ウランさんのおすすめバーを目指して
踊るという目的を果たした自分達は、ダンスホールから出る為に係員を呼ぶ。
本来ならもっと長時間踊るべきなんだろうが…カードの魔法は魔法は解けてしまったし、自分もフェルもそんな長時間踊れるほど体力がなかった…。
最初カラオケしたほうが良いのかなーとなったが、殆どの歌の歌詞をぼんやりとしか覚えてない自分では、歌詞が見れる画面もない現状では無理があった。
「はーい、少しお待ちくださいー」
アッシュルさんが現れる…その手には小さな手帳が握られている。
「お会計は、チケットお払いの時点で済んでいますので、このまま退出が可能ですー、そしてこれはサービスです、フェルさん」
「え、ありがとうございます?」
フェルに小さな手帳が渡される。
次にアッシュルさんは、普通の大きさの手帳を取り出して、こちらに渡してくる。
「こちらはレンナさんにー」
「なにこれメモ帳?」
受け取り、開いて見ると自分とフェルが踊っている写真が貼られていた。
2人共楽しげだ。
「いつのまに!?」
「最近の技術は凄いよねー、いらないなら破棄しますよー?」
見た感じ普通の楽しげな写真だ、破棄なんてとんでもない…。
「いや、いる…これは良いものだ」
「満足していただいて、何よりですー」
踊りの写真が纏められた手帳を電子にして、アイテム一覧にしまう。
フェルの方を見るとフェルも手帳を同じようにしまったようだ、だがその顔はかなり赤い…え?へんな写真なんて貼ってなかったよな?
「どうしたフェル?もしかして初めての写真で恥ずかしかったのか?」
「は、はい…」
そうか、フェアリーガーデンに写真技術とかなさそうだよな。
「満足そうで何よりですーまたのご利用お待ちしておりますー」
アッシュルさんに見送られて、ダンスホール…多目的ホールから出る。
夜風が体に吹き付けてきて、ダンスでこもった自分の体の熱を奪う。
ダンスホールを出る際に、再び纏ったマントで風を防ぐ。
「さて、ウランさんのおすすめスポットのバーに行こうか」
「はい、レンナさん」
胸ポケットに入ったフェルの返事を聞いて、歩き始める。
スリー街からツー街へ、街にある魔法陣で移動して、バーへ向かう。
バーへ近づく程、明かりが少なくなり、薄暗い雰囲気になっていく…。
朝の時に通った時と全然違う…あまり長いはしたくないな。
そう思っているとドン!ドン!と何かが叩く音が聞こえ、男性の叫び声が聞こえる、声の聞こえ方からして遠くからの声みたいだ。
「な、なんの声ですか!?」
「気にしない方がいい…関わったら良くない気がする」
フェルをなだめつつ、内心道を間違えたか?と思う位治安の悪さを感じる。
なんとなく体が冷える感じがする…。
「あら?貴女の迷子?オネェさんが助けてあげようか?」
警戒しながら歩いていると路地裏の所から、凄く露出が多い、スケスケの服を来た巨乳の大人の女性が話しかけてきた。
「「寒くないのその格好?」」
フェルと言葉が被る、いや、思わず声がでたが、夏とはいえ、夜の人通りが少ない所で過激な服きた人とか確実にやばい人だ、多分捕まったらヤクザの所とか連れて行かれそう、逃げなきゃ。
「え?」
「いや、失礼しましたー!」
女性がポカーンとしている間にダッシュで逃げさる!後ろを向いたが、相手は追ってこなかった。
NPCか悪質なプレイヤーだったのか…わからなかったが…関わらないほうがいいのは間違いない。
「何だったんでしょう、さっきの女性は…?」
「ああいうタイプは決まって相手を油断させて詐欺や盗みを仕掛けてくるタイプだ、関わらないほうが一番だ」
そう言って、駆け足で移動していると、ウランさんおすすめのバーにたどり着いた。
そこは朝の閉まっていた時とは違い、ブルーライトで、ダークムーンという店名がライトアップされて、なんか秘密の隠れ家を連想する見た目になっていた。
これ未成年が入って大丈夫なのか?いや、ここはウランさんを信じよう、まじでやばかったら、ユリやリーダーさんが止めてるよな…?
そう思いながら、自分はバーの中に入店した。