門のMPコストを考えたら、武器で殴るしかない!
「アイススピア!」
「ぜゃあ!」
両手でアースキーを振るい、こちらも突き攻撃を放つ。
グシュリとフェルのアイススピアと自分の振るった、シンクロの効果で火を纏ったアースキーが、僅かにオールモスキートに突き刺さる。
「ほう、少しは強くなってるのですね、それなら血も美味しくなっているでしょう」
「か、硬い!」
素早くアースキーを引き抜いて大広間の中心に移動して距離を取る。
「そう距離を取られると、血が吸えないじゃないですか」
再び突撃攻撃を繰り出して来るオールモスキート、何としても血を吸いたいらしい…。
何度も突撃攻撃に付き合う訳にもいかない、背中に背負ってた火光に持ち替えて、両手で強く握り、風の刃で風の斬撃波を飛ばす!
「おっと、危ないですね」
プウ!と素早い動きで、斬撃波を回避されてしまうが、突撃そのものを妨害することが出来た。
「仕方ないですね…少しは弱らせたほうがいいみたいですね、血魔:地門」
「2度もくらうか!」
大地の針が、高速で自分を貫かんと生えるが、一度食らった技かつ、何度も自分で使っているスキルだ、もう食らうわけにはいかない。
「ではこれでどうでしょう血魔:マジックキャンセラー、血魔:アイスチェーン」
がくんと体から一気に力が抜けると同時に、氷の鎖が飛んでくる、なんとかそれを横に飛んで、鎖を回避する、自分のHPバーを見ると、フェルの補助魔法で増えたはずのアイコンが消えていた、多分最初の血魔は補助魔法を打ち消す力か!
「フェル再び補助魔法を!」
「はい!オールアップ、ブレイスハート、フェアリーウィッシュ、リジェネレート!」
フェルの魔法で再び万全な状態に戻る、だが何度もマジックキャンセラーで補助魔法の効果が消されてしまうなら、MP温存の為に補助魔法は封印したほうが良いかもしれない。
「うーん、殺さずに捕まえるて難しいですね、それなら消耗させましょうか、この程度で死んだら困りますよ、軍勢虫門」
「無茶苦茶だな!」
自分の周辺に大量の魔法陣が展開されて、そこからぞろぞろと虫が現れ始める、どれもこれも最低でも大型犬サイズで四方八方虫に囲まれる!
現実で起きたら気絶不可避の地獄絵図だ、だが歯を食いしばり、精神を高ぶらせる!
「ここだ!」
システム画面を操作してTTから貰った、大型のスプレータイプの殺虫剤を取り出して、回転しながら周囲に殺虫剤をばらまく!
すると召喚された虫たちが苦しみだして、赤いエフェクトを纏って消える。
だが全ての虫を倒せたわけではない!
「へぇ、薬ですか、貴方に付くと美味しくなくなるので辞めてほしいですね、血魔:フェアリートリック」
次の瞬間手にしっかり握っていたスプレーが虫の死骸に変化していた!?
「うわああああ!?」
「レンナさん!?しっかりしてください!」
慌てて虫の死骸を手放す、オールモスキートの方を見ると、手にはさっき自分が持っていたはずの殺虫剤が握られていた。
「これは処分と…」
「させない!」
火光の風の刃と火の刃の組み合わせた、火の衝撃波で攻撃を放つが、その攻撃は召喚された虫が、オールモスキートの盾になるように攻撃との間に飛び込み、その身を燃やし尽くして、防がれた!
その前にオールモスキートは殺虫剤を破壊する!
殺虫スプレーはもう薬を発することなく、赤いエフェクトを纏って消えた。
「ああ、くそ!」
切り札の1つが潰された。