急襲多し獣道
「道はわかっているから、ついてきて欲しい」
「分かった」
見た感じ道しるべとかないのに、迷いなく歩き始めるTTの後についていく。
道中はなにも整備されていない森を突き進んでいる感じで、視界が悪く、下手したら敵から不意打ちされそうで怖い。
「そういえばレッドドラゴンに認められたら、龍の力を得られるて言ってたけど、獣道というダンジョンに居るという事は、ドラゴンて獣扱いなのか?」
「あー獣道は俺がつけたダンジョン名だから気にするな、そして龍は動くから動物だろ?」
TTの言葉で動物の定義を思い出そうとしたが、今までそんな事考えた事がなかったので、辞書も使えない今、なんの条件を満たせば動物になるか分からないので考えるのをやめる。
「敵は強いのか?」
「少なくとも俺より弱くて、耐久性は低いが、複数で襲われたらかなり厄介だ…来たぞ!」
TTの言葉と同時にアースキーを構える、視界の先には猿が3体居た。
そのうち2体が、TTに向かって投石で攻撃する。
「熊猫!」
TTは腕を強化して、投石をキャッチしてから投げ返す、TTの投げ返した石は一体の猿の頭に当たり、赤いエフェクトを纏って消え去った。
自分も見てるままでは居られない、TTに投石しなかった一体の猿がこちらに攻撃してきたのだ。
猿は自分の頭と同じくらいの大きさの石を両手で持っており、石で殴りかかってくる、自分の頭と同じ大きさの石で頭を殴られたら、当たり前だが死ぬだろうなと思えた。
「舐めるな!」
アースキーで殴りかかってきた猿の胴体を貫く、石を持った猿の手よりもこちらのほうがリーチは上だ。
アースキーは猿の体に深々と突き刺さり、猿は石を落として抵抗するが、すぐに赤いエフェクトを纏って消えた。
「レンナ!次は兎が2体だ!足下に気をつけろ!」
「分かった!」
兎はどこだ!?と辺りを見渡すと足に強い痛みが走る、足を見ると足にかじりついている獰猛な兎がいた!兎の目が見えたが、どう見ても愛玩動物にはなれない殺人の目といえばいいのか、やばい目をしていた。
「ひい!?」
やばい目に少し怯みつつ、アースキーで兎を貫く…。
兎は一撃で倒せたが、2割くらいHPがなくなってしまった…。
「兎の噛みつきで2割減るて脆すぎないか?」
「最大HP少ないから、仕方無いだろう?」
減ったHPを回復する為にHP回復薬を飲む、もう一匹の兎や投石した猿はTTが処理してくれたみたいだ。
というか森の中は視界がかなり狭くなって、索敵が難しいし、動きにくい…。
「索敵うまいよな、TT」
「まあ、索敵に上手くなければ、獣道で戦っていけないからな、多分レンナだけだと、敵に気付く前に首を噛まれるぞ」
「怖いな…獣道…」
敵の襲撃が終わって、再び進み始めると、少し開けた場所に出て、石板を見つけた。
「なにあれ?」
「うん?ああ、最強の動物の伝説だよ…まあ、最強には見えないけどな」
「見て良い?」
「良いよ、その間周り警戒しとく」
TTの言葉に甘えて、石板を確認してみる。
『はるか昔、外から強大な敵が襲来せり、数多の動物が犠牲になったが、ある時一匹の獣が多数の動物の力を宿して、強大な敵を打ち払い、獣の英雄になった』
「………これってTTの能力に似てない?」
「まあ、俺のナンバークエストは、この動物の伝説が深く関わってるのは間違いないな…最終的にこの伝説の獣を超える力を得られたらいいな…というか読んだなら、行くぞーまだまだ先はあるからな!」
「ちょっとまってくれよ、こんな道標もない森の中でハグレたら死ぬわ!」
そそくさと歩き出すTTの後を追う。
というかこの獣道、どれだけ広いんだろうな…?
一応兎や猿を倒した時に毛皮をドロップしたから、売ればそこそこのお金になってここで消耗した薬の代金になるかな。
出来れば長期戦にならずに薬もあんまり消耗せずに済むのが理想だが…TTの背中を見ながらもそんな事を考えていた。