TTとの遭遇、予定変更の植物園
次は、リーダーさんのおすすめスポットに向かっていたのだが…。
「見つけた、レンナ!遊ぼう………ぶふ」
TTと遭遇した…がこちらを見て吹き出した…。
TTは夏イベントの時と違い、黒い道着みたいなのを着ていた。
「お前、流石にそこまで染まって…くくっお前のドレス姿…凄いな…胸が空いてるやつとは…」
完全にツボにハマったのか、膝を付いて笑っている、まあ、親友が完全に女性になってたら相当おかしいだろうが…。
「おい、笑うな…これはお気に入りの貰い物なんだよ」
「!?す、スマン…デート中に邪魔してすまない」
本気で言ったら、TTの笑い声がピタリと止まって、スッと立ち上がって謝罪してきた。
余りにも急な変化と、デートというワードにビックリしていると、TTは1枚の紙を取り出してこちらに差し出した。
「ここにいいデートスポットがある、もし興味があるならいってみるといいよ!それじゃあ!鹿、猫!」
紙を受け取った瞬間、TTは自己強化してから跳躍、何処かに去っていった。
「は、はや!?」
「レンナさん、レンナさん!紙を見てください!」
来てすぐに去ったTTの事が少し気になるが、フェルの言葉で受け取った紙を見る。
『ルーン植物園、多彩な植物とお花が貴方達を歓迎します!お土産に多彩な薬やハーブティーがあります!』
「植物園か…TTはなんでこのチラシを持っていたのやら?」
「レンナさん、行ってみたいです!」
フェルが凄く行きたそうに目をキラキラさせて言う。
そうか、フェルは本来は花が沢山ある所で過ごしていたんだな…久しぶりに、花に囲まれたいのかな?
時間の余裕はかなりある、ウランさんのは定休日で、ユリの所は比較的短時間だったからな。
「なら行ってみるか、植物園」
「はい!」
TTから貰った紙に書いてあるマップを頼りに、植物園へ向かった。
ルーン植物園にたどり着く、外見は最初ただの小さな小屋だったが、入場料を払って、入園すると、魔法陣で別エリアに飛ばされた…そこはジャングルみたいな所だった。
魔法陣で別所に移動するの便利設定だな…。
「うっわーー!!凄い!入口に大輪のチューリップです!」
フェルは巨大なチューリップに目を輝かせている。
「レンナさん!あっちにはラベンダーがありますよ!行きましょう!」
「わ、分かったから静かに行こうな?人見かけないとはいえ、建物内だからな?」
完全にテンションがハイになっている…。
そんなフェルを、少しなだめつつ、植物園を周り始める。
「レンナさんレンナさん!桜にボタンの花、パンジーにバラもありますよ」
「ユリの花もある…どんな花もありそうだな」
多分、春夏秋冬の全ての季節の花がありそうだな。
ゲームの世界だ、季節の概念に囚われる事はないはずだ。
「そういえばユリさんはユリの花が名前の由来なんですか?」
「まあ、多分そうだと思う、真実は友奈…ユリにしかわからんが」
そんな会話をしながら、植物園を巡る。
「フェルは花が好きなのか?」
「勿論ですよ!妖精にとってご飯でもありますし、色んな薬にもなりますし、それに祈りを込める事にも使えますし…見た目も綺麗だし、凄いですよ!それに花言葉も奥深いですよ!」
「そ、そうか…妖精達にも、花言葉とかあるのか」
早口になったフェルに、少しだけびっくりしつつも、花を見て回る。
すると、売店のような施設を見つけることが出来た。
「あ、お花が売ってるな…」
「…お花以外にもハーブティーとかも売ってますね、なにか買いますか、レンナさん?」
何買おうかな?花に鑑定眼を使いながら見ていると1つの花が目に止まった。
『水色のカンパニュラ・メリーベル
園芸初心者でも育てられる宿根草の花。
カンパニュラ・メリーベルは、「誠実」「感謝」という花言葉を持つため、贈り物としても喜ばれます』
これはいいな、サイズ的にフェルの頭に乗りそうだ、フェルにプレゼントしよう。
手早く花を購入して、こちらに向いてるフェルに差し出す。
「フェル、あげる、色的にも花言葉的に似合うし、フェルにぴったりだ」
「え!?メ、メリーベル!?」
フェルが顔を赤くする、待って、花言葉的に顔を赤くする要素ないよね!?
「…………う、受け取ります」
「まって、なんで顔を赤くしているの…変な事にした!?」
「だってこの花の花言葉は…貴女の全てが欲しいという意味ですし…れ、レン」
「待ってくれ、この花の花言葉は誠実、感謝じゃないのか!?」
もしかして人間と妖精では花言葉違うのか?
あ、やば言葉遮っちゃった。
「え、あ!?人間達の間の花言葉だと誠実、感謝なんですね!あ、ありがとうございます」
そう言ってフェルは花を胸でぎゅっと抱きしめてからしまうのであった…。
言葉遮ってしまったけど、フェルはなんて言うつもりだったのだろうか、なんだか聞くに聞けなかった。
その後、少しぎこちない感じだったけれども植物園を周りきった。