もう一つの黄金
もう1つの虫を集める薬を開けて、全力で遠くへ投擲する。
しかし数分待っても虫は来ない…もしかして同じ所で使っても効果ない?そう思っていたら、再び虫が殺到してくる。
だが殺到してきた虫の中に、黄金の虫が混ざっていた、黄金の巨大蜘蛛だ。
「この香り、やはりお前たちか」
「黄金の虫は喋る特性でも得られるのか…?」
喋る黄金の蟻の次は黄金の蜘蛛かよ!?
というかやはりお前達?…黄金の虫なんて蟻しか見たこと無いが…まるで過去に自分達が虫を集める薬を使った事を知ってるみたいだ。
他の虫は虫を集める薬に夢中になって、群がっているが、黄金蜘蛛だけは、薬に惑わされずにこちらを見ている。
「まさか森で逃した2匹がここまで脅威になるとはな、あの時はめちゃくちゃ弱そうに見えていたが…」
森で逃がした2匹?まさかファーストクエストの巨大蜘蛛!?
「お前は黄金の蟻を運んでた蜘蛛だよな、なんで黄金になって喋ってるんだ…?」
「教える理由も、義理はない!今度こそしね!」
黄金蜘蛛は、黒い糸を吐き出して攻撃してきた!
まあ、そうだよな、敵対関係だし!
黒い糸を回避して、アースキーを地面に突き刺す!
「地門!」
大地の針が黄金蜘蛛を貫くが、なんか効いてる感じがしない!
「は、その程度か!」
黄金の蜘蛛が更に、蜘蛛の糸を高速で撃ち出してくる。
だけどナナサカさんの攻撃で素早い攻撃に慣れた自分には余裕を持って回避できる。
「パワーアップ!スピードアップ!」
「でりゃあ!」
ガキン!
黄金の蜘蛛に接近して、フェルの補助魔法を受けつつ、顔面にアースキーを叩き込むが、金属とぶつかりあった音がして弾かれる。
「死ね!」
黄金の蜘蛛が黒い蜘蛛の糸を放つ、近すぎて回避が出来ずに、下半身にガッツリと当たってしまう。
「あっつい…」
「リジェネレート!」
服越しなのに、蜘蛛の糸が当たった所がジリジリと焼けるように痛い、やっぱり酸性の糸というやつか!
罰ゲームでやらされた、虫と戦うゲームで蜘蛛が酸性の糸を吐いていたのを思い出す!
HPバーが減ったり増えたりしている…なんとか黒い糸を振りほどきたい…。
「死ね!」
黄金蜘蛛は足を動かして、突き刺しにくる!下半身に付いた黒い糸のせいで回避が難しい!
「火光!」
火光も取り出して、二刀流で黄金蜘蛛の足を受け流す。
「火ならどうだ!」
火光を黄金蜘蛛に突き刺すと、アースキーと違って、黄金蜘蛛の胴体に刺さる!
火光から火が噴出して黄金蜘蛛の中を焼く。
「ぐう…離せ!」
黄金蜘蛛はジャンプしてこっちと距離を取る、逃げられたか…というかこっちも蜘蛛の糸から脱出せねば。
「お前ら!何時まで理性失ってるんだ!とっとと爆発しろ!」
黄金蜘蛛が叫ぶ、すると薬に夢中になっていた大量の虫がこちらを見ていた…やばい、薬の効果が切れたのか!
複数のダンゴムシが丸くなって、こちらに突撃してくる、なんかダンゴムシの肌色が、赤と緑のシマシマで、なんか嫌な予感がビリビリする。
「アイスボール!」
アースキーで下半身に纏わりついた黒い蜘蛛の糸を斬っている間、胸ポケットいるフェルが氷の魔法でダンゴムシの突撃を防いでくれる。
だがダンゴムシの一匹がこっちに飛んでくる!すると光を発して爆発した!
「ぐう!?」
「きゃあ!?れ、レンナさん!大丈夫ですか!?」
爆発で吹き飛ばされて、地面に転がされる。
おかげで蜘蛛の糸から解放されるが、HPバーが残り3割まで減ってしまった。
リジェネレートの効果でHPは回復しているが、もう一度食らうのは危険だ。
「ぐう…蜂といいダンゴムシといい、自爆攻撃搭載の虫多くないか……?」
ロボットに自爆機能はロマンとはあるが、生物に自爆はロマンはなく笑えない。
初手で妖精火門を使っておくべきだったか、黄金蜘蛛に警戒しすぎたせいで、大量の虫を妖精火門で倒すという計画は完全に崩壊してしまった。
いっそもう一度薬を使うか?逃げて妖精達に黄金蟻戦の時のような支援を頼むか?
「これで終わりだダンゴムシいけ!」
考えてる暇はない、再び爆発するダンゴムシが突撃してきて、更に黄金蜘蛛は黒い蜘蛛の糸を撃ち出す。
「妖精火門!」
全てのMP、またMPに依存する防具の防御力を全てリソースとして使用する、最大の切り札を使う、ダンゴムシや色んな種類の虫の足下に魔法陣が展開されて、火柱が噴射する!
「フェル、敵が抜けてきたら牽制して!」
「はい!」
敵が火柱で見えないが、相手もこっちの現状は見えないはずだ、すぐさまMP回復薬を取り出して一気飲みをする。
火柱はすぐに消えないのは今までの経験で知っているが、焦って飲んでむせそうになる。
なんとかMP回復薬を一本飲み切る。
これでMPと共に、防御力は多少回復した…。
虫にはどれだけ被害を与えたのだろうか?