フェアリーダンス
3曲ほど踊ったが、体は戻る気配を見せない、これ小さくなってる時間わからないのかな?と調べて見たら、ステータス画面で残り6分と小さくなれる時間が分かった。
後一曲位なら踊れそうだな。
「フェル、小さくなれる時間はあと6分だ、あと一曲は踊れそうだ」
「レンナさん!次の曲は私が選んでいいですか!」
「え?出来るならいいけど…」
そういうと、フェルはシステム画面を触り始める。
フェルも操作出来るのか…そう思っていると、音楽が流れ始める…。
今まで踊った3曲も少し聞いた事はあるが、タイトルは操作するまで知らなかったり、忘れてたりしてた曲だったが…完全に知らない曲だ。
フェルが流した曲はゆったりと穏やかな曲だ。
清らかなハープとフルートの音が聞こえてくる。
「凄いですね、妖精の曲も演奏できるなんて…」
「どんな曲なんだ?」
「大切な絆をずっとずっと長く続く事を願った曲です!」
そう言って、踊り始めるフェル、それについていくように自分も踊り始める。
知ってる曲だからか、一気に踊りのぎこちなさがなくなるフェル、それに一生懸命ついていく。
3曲ほど踊った結果、フェルがどう踊るか直感的に分かってきて、なんとかついていけているはずだ。
「レンナさん、この曲知りませんよね?それでもかっこよく踊れてますよ」
「それならよかった…」
アドリブで踊っている為、確実にぎこちなさがあって、綺麗には踊れてないはずだ。
それでも格好良いと言われると、気分は良くなるものだった。
曲がサビに差し掛かる。
するとフェルは自分をぐいっと引っ張り、引き寄せてくる、抗う意思はなかった為、自分の顔とフェルの顔が接触しそうな位近くなる。
フェルは満面の笑みに、なぜだか恥ずかしくなってくる。
思わず目を閉じていると、顔に髪がかかる感触と頬に柔らかい何かが当たる感触がした。
「フェ、フェル!?」
「ほ、ほら最後まで踊りましょう、レンナさん!」
目を開けると、先程の笑顔に少し赤面を足したかのような表情をするフェル…。
今のはどう考えても…い、いや今はお、踊りをしっかり踊ろう、一気に体が硬くなったのを感じつつも、フェルが選んだ妖精の曲が終わるまで踊り続けた。
「えへへ…とても楽しかったです!」
「そ、そうだな…えーと…よく踊れていたよフェル…」
サビでしてきた頬への行為に聞こうとしたが、恥ずかしさに打ち負けて、褒める方向にシフトした。
「知ってる曲だと、踊りやすいです!
…でもこれで終わりですか…せっかくレンナさんと同じ身長になれたのに残念です…」
時間を確認するとあと2分で小さくなる効果は終わってしまう。
「2分じゃもう踊れないな、もう他にやれることはないか…」
仮に踊っている最中に身長が元に戻って、その結果フェルを怪我させる…なんてのは起こしてはならない事だ。
「えーと、それならギリギリまでギューとしていいですか?大きさが元に戻ったら出来ませんし…」
「わ、分かった…いいよ…」
そういうとフェルに抱きしめられた…。
やばい、どうすればいいんだ、これ…もうフェルの行動が好きな人にする行為じゃん…どう返せばいいんだ?
取り敢えず抱き返せば、いいのかな?
ぎゅっと抱き返す、やっぱりフェルの体は柔らかいし、いい匂いがする…なぜか悪い事してるんじゃないかと思ってしまう。
「レンナさんて結構体硬いですよね…」
「そ、そうなのか…?」
自分の体の硬さなんていまいち把握出来ない。
「時間ですね…」
ふわりとフェルが離れていくと同時に体が発光して、視界が白く使い物にならなくなる。
その時再び頬になにか柔らかい感覚が伝わる。
フェル!?と驚いていたら視界が正常に戻る。
すぐさま辺りを見渡すとフェルが目の前に飛んできた。
「あのカードて、リーダーさんが作った可能性が高いんですよね?後でお礼いわないとですね」
「あ、ああ…」
フェルの顔をみる、その表情は赤い…。
頰の感触に関して聞きたいけど、なんか関係がギクシャクするのが嫌で聞くに聞けなかった。