バー ダークムーン
バーの中は、こじんまりとした店内だった。
カウンターでは若い男性がシェイカーだっけ、カクテルを作る道具を、カシャカシャしている、バーテンダーというやつだ。
他のお客さんは見当たらない。
「…………いらっしゃいませ…バーダークムーンへ…お好きな席にどうぞ…」
お好きな席にと言われたので、カウンターに座る。
バーテンダーをじっと見る…NPCみたいだな。
「誰からの紹介ですか…?」
「…チームゼロオーダーのウランさんからです」
もしかして紹介制なのか…?
一応証拠になるかなと、チーム:ゼロオーダーの工房の鍵を見せる。
「…その鍵ではウランさんの紹介の証明にはなりませんが、同じチームのリダさんからの紹介にはなります…こちらがメニューです」
そう言って、バーテンダーは本の形状のメニューを出してくる。
もしかしてこの鍵てリーダーさんしか作れないのかな?
なにはともあれ、メニューを確認すると半分がアルコールカクテルのメニューだ、メニューに書かれている絵にタッチすると、未成年なので頼めませんとエラーが出てくる。
「あ、これ飲んでみたい!」
フェルは胸ポケットから出てきて、白色のアルコールカクテル絵にタッチすると、注文しますか?という文字が浮かび上がった。
「え…?」
「あ、もしかしてだめでしたか?」
「いや、ダメじゃないよ、頼んでいいよ」
……フェルて、年齢いくつだ?流石に女性に年齢を聞くのはタブーなのは知っているつもりだが、気になってしまう。
それとも妖精だから、人間のシステムに影響ないのかな?
というか、フェルが胸ポケットから出てきたが…まあ、NPCしかいないし大丈夫か。
とにかく自分は、ソフトドリンクを頼もう。
ペラペラとメニューを確認して、飲んだことないドリンクであるオレンジコーヒーを頼む。
そして頼む時に、ソフトドリンクの隣に情報という、謎のメニューが書かれていているのに気がついた。
大、中、小、極小と4つの段階があり、値段がかなり大雑把だった、極小で1から1万、小で10から10万、中で100から100万、大が時価というよくわからない値段だった。
極小な量だけど一万位の価値のある、中位の量だけど、100位の価値がない情報とかそういう感じなのかな?
「こちらご注文のフェアリーシロップとオレンジコーヒーです」
「どうも…」
メニューを見ていると、ジュースが出てきた、フェアリーシロップはフェルが頼んだ物だ、氷が入った、白いドリンクでふんわりと花の香りがする、ドリンクの縁に砂糖のような結晶がついている。
オレンジコーヒーはフェルのドリンクとは対照的で、黒いコーヒーの上にオレンジがうかんでいる。
一口オレンジコーヒーを飲むと、苦味とオレンジの酸味が口に広がる。
…好みの味ではないな……。
「甘くて美味しいです!」
「そうか良かった」
フェルが笑顔でストローを使って、フェアリーシロップを飲んでるのを、横目にコーヒーを飲みつつ、情報のメニューを見る。
なんか気になるし、1つくらい頼んでみたいな。
「すみません、1000で小くらいの情報て、買えますか?」
「……少々お待ちください……その値段で小くらいになると…黄金の虫の秘密の情報が買えます」
すると目の前にはシステム画面が表れて、買いますか?と聞いてくる。
黄金の虫?なんでそんなピンポイントに気になる情報を迅速に…?いやそこはNPCだから気にしたらダメか?
でも黄金の虫は戦ったことあるし、気になるし買ってみよう。
『黄金の虫は必ず人間と同じ言葉を話せる知性を得られる、また黄金の虫を食った虫は黄金になる、黄金虫は格上の存在を食うほど、その力は更にます、蠱毒に近い性質を持っている。』
ハイを押してみたら、所持金が減り情報が出てきた…。
これは…黄金蟻が死んだ後、黄金の巨大蜘蛛が出てきてたけど…もしかして、黄金蟻は妖精門の攻撃で見えなくなってる間に、ファーストクエストの大蜘蛛に食われたのか…?
戦いに役立たないが、それでも少なからず知って損はない情報だ…巨大黄金蜘蛛はまだ生きているんだ、気をつけたほうがいいかもしれないな。