龍の宝玉ととある書物
「よし、早速龍の力を得よう」
TTはそういうと、最初ドラゴンが立っていた神殿を調べ始める。
「神殿になにかあるのか?と言うか得る方法わかるのか?」
「既に3回以上やってるからわかる、動物の力が満ちた宝玉があるから、それを使ってスキルを得るんだよ…あったあった」
神殿の床下収納みたいな所に宝箱があり、それを開けると、ピンポン玉位の真っ赤な宝玉があった。
鑑定眼で見てみると、宝玉じゃなくて宝箱が二重底になっている情報が出てきた…なぜだ?他の人のナンバークエストのアイテムは、鑑定できないのか?
「よし、これで龍の力を得られるのか、どんなスキルを得られるかな?」
そう言って、TTは宝玉を口に含んで、飲み込んだ!?
「高田!?喉つまるぞ!?」
「…………ぷは、本名いうなし、あと害はないから、吐き出させようとしなくていいからな?うぐ!キタキタ!」
宝玉を飲み込んだTTの背中を叩いていると、TTの体に異変が現れる、顔や腕、足に赤い鱗のようなものがあらわれる、更にドラゴンの翼が…見た目は竜人モドキみたいな感じになっていた。
「うわ!?きも!?」
「おい、酷いぞ…苦労して手に入れた力に、きもって…ちょっと色々と出来るみたいだから確かめる」
そういうとTTは口から火のブレスを吐き出した!火は細長く、結構遠くまで火が届いている
「…火を吐いてもMP減らない、維持にもMP減らない!すげ!永続バフというやつか!?」
「その翼が飛べるか?」
「え、翼あるの!?うお、マジである!やってみる!」
そう言ってTTは何度もジャンプして翼を動かしているとふわりと飛び始めた!
多少危なさがあるが、しっかりと飛べている
「いいなー飛行」
「スゲーちょっと飛んでくる!ちょっとそこで待っててくれ!」
「まってくれTT、宝箱に二重底…」
そう言ってTTは空を飛んでいっていった…。
こちらの言葉なんて聞かずに…。
いやまあ、飛べる力を得たなら飛んでみたくなる気持ちはわかるが…取り敢えず、代わりに二重底の中を確認するか…。
アースキーを使い、宝箱の底を突っつくと、あっさり底が取れて、二重底の中から一冊の書物が現れた。
「なにこれ?」
手に取って、読み始める。
『どれだけ待っても貴方が帰ってこない…英雄になって引っ張りだこなのは仕方ないにしても、もう少し妻の元に帰ってきて欲しい』
うん?話の文脈からして、これは様々な動物の力を宿した獣の英雄の妻の日記なのか?獣の英雄といい妻といい獣としか書かれてないけど、獣人なのか?それとも普通に四足歩行の獣?いや、それだと日記書けないか…。
そんな事を考えながら更にページをめくる、日常を綴るページが多いが夫と思われる獣の英雄は帰ってきた文はなく、捲り続けると、異質なページを見つけた。
『ある時赤黒い不吉な龍と未知の化物が現れた、なんとか一族総出で漁夫の利みたいな作戦で化物と龍を殺せたが、どうして貴方はまだ帰ってこないの?私が頑張ってトドメをさした赤黒い龍の腹の中から複数の宝石が出てきたから見せたいのに…まさか遠い土地で浮気とかじゃないよね…?』
未知の化物?不吉な赤黒い龍?赤黒い龍から宝石?未だ見えぬ獣の英雄の姿と浮気?
なんか赤黒い龍から出てきた宝石とTTが飲み込んだ宝玉が同じ物では?と連想してしまって嫌な予感がする。
赤黒いドラゴンが獣の英雄というオチではないよな?そんな落ちだと獣の英雄は妻に殺されたという事に…ページを捲る。
『信じない信じないありえないありえない…だって貴方の動物の力は体の一部分を変えるだけだし、全身龍なんてありえないありえない…でも龍の動きがおかしかった…あ、ああ私龍の腹を割いて…ああ』
バタンと本を閉じる、これどう見ても自分の予想通りのオチだよな…これ以上読むのは精神的にきつい、もうバッドエンドなのは確定なので、読まなくていいだろう。
そう思ったとき、獣の英雄の妻の日記は一人で燃え始めた!
「え!?あつ!?あっつ!?」
持ってられなくなり、地面に落とすと日記は綺麗に消えてしまった…。
「な、なにこれ…?」
なんで読んだら、燃え尽きる仕組みなの!?
頭の中に大量の?を浮かべてたらTTが戻ってきた。
「いやー無限に飛べるとこうも楽しいとは…どうかしたのか?凄い表情してるけど」
「……なあ、その竜人状態て解除できるか?」
「うん?龍!」
TTが一言叫ぶと、TTの体から鱗や翼が消えて、いつものTTに戻った……。
「戻れるみたいだな、変身時のみMPを使うのか…まあ、ドラゴン状態で街中歩くのはトラブルしか招かなさそうだし、街の外と中で切り替える感じで行くか」
声からしてウキウキなTT。
変身時以外MP使わなくて、無限に飛べて、無限に火を吹ける…。
余りにもスキルとして強力すぎる。
そしてさっきの日記…もしかしてTTが得た龍の力…乱用しすぎたらやばいスキルか?
そんな考えが、自分の中で生まれた。