少しの安らぎをスープと共に
自分の目の前には、フェルの作ったスープが置かれる。
それは一見コーンスープ、もしくはカボチャのスープを連想させる黄色いスープの見た目だった、スープに、青い花びらが浮かんでいる。
匂いはふわっと甘い匂いを感じる…。
「ぜひ飲んでください!」
「頂きます」
なぜフェルが、自分にスープを作ったかはわからないけど、自分の為に作った物を、飲まない選択肢はない。
ゴクリと、一口飲んでみる。
…かなり甘い、蜂蜜に近い物を直接飲んでいるみたいだ、それになんか、薬を飲んでいる気分になる。
味は少し美味しいと感じる…。
「飲んどいておいてなんだけど、これはなんというスープなんだ?味は美味しかったよ」
「妖精のスープです!お母さんからレシピを教わって来ました!」
「…そうか」
妖精達は甘党なのかな?ここまで甘いスープは初めて飲んだ気がする。
「最近戦ってばかりでゆっくりする時間なかったので、これが癒やしになればいいんですが…」
「そうか…ありがとうな、フェル…ここ数日は食べ物運搬や虫との戦闘ばっかりで、ゆっくりする暇はなかったな、もしも辛かったら言ってくれよ、結構強行軍気味な気もするし…」
思い返すと、フェアリーガーデンに初めて踏み入ってから一週間も経たずに、虫の軍勢のかなりの部分を倒した事になるんだな…。
それは虫を集める薬のおかげだ…もはや反則レベルで敵を一箇所に集めてくれたおかげで、妖精火門、妖精氷門で一気に駆除が出来たからな。
でも虫の軍勢は回復するから、油断は大敵だ…。
「それはこっちのセリフですよ、レンナさんは本来、ああいった虫は大の苦手と聞きました…いえ、虫型の敵と戦う時のレンナさんの反応で薄々わかってましたけど…」
聞いたて、ユリが教えたのかな、他に教える事があっただろユリ…。
「それなのにレンナさんは悲鳴をだしても、決して戦いの手を止めず果敢に攻撃していたし、今も虫との戦いに思考を使っています、そんな状態だと、精神的にかなりの負担が生じているはずです!今は戦いの事を忘れましょう!」
「す、すまん…」
いつのまにか思考が戦闘狂寄りの状態になっていたみたいだな…。
……多分だけど虫への嫌悪感を無意識に闘争心に変えてたのか?
「レンナさんは沢山頑張ってくれました、だからこそ、無理して倒れてほしくないのです」
「無理をしているつもりはないんだがな…まあ、今はゆっくり休むよ…」
「大丈夫です、レンナさんのおかげで虫はたくさん倒されて、結界内の皆のご飯の問題はかなりマシになりました、だから1日位休んでもいいんですよ?人の街で遊ぶなら付き合いますし…」
休むか…なんか夏休みの真っ最中なのに休めと、言われるのはなんだか変な気分だな……しかし街…?
「もしかして、街で遊びたいのか?」
「………あ、遊びたいです!明日いっぱい遊びたいです」
なんか謎の葛藤があったな…まあ、フェルがそこまで言うなら乗ってあげたほうがいいだろう。
虫の軍勢も1日で戦力を大幅回復したりはできないはずだ。
「わかった、遊ぼうか…」
「わーい!楽しみにしてますね!レンナさん!」
こうして明日はフェルと一緒に街で遊ぶ事になった。
でもファンタジーフリーダムの街中で遊ぶ所てあるのかな?またカジノはちょっとあれだし、ユリに聞いたほうがいいかもしれない。
そんな考えをしながら、自分は晩御飯の時間になり、ログアウトするのだった。