オールモスキート戦に備えての買い物
単独行動の利点は、なんと言っても万が一死んでも問題ないことだ。
といっても街中で死ぬなんて早々ありえないんだが…。
「ねぇねぇお嬢ちゃんこれ買わない?とっても強力な回復薬だよ」
「あ、結構です」
「えー勿体ないよ、今から格安にするからさー」
「いいです!」
押し売りにあっていた、それもそこそこの回数。
だが自分の認識では、押し売りは基本損する取引という考えなので、全力で拒否していた。
「なんでだ?フェルと一緒の時はこういう事なかったのに…」
運の悪さか?ステータス的にはそれなりにあるつもりだが…それとも単独だからか?
少し誰かに相談してみるか…リーダーさんは今フェルと魔法習得の取り込み中だし…TT居ないかな?
…フレンド画面を開き、TTがログインしているのを確認して、メッセージを飛ばす。
『街で押し売りにあってるんだけど、対処法知らないか?』
『押し売り?なんだ、レンナ単独行動しているのか?何処にいるんだよ?せっかくなら会って話そうぜ』
TTに居場所を教えると、数分もしない内にやってきた。
「早いな」
「俺も街中に居たからな、場所さえわかれば合流も楽なもんだ、それで何をしてたんだ?」
「ファイブクエストの準備だよ、出来れば今日中にクリアしたくてな、武器も血を注いで強化したんだよ」
そういってアースキーのステータスを見せていると、TTは怪訝そうな顔をした。
「もうファイブクエスト…随分と強行軍じゃないか?レンナおまえ何レベルだ?」
「32レベル」
「は!?…早くないか?レベルアップ…いや、ナンバークエストをフォーまでクリアしたならそのくらい言っててもおかしくないが…」
レベルアップ早いのか?比較がないからよくわからない。
「TTは今何レベルなの?」
「最近やっと30になったんだよ、なあ、メイン武器を取り扱うスキルはどんな名前で何レベルなんだよ?」
「え?道具術で9レベルだけど…」
そういえば共鳴がシンクロに進化したけど、道具術も進化するのかな?
「なるほど、レンナはレベルは上がりやすいけど、スキルは上がりにくいタイプなのかな…?」
「なにそれ?」
「マスクデータで成長傾向というのがあるんだよ、人によってはのレベルが上がりやすいけどスキルレベルが上がりにくかったり、逆もあったりするんだよ」
「へーそんなのがあるんだな」
マスクデータなのに存在がバレてるんだな…と、雑談する為にTTを呼んだんじゃない、押し売りなんとかしたいから呼んだんだった。
「と、そうだ押し売りをなんとかしたいんだけど、どうすればいいんだ?」
「うん?まともに対応せずに無視、しかとすればいいんだよ、現実と同じだ」
「現実と同じと言われても現実で押し売りに会ったことないぞ…」
むしろ高田は押し売りに会ったことあるのかよ…。
「まあ、後この治安の悪目の場所では、2人で行動しとけばNPCから押し売りこないぞ、レンナはフェルとずっと一緒にいたから押し売りされなかったんじゃない?あとは一人だと、見た目がか弱そうな女の子に見えるからとか?」
「なんだよそりゃ…それならともかく買い物に付き合ってくれ」
「いいよーこれで中身が美少女だったら、最高なんだけどなー」
TTがふざけた事を言ってるのをスルーしつつ、以前ユリに教えてもらった、虫を集める薬を取り扱っているお店に向かう。
するとびっくりする位なにも押し売りが来ずに、店にたどり着くことができた。
取り敢えず虫を集める薬を複数買う、時間経過で虫の軍勢の戦力が回復する以上、持ってて損はないはずだ。
「後はMP回復薬と…妖精達の食べ物を買って…そろそろ財布が不安になってきたな…」
「うん?ナンバークエストで虫大量に倒してるんだよな?虫の素材とかないのか?」
「素材落としたの見たことない…それに仮に手に入れても捨てると思う、アイテム一覧にも入れたくない」
「インベントリにも入れたくないて、虫嫌いすぎるだろう、妖精の羽と蝶の羽てだいたい同じ…」
TTの首元にアースキーを添える。
「それ以上はいけない、それ以上は仁義なき決闘だよ」
「あ、はい、すまなかった」
全くの別物だからな、妖精の羽と虫の羽。
事によっては、ペナルティ大きそうなプレイヤーキルも辞さない。
いや、流石にプレイヤーキルは不味いか、フェルに嫌われてしまう可能性が高い。
TTを黙らせてから、再び買い物をつづけた。