夜の通話、迷うレンナの恋心
「高田おきているか?」
「どうした錬那、こんな時間にお前から電話してくる時は結構な大事なんだが」
ログアウトして、なんかその…フェルに関して誰かと話したい気分になった自分は、TT…高田に電話で連絡していた。
友奈に相談という考えがあったが…なんか言い難かったので高田に連絡したのだ。
「いや、その…ファンタジーフリーダムでフェルに告白に近いこと言われたんだが…」
「おう、普通なら爆発しろと言いたくなるが、お前のことだ、律儀に本当にハイと言っていいのか悩んでると見た、というかお前が電話してくる時は相談て、相場で決まってるからな」
…よくわかってるな、そう口にすると高田が更に喋り始める。
「何年人と交流が苦手な、お前の友達にやってると思ってるんだよ、重要度の低い事はメールで済ませるタイプだろお前は、なのに電話をしているということは、お前は完全にフェルに惚れたということだ」
「…なんか見透かされてるようで腹が立ってきた、でもAIに恋愛感情抱くのはおかしくないか?それにフェルの故郷を救う、ナンバークエストも終わってないし」
「別にいいんじゃね、壁に結婚した人も世の中にいると聞いた事あるし、死ぬまで引退したアイドルのファンになり続ける人もいる、好きという感情のまま生きていけばいいんじゃないか?」
「それはそうだけどさ…これ以上仲良くなって、もしもサービス終了とかになったら、キツくないか?」
そういうとあーとなんとも言えない、スマホから高田の声が鳴り響いた。
ファンタジーフリーダムはオンラインゲームだ、サービスが終了したらそこまでだ。
あんまりのめり込み過ぎたら…終わった時…すごくショック受けそう。
「お前めんどくさいな…」
「め…今までの夏休みが終わる間際のお前の方が面倒くさいわ!」
「いやー、あの堅物の錬那は恋愛絡みとなると、こうも狂うのか」
ハッハッハッ!と高田の笑い声が聞こえる…くそ、腹が立つ、自分はそんな堅物じゃないはず!
「まあ、ファンタジーフリーダムは始まって約2年位のゲームだ、バランスが賛否両論あるけど、運営している会社はかなり大きい所だから、そうそうなくなったりはしないはずだぞ?」
「そうなのか?」
「まあ、世の中に絶対はないから、なんとも言えないが…それは人間の俺達でも同じだろ?俺か錬那が数日後、狂った運転をした車に家に突っ込んできて、ひかれて死ぬ可能性は決してゼロじゃない、未来の事考えても仕方ないぞ?」
……それは極論のような気もするんだが…というか縁起でもない。
「まあ、そこは価値観の違いか…どうしても先を先を考えてしまう」
「別に現実で恋人いるけど、二次元でAIの恋人がいるなんて、ありだとおもうけどね?今時」
「それが今時なら、自分は時代遅れのもの堅物でいいや…」
というか、二股になるのかそれ?
「まあ、最終的には自分で決めなよ?しかしお前から、こんなガッツリゲームの相談されるとは思わなかった、前はパソコンウイルスに侵されて壊れたーだったけ、あれとは大違いだ」
「やめろ、黒歴史を掘り起こすな」
怪しいウイルス対策ソフトをダウンロードした時の話はやめて欲しい。
「そういえばナンバークエストて言ってたけど、どんなのやってたっけ?」
「え、えーと…」
高田なら、別に教えて問題ないかなと、ファイブクエストの事を話す。
「ふーん、なるほど、なら後はボスを倒してフェルと結ばれて、めでたしめでたしというやつか、あれだ…俺、ボスを倒したら告白するんだと言うやつだな」
「それは知ってるぞ!色んな話である、死亡する流れじゃないか!」
流石にそんなありがちなバッドエンドは避けるぞ!自分はハッピーエンドが好きなんだよ!
「というか高田のナンバークエストて何なんだよ?こっちは教えたんだから教えろよ」
「俺のナンバークエストは動物の力を体に宿すというクエストだ、偉い猫や鹿、熊などに認めてもらうと動物の力を使えるようになるんだ、戦闘時鹿とか猫とか叫んでただろ、あれがナンバークエストの報酬だ、最近はカメレオンという光学迷彩の効果が得られる力を得たんだよ、俺も仲間の獣人NPCとか欲しかったな…ふぁ…」
あれナンバークエストの報酬だったのか…。
「高田眠そうだな」
「眠いよ…今日早く起きて色々としてたし、だからそろそろ寝るお休みだ、フェルとお幸せに、ファンタジーフリーダムは年齢制限Dの17才以上だからキスくらいはできるかもね」
ブツリと通話が切れてしまった。
「き、キスて、お前何をいって!?」
声を荒げた所で、声は高田に届くことはなかった。
…………自分も寝よう…明日は何しよう、オールモスキートの虫の軍勢でも狩りに行くか…?