黄金蜘蛛戦!ファーストクエストの因縁を斬れ!
妖精火門の火柱が消えると、殆どの虫が燃えカスとなって、赤いエフェクトを放って消えていく。
そんな中、黄金蜘蛛は色んな所が焦げて、ダメージを食らった感じはあるが、未だ死ぬこと無く、殺意をこちら向けていた。
あ、あれ…やばい、アースキーは弾かれて、火光の切り札は有効だったが、火光にあるMPタンクは空なので、消費MP量によって威力が変動する妖精火門でもうあれほどの高火力は出せない。
逃げた方がいいな…そう判断した時…。
「知っていたが、やはり安易に避けれぬか…だが!」
黄金蜘蛛が跳躍して自分達の頭上を通り過ぎて結界の近くに着地する!
「お前らだけはもう逃さん!」
再び蜘蛛の糸を撃ち出して、攻撃してきた!
「逃げ道を封じてきたか!」
蜘蛛の糸を回避する。
逃げる場合は黄金蜘蛛の横を通り過ぎて結界に飛び込むか、黄金蜘蛛に背を向けて、地魂の遺跡へ行く転移魔法陣を使うべきだが…この状況で逃してくれるとは思わない。
戦うしかない!アースキーが弾かれるなら共鳴で取り敢えず雷の力を宿して感電を…と思った瞬間、アースキーに雷がバチバチと宿る。
「レンナさん、戦いましょう…きっともう少しで倒せるはずです!金属みたいに弾かれるなら雷で感電させましょう!」
「ああ、同じ考えだ!」
火光をしまい、アースキーを両手で持つ。
「いい加減、貴様らの命をよこせ!」
再び黒い蜘蛛の糸を撃ち出す!
「お断りだ!」
「エレメントブースト!」
蜘蛛の糸を回避して、接近して殴りかかる!
ゴン!と打撃音と共にバチバチ!とアースキーに纏った雷がフェルの魔法で威力を増して、黄金蜘蛛に迸る。
「があああああ!」
黄金蜘蛛の叫び声が聞こえるが構わず殴り続ける!
「ななめめるるるななは!!」
「うぎゃ!?」
やけくそなのか、決死の反撃なのか、感電中の黄金蜘蛛の黒い蜘蛛の糸が顔面にぶっかけられる、やばい、顔が焼けるように熱いし!前が見えない!
「しねえぇ!」
「うが…」
視界不良のせいでよくわからないが吹き飛ばされて、体が地面に転がされる。
視界不良になっても視界端のHPバーははっきりと見えていて、リジェネレートで回復していたHPバーは2割になるまで、消し飛んだ事を知らせる、それにまた黒い蜘蛛の糸のせいでHPバーがジリジリと削れ始める。
「レンナさん!立ってください、リジェネレート!」
フェルの声を聞きつつ、なんとか立ち上がる。
システム画面を操作して状態異常の薬を取り出そうとするが…。
アイテム一覧の名前が黒くなってて、読めなくなっているのだ。
薬の単語だけ読めるが、それがHP回復薬なのか、MP回復薬なのか状態異常回復薬なのか、はたまた虫を集める薬なのかわからない。
もしかしなくても、視界不良のデメリットか!やばい!?
「左に飛んで回避してください!」
一度薬を取り出す事を諦めて、フェルの言葉に従い左側に飛び込むように回避をして、すぐに立ち上がる、やばい、これ時間経過で治らないのかな?
「レンナさん、顔大丈夫ですか!?」
「ごめん、目が使えなくなった!」
フェルの声に答える、腕で目を擦って、蜘蛛の糸を取ろうとするが蜘蛛の糸が取れない、治らない。
「避けるな!」
「レンナさん、バックステップです!アイスボール!」
フェルの言葉に従いバックステップする目の前で大きな音がする。
くそ!どうにかして視界が戻れば…。
そう思った時、視界が見えるようになる…あれ?でも視界にはアースキーを握った自分の手ではなく、ネージュフラワーを握った手が目の前に見える。
これは今見えているのは胸ポケットにいるフェルの視界!?
「いってぇが、そんな氷の玉で殺せると思うなよ!」
「地門!」
地門を使うと狙い通りに大地の針が作り出され、黄金蜘蛛の攻撃とぶつかりあって相殺される。
「な!?」
「フェル!黄金蜘蛛を見続けて欲しい!」
「わかりました!」
フェルの視界がしっかりと黄金蜘蛛を捉える…。
フェルの視界で自分の体を動かす…本来なら違和感を感じるはずなのだが、何故か違和感を感じない。
再び黄金蜘蛛が攻撃してきたが、回避して、黄金蜘蛛にアースキーを叩き込む!
その時バチリと雷が流れる。
「があ!?なんで見えてないのに動けるんだ!?」
「フェル!雷だ!」
「はい、チェインライトニング!」
フェルは魔法で雷を放ち、自分は黄金蜘蛛の背後に回り込み、共鳴の効果で雷を纏ったアースキーを叩き込む!
「ぐう…があ!」
倒れ込む黄金蜘蛛。
それと同時に視界が自分本来の視界に戻る…正常になったみたいだ、どうやら状態異常の効果時間が切れたみたいだ。
「なんとか倒せたみたいだな…」
なんで視界不良時にフェルの視界が見えるようになったんだ?