オールモスキートの根城に向かう
地図を片手に、たったと駆け足で走る。
時間の都合上、最初は虫を避けて走っていたが、オールモスキートの根城に近づくほど、虫の量が増えて、避けられない戦闘の頻度が多くなってきた。
本当は戦いたくなかったが、虫はこちらの事情なんて知ったこっちゃない、食わせろと言わんばかりに、突撃してくる。
それをアースキーで倒していくが、ふと気づく…飛ぶタイプの虫はサッカーボールやバスケットボール位の大きさの虫が多かったが、だんだん野球ボール位に、小さくなっている事に…。
攻撃を外すこともだんだん増えてきた、その際フェルが、すかさず杖から攻撃魔法を放ってくれたおかげで、大したダメージ無く進んでいる。
「……やばいな、敵が小さくなってきた」
「何がやばいんですか?見た目的にはマシになってきましたが」
「小さいと、その分アースキーが当てにくくなってくるからな…戦いにくくなる」
デカいのは、見た目はえぐくて嫌だし、小さければそれはそれで厄介だ。
もしも、現実の蚊の大きさで、刺された時に状態異常を付与してくる敵が出てきたら、対応出来る自信がない、実際にいたら色んな人がゲームを投げそうだ。
「あ、あそこです、あそこが…目的地です」
「妖精が作った建物だよな?デカくないか?人間サイズだぞ?妖精が作った物なのか?」
フェルの指差した所には、人間が作ったのでは思われるレンガで作られた城があった…ぱっと見、3階建てなのかな?
大きさからして、妖精が住むには大きすぎる。
まあ、城て人間が住むにも、でかいと思うけどな…。
「この建物は、はるか昔からあるみたいです、少なくとも、誰が作ったのかは不明です」
「そうなのか……?」
建物が全部妖精サイズだったら、色々と不便があるからゲーム的都合なのかな?それともなにかあるのかな?
「しかしこのくらい立派な城だと、鍵がありそうだよな…潜入に苦労しそうだな」
「いえ、この城に鍵はありませんよ」
「入ったことあるのか?」
「入ったというより、住んでました…皆で」
あーなるほど、マンションみたいに使ってたのかな?
しかし花も木々もない荒野で、ポツンと城があるのはなんか怖いな…。
「まあ、今日は根城の確認だけで、オールモスキートと戦う予定じゃない、帰ろうか」
フェルにそう言って、きた道を戻ろうとした時、声が聞こえた、最悪の声が。
「おやおや、まさか生きていたとは、思いませんでした人間」
「…オールモスキート」
自分の目の前にオールモスキートが現れた…ボストンボ戦後の遭遇では、姿を見る事はなかった。
実際に見てみると、フェルの追体験で見た時よりも大きくなっていて、胴体が赤黒く光っている、大きな羽はプーンと音を立てていて、ジュルリとホースのような口がうごめいていて、鳥肌がたつ。
虫嫌いの本能が逃げろと警鐘をならしている!!
「ほう、私のことを知っているのですか、人間…もしかして以前吸い殺した人間の子ども?妹かい?」
「ユキさんの事か…?」
「れ、レンナさん…どうしますか?」
どうやら髪と眼の色合いが似てるからか、ユキさんの身内に間違われているみたいだ…。
胸ポケットにいるフェルが心配そうに杖を構える、杖を構えたのは戦いたいという、意思に感じ取れた。
だが…逃げるべきだ…。
実際に姿をみてわかった、色々と足りてない…レベルと戦闘技術、戦う為のアイテムも時間も…可能なら人も増やしたいレベル。
「生きて帰ることを最優先、今勝つのは難しい」
小型でフェルに伝える。
どうやって逃げる?
取り敢えず話をしながら、じっくりと後退を試してみるか。
「子供でも妹でもない…だけど…あんたの話は聞いたよ…」
「へえ、私も有名になったものですね」
「ああ、なんでも吸うらしいね…」
そう言うとプウン!と音を鳴らして一気に接近してきた!
あ、これ逃げられんやつだ、スピードが自分達より早い…。
「しかし貴方…凄く美味しそうな匂いがしますね…普通じゃない匂いがします」
「地門!」
地面にアースキーを刺して、オールモスキートに攻撃をするが、地面から生えた大地の針は回避されてしまった。
逃走は無理だ!こいつ、吸い殺す気満々だ!