リーダーリダのおすすめスポット
植物園から出た自分達は、リーダーさんのおすすめスポットにたどり着く。
「ここはダンスホールとかそういうやつか?」
自分達の目の前には、高級そうなダンスホール会場、それともオペラハウスというべきか、そういう建物が目の前にあった。
建物に入るプレイヤーが皆、鎧とかアーマーとかの防具じゃなくて、ドレスやスーツなどフォーマルな姿をしている…。
「なんですかここは…?リーダーさんから場所だけは教えるから、そこから先は、レンナさんにエスコートしてもらってと言われてるんですが…」
「え?」
フェルの言葉に体が硬直する。
待って、リーダーさん…人生でエスコートなんてしたこと無いんだが…。
一応接客スキルはなくはないけど…エスコートとは関係ないよな!?
それに、なにする施設かわかってないから、エスコート出来ないよ!
でもダンスホールなんだよな、フェルと踊れば良いのか?どうやって!?自分はダンス経験ゼロだぞ!?それに体格差も凄いぞ!?
「おーレンナさんー、フェルさんー、こんにちはー」
どうするべきかとなっていると、スーツを来た大男に話しかけられた、こののんびりと伸びた声のフレンドの心当たりはある。
「アッシュルさん!こんにちはー!」
「え!?アッシュルさん!?どうしてこんな所に!?」
楽しげに挨拶するフェル、こっちは驚いてしまう、立て続けにフレンドと会うとは…。
アッシュルさん、ツー街からスリー街に行く為の道中や、夏イベントのレイドイベントで共闘した斧使いだ、自分と同じように、ランダム作成で性別と真逆の姿になった女性だ。
「私はクエストで、貴族や踊り子の護衛や警備をしているのですー、それよりもレンナさん、素敵なドレスを着てますねーでもマントで隠すのは勿体ないと思いますよー?」
「褒めてくれてありがとう、アッシュルさん…そうだ、アッシュルさん、ここの建物の事知らないんだけど、教えて欲しい!」
ちょうどいい、困った時は人に頼るのが一番だ。
「建物て、多目的ホールの事ー?うーんーレンナさんチケットを持っていますかー?チケットを持ってないと話になりませんがー」
え、チケット?そんなの持ってないよ!となった瞬間フェルがチケットを取り出した…。
ゲームシステムの力とはいえ、フェルが自分のサイズと同じ大きさのチケットを、無から取り出すのは凄い見た目だ。
「リーダーさんから貰いました!これが使えると思います!」
「これは…随分お高いダンスチケットだよー設備の全部を使えて、一番豪華ホールを借りれるチケットだねーこれを使えば好きな曲を流してもらって、長時間踊ることが出来るよ」
「まって、フェル、そんな高いチケットただで貰ったの!?」
リーダーさん、もしかしてユリに脅されでもしたか!?
「私の故郷の昔から今の話や結界の事を教えたら、情報料と言って、チケットとドレスをくれました」
気前良くないか?金持ちなのか?
まあ、正当な取引だったのなら問題ないか。
「……ふむ!なるほどー、レンナさんこのチケットは今でも使えるけど、夜に使った方が雰囲気が出るからおすすめだよー、ここらへん周辺はリアル時間夜になったら、ここも夜になるからねー、舞踏会みたいな感じを味わえるし…きっと大きな思い出になると思うよー」
「夜か…」
今は昼の少し前、夜の時間に行動するなら、昼はログインしない方が良いだろう、ずっとログインは親に怒られるからな、昼から夕方までは親の手伝いをしよう。
ちょうどいいかもしれない、夜ならばウランさんのおすすめのバーに行けるし、全てのおすすめスポットを巡れる。
「フェル、お昼から夜までの時間は別行動したいけどいいか?その代わり夜に一緒にここに来たり、ウランさんのバーに行ったりしよう」
「はい、わかりました!私、ユリのマイホームで待ってますね!アッシュルさん、また会いましょう!」
フェルの快諾を貰い、アッシュルさんにチケットの事を教えてくれたお礼と、そろそろログアウトする事を伝える。
「どういたしましてー私もそろそろクエストしないとねー、この周辺にいるストーカーとか悪者を倒すと、報酬に経験値ボーナスがつくし、頑張らないとー」
「そうなのか、クエスト頑張ってな」
アッシュルさんと別れを告げて、ユリのマイホームに帰還した。
■■■
「さて、デート中と思われるフレンドについている、悪い虫をはらいますかー」
アッシュルは独り言をつぶやき、一見何もない壁を殴りかかった!
「うおお!?」
するとまるで光学迷彩が剥がれたように一人の男が現れた。
「システムで軽いストーカー容疑がかかっているけど、弁明はありますかー?」
「待ってくれ、俺はレンナ…フレンドの後をつけていただけだ!」
「まさかのレンナさんのフレンドー?まだレンナさんログアウトしてないし、確認の為に名前を聞いていいかなー?レンナさんが許すなら、見逃すよー」
「TTだ…こっちもレンナに連絡する…」
レンナに2つのメッセージが届く、片方は何も聞かず許してくれという、TTのメッセージ。
もう一つはレンナさんをストーカーしているTTという存在を見つけたんだけど、捕まえて良い?捕まえたら30分間位TTはログイン出来なくなるけど、レンナさんが許すなら、システム的にも許されるから、見逃すよー個人的には捕まえて経験値にしたいけどねーというメッセージだった。
数分後、レンナはアッシュルとTTに、それぞれ1つのメッセージを送った。
アッシュルさんには捕まえてください、けどペナルティは可能な限りは軽くしてください。というメッセージ…。
TTには、一回捕まって30分反省しろ★というメッセージが届いた。
「やっぱりダメか!」
「はい、確保ー!」
その後TTは確保され、強制的にログアウトして、30分だけログインが不可能になったのだった…。