2人の休日の始まり
ドアを開けると、そこにはフェルが待っていた、コートではなくワンピースを…いやドレスか?やばい、ワンピースとドレスの違いがわからない…。
自分が着ている服もドレスのなのかわからなくなってきた。
と、とにかくフェルのドレスは自分の今着ている植物モチーフのドレスと違って、装飾が殆どなくて、シンプルな無地の白いドレスだった、足が隠れるくらい長いスカートになっている。
「あ、レンナさん、私がイメージしたドレスを選んでくれたんですね!でもなんでマントをつけているんですか?」
「せ、背中の開いてて恥ずかしかったから、倉庫のマントを借りたんだよ」
フェルの言葉からして、このドレスはフェルが調達した服なのか?じゃあ白いゴスロリはユリか?
一応、こういう時の言うべき事は知っているつもりだ、お出かけの時、女の子が新しい服を着替えたら褒めるべきて友奈から教わった!
「フェルは何着ても似合うね、白い服だと羽の水色がより強調して綺麗だよ」
「レンナさん…そういう事言うんですね…い、意外です」
フェルが数歩後退する、その顔は少し赤い。
あれ、言葉の選択ミスった…その反応はどっちだ?
「えーと、この服はフェルが選んでくれたのか?」
「はい、私のイメージを伝えて、ウランさんがデザインを考えて、リーダーさんが色々と作ってくれました。
白いゴスロリの方もリーダーさんが作ってくれたんです!」
リーダーさんがノリノリで作ったのか、女性3人に言われて渋々作ったのか…後者臭いな。
というかリーダーが作ったドレスなら、性能高そうだなと思って、鑑定眼をドレスに使ったら、防御性能は無く、汚れ無効、破損耐性がついてるだけだった。
「さて、お互い着替えたが…どの街に行こうか?」
「スリー街南側にユリさんおすすめのスポット、スリー北側にはリーダーさんのおすすめのスポット、ツー街にウランさんのおすすめのスポットがあると聞きました!何処から行きましょう?」
候補が3つあるのか?あんまり交流がないから未知数のウランさん、この世界の知識が豊富で安定してそうなリーダーさん、そして妹のユリのおすすめスポットか…。
「なら、ウランさんのおすすめスポットに最初に行って、次にユリのおすすめスポットに行って、最後にリーダーさんのおすすめスポットに行こう、場所は教えてもらってるんだよな?案内をしてくれないか?」
「はい!行きましょう!レンナさん」
胸ポケットに入ってくる…と思いきや耳元で言葉を囁いた。
「レンナさん、私のドレスを選んでくれてありがとうございます、そのドレスとても似合ってます」
「え、お、おう…でも俺男性だからな?」
「?知ってますよ、かっこいいもかわいいもなれるて素敵だと思いますよ?」
ニコニコとした表情で、自分のドレスの胸ポケットに入るフェル…。
服装関連で褒められた事ないから、ドキリとしてしまう。
誰から教わったんだ、あんな囁き…フェルが一人で思いついて、やるとは思えないんだが…。
「…え、えーと取り敢えず、ウランさんのおすすめスポットがあるのは、ツー街だな…」
顔が赤面しないように平常心を装いつつ、自分は魔法陣に乗り、ツー街に向かった。
『本日は夜のみ営業します』
ウランさんのおすすめのスポットは、大人向けのバーみたいだった。
営業時間外なので、クローズの看板とシャッターが降りている…。
初っ端からお出かけは躓いてしまった…。
「………つ、次行こうか!また来れる時間があれば行こう!」
「……は、はい!」
少し悔しげなフェルを見つつも、スリー街へ向かうのだった。