シンクロの力…?
結界の外にでた自分達、まずはシンクロの力を確認したい。
シンクロの説明文にあった一文を確認する。
『時に心を交わした相手の力が使える場合がある。』
つまり自分も魔法が使えるようになった可能性がある…。
ここは雷魔法を使って、フェルをびっくりさせよう!
「チェインライトニング!」
「……レンナさん、雷魔法使えませんよね?」
何も起きなかった…静電気すら起きなかった…。
…うん、ミスった…チェインライトニングはフェルの力ではなくて、杖の力、装備の力だ…。
フェルが使える魔法は補助魔法だ、でも補助魔法だと披露にはちょっと向いてない…。
「レンナさん、疲れているなら休みましょう…?私は嫌ですよ?レンナさんが無理して倒れるなんて…」
「いや、待ってくれ、急に魔法を唱えたのには理由があるんだ!」
胸ポケットの中から心配そう見つめてくるフェルにシンクロに関しては説明する。
しかしフェルは上手く理解できてない。
「私の力をレンナさんが使えるようになって、レンナさんの力が私に使えるようになる?」
「えーと、例えば自分はフェルの補助魔法を使えるようになって、フェルは二刀流が上手くなったり、物作りが上手くなる…感じ?」
「うーん、上手く活用出来る自信がないです、私一人で物作りはしませんし、二刀流はしませんよ…?レンナさんはMPが減るほど防御性能も減る防具をつけてるから、あんまり補助魔法を使う事には向いてないですし…」
「ま、まあ覚えておくと、後々役にたつかもしれないよ!取り敢えずさっき魔法を唱えたのは、そういう事だから!取り敢えず虫を倒すよ!」
未だ引きずってる恥ずかしさを隠す為、強制的に話題を変える為に、虫を集める薬の残りを全て開封して、遠くに投擲する。
恥ずかしさによって生じたパワーで虫を集める薬はかなり遠くへ飛んでいった…50メートル位飛んだか?ゲームだから飛んだ距離だ…。
数分待ってみるとブーと虫の羽音が聞こえてきた…。
「うえ、トンボか……?」
羽音が聞こえる所を見ると、そこにはトンボではなく、蝉の大群がいた!!
家庭用の電子レンジ位の大きさで、薬を複数使った影響か、かなりの大群で空の一部分が茶色や緑に染めている。
蝉の種類はわからんしわかりたくもない!鳥肌がやばいよ!
「うぇ、蝉…」
「なんですか、あれ?始めてみました…」
蝉が虫を集める薬が落ちた所に集まったと思ったら、爆音で鳴き始めた!
「ーーーーーー!」
フェルが耳を塞いで叫んでるが、蝉の爆音で聞こえない。
でもうるさいです!といってるのはわかった。
あ、これはもう妖精火門を使った方がいいな、早く使わないと耳がおかしくなりそうだ…もう音波兵器だ!
「妖精火門!」
「ーーーー!」
2つの魔法陣が展開される、妖精火門で見る赤い魔法陣と妖精氷門で見る青い魔法陣だ。
やべ、フェルと一緒に切り札を使ってしまった、MP勿体ない…。
そう思っていると、2つの魔法陣が合体して、1つの白い巨大魔法陣になった。
「え、なにあれ?」
そう言った瞬間、魔法陣から極太の白いビームみたいなのが撃ち出された!
そして、ビームが着弾した所が大爆発した!それと共に強烈な爆風が、こちらに叩きつけられる!
「うあ!?」
爆風によって、小さな体が吹き飛ばされる!
なすすべなく体は受け身を取れずに、地面に叩きつけられた!
HPバーが2割ほどゴリッと減る…そこそこ吹き飛ばされたみたいだ…。
「くう…」
「い、痛いです…」
最悪だ、うつ伏せに倒れたせいで、自分の体重でフェルにダメージを与えたみたいだ…。
ちょっとまってくれ、アースキーのダメージ肩代わりは…もしかして自分が与えたダメージは肩代わり出来ないのか?
「ご、ごめん!フェル無事か!?」
「ぶ、無事です…り、リジェネレート」
「今薬だすから!」
急いで起き上がって、フェルをいたわる。
フェルはリジェネレートを唱えるが、MP不足で不発していた。
持続回復のコートを着ていても、そんなすぐにMPが回復するわけではない、HP回復薬を取り出して、フェルに飲ませる。
「うんく…うんく…もう大丈夫です、痛みが引きました」
「良かった……しかしどうしてこうなったんだ…?」
蝉がいた所を見ると蝉はおらず、近付いて見ると、ビームと爆発で、大きく地面が抉れた巨大な穴があるだけだった…。
まさか二人で唱えると相乗効果が発揮するのか?
これもシンクロの影響なのかな?
凄い力だけど、2人共MPがゼロになる、効果範囲が広すぎる、爆風食らったから妖精火門や妖精氷門の時みたいに仲間に無害という効果が消えてそう。
………オールモスキートを倒す、最後の切り札となるけど、明らかに凄い使い勝手の悪いスキルだ!?