ファンタジーフリーダム
「………ゲームでその腕振るって!」
妹、友奈の言葉から数分、俺は妹の部屋にいた。
壁には、毎年プレゼントとしてあげたアクセサリーが、大事そうに飾られている。
少しばかり恥ずかしいが、大切にされているのだから、喜ぶべきだと恥ずかしさを見て見ぬふりをしている。
「はい、これお兄ちゃん用のフルダイブVR装置」
ぽん、と渡された新品のフルダイブVR装置を、目を丸くして受け取る、妹のベットにはそこそこ使い込まれた、同じ装置が置かれていた。
「これ高いよな…どうやって手に入れたの…?」
妹は自分の3つ下の中学生だ…一つは誕生日に買ってもらったのを知っているが、数万の機械を中学生がぽんと買える物ではない、少なくとも家の小遣いだと、かなり厳しい代物だ。
「秘密、少なくとも悪事ではないから、そこは心配しないで」
「わ、わかった」
力強い言葉に思わず、押し込まれる。
「ゲームソフトはすでに入ってるから、起動して、ファンタジーフリーダムのソフトを起動してくれればいいから!」
「まてまて、もっと詳しく話してくれ、いくらなんでも話が見えなさすぎる、ゲーム内でなにをすれば良いんだよ?」
普段ゆっくり話す友奈とは思えない、凄い早口で圧倒されるが、流石になにも聞かずに、ゲームを遊ぶわけにもいかない。
「えーと…私はファンタジーフリーダムというゲームで遊んでるんだけど、そのゲームでは武器がプレイヤーで自作出来て…」
「……友奈用の武器を作って欲しいと?」
「うん、流石お兄ちゃん!飲み込み早いね!早速自分の部屋でログインしてよ!」
なんか、普段のテンションと違って、早口な妹に急かされた自分は、まあ妹の誕生日であんまりないわがままだし、叶えてやるかと思い、素直に自分の部屋に戻った。
ファンタジーフリーダムというゲームを起動する為に、フルダイブVR装置を頭に装着した………まあ、一度妹のを使わせてもらったことがある程度の装置だから、数分ほど起動に苦戦したが…。
『ようこそ!ファンタジーフリーダムに!』
ソフトを起動すると空の上にいるかのような空間に放り込まれる。
アカウント作成の作業をして、利用規約を読む…まあ、利用規約は雑に言うと、悪いことせずにマナーを守って遊びましょうだな…。
普段ゲームはやらないが、アカウント作るのは流石に慣れている…通販サイトとかは使うからな…。
『それではキャラ作成をしてください!』
ゲームのガイドに従って進む。
「えーと、おまかせと自由設定の2つから選んでください…おまかせは、ステータスポイントが少し増えます…なんでここでステータス補正が出てくるの?」
まあ、少しだけプレイするつもりだからおまかせを選択…本当に後悔しませんね?と出てきて、はいを選択すると視界が一瞬真っ白になったと思ったら鏡が出てきて、自分の姿が映し出される…。
それは白髮白目、小柄で華奢といえばいいのか、明らかに鍛冶屋という力作業に向いてない、簡易な服を着た少女だった…更にステータスが鏡の横に表示されるが…明らかに魔法使いのステータスだった。
因みにステータスでは性別は男のままだ、友達が以前話してた、男の娘というやつなのか…?
これは不味いことしたか?そう思いつつも、後戻りは出来ないみたいなので、このまま進める。
次は質問が出てきたので、答えていく。
Q、貴方はなにをする為に、この世界に来ましたか?
A、妹の武器を作る為。
Q、魔法と剣、どちらが好きですか?
A、剣、でもハンマーが一番好き
Q、ファンタジーで一番好きな種族はなんですか?
A、フェアリー
Q、生きる為に、一番必要なものはなんですか?
A、命
Q、無人島で持っていきたい物は?
A、ツールセット一式
Q、好きな食べ物は
A、サンドイッチ
……これがどうゲームに影響するのだろうか…?
そう頭を傾げると、自分の目の前に軍用で使われてる多機能シャベルが現れた………なんでシャベル?え?まさかこれが自分の初期装備?
どんなゲームなんだ…?そう思いながらもシャベルを手に取る。
すると、最後に名前を入力してくださいと文字とキーボードが出てきたので、本名の錬那をカタカナにした、レンナと入力すると、『それではファンタジーフリーダムをお楽しみください!』と文字が出たと思ったら、視界が真っ白になり、元に戻ったら知らない街の中にいた。