総力戦の後は冒険譚のお話を?
結界内に入ると、ぐったりとした妖精達が出迎えてくれた。
「お疲れ様ー…」
「つーかーれーたーのー…」
「儀式魔術はなんでこんなしんどいだ…」
「お腹空いたー」
「なんというかありがとうな、儀式魔術使ってくれて…」
ぐったりとしている妖精達にお礼を言う。
そういえばさっきの戦いでどの位、虫の軍勢の戦力を削れたのだろうか?
システム画面を開いてクエストを確認する画面を呼び出すと、そこには虫の軍勢の戦力残り55%と表示されていた…。
幹部を倒したことで大幅に戦力を削る事が出来たのだろう、黄金蟻そのものは弱くても、軍として付与する力はとんでもなかったからな。
おぞましい大量の虫を倒したのも、大幅な戦力減少に繋がったのだろう、もう一度やってと言われたら全力で首を横に振りたいが。
よっしゃ!と心の中でガッツポーズをしていると、フェルのお母さんが話しかけてきた。
「結界内から見させていただきました…あのおぞましい虫達を相手に、よく果敢に戦ってましたね」
「いや、皆さんの支援がなければ怯えて逃げてましたよ…お陰で強い蟻を屠る事が出来ました、というか、結界内からこっちの様子見ることができたんですね」
「みれるのは結界の管理人だけー」
「みてないのー」
「どんなふうに戦ったか、教えて欲しいー!」
「メシアを貸して欲しいよー!」
わらわらと妖精達に囲まれる、可愛い妖精が多くて気分がいい、というか元気になるの早いな!?
「むーレンナさん、あんまりデレデレするのは良くないと思います」
「え?デレデレしてたか?」
いや、ちやほやされていい気分になってたのは確かだが、それがデレデレになってたのかな?
「皆、レンナさんを困らせてはいけませんよ?この後はどうしますか、レンナさん?」
「ゆっくり休んでMPを回復してから、貰った地図を使って、オールモスキートの根城を確認したら、今日は家に帰ろうかなと思っています」
フェルのお母さんの質問に答える。
妖精加護が強化されたおかげで、フェルが側にいればMPは持続的に回復するようになったが、今日はこれ以上、虫との激戦はしたくない。
何度戦っても、虫嫌いなのは変えられず、精神的にきついのだ、だからオールモスキートの根城だけ確認して今日はもう虫とは戦いたくない。
「それなら私達とお話して!」
「二人が出会った話を聞きたいのー!」
「他の人間の事を聞きたいぞー!」
「聞きたい聞きたい!」
「あーいいぞ、休みながらで構わなければだが」
そう言うと妖精達はやったー!と騒ぎ始める。
更に、今日持ってきたお菓子など持ってきて、完全に楽しむ構えだ…。
「えーと、どこから話せばいいのやら…」
取り敢えずフェルとの出会いから話し出す、蜘蛛に囚われたフェルを命がけで助けたことや、共に武器や防具を作って、冒険した事を話す。
皆が凄いー!強いー!と話してくれるからかなりこう、嬉しくなるな、これが名声というやつ?
女性の妖精が、これは運命の出会いよー!とキャーキャー言っている、まあ、確かにフェルと会って無ければ、ここまで冒険することは確実に無かったから、運命の出会いなのは否定できないな。
妹であるユリや、世話にはなってるリーダーさん、アイドルのリオアや友達のアッシュルさんに、TTの話をするとあってみたい!と言われてしまったが、皆忙しいから難しいなーとしか言えなかった。
言えば力を貸してくれると思うが、ナンバークエストのせいで呼ぶ事が出来ないんだよな。
夏イベントの話は特に盛り上がった、海とはなにか、水着とはなにかと質問攻めになって大変だったけど、答えるのがなかなか楽しかった。
しかし、フェルの水着を作った話と自分の魅力されたシーンは、言わないでおこうとしたらフェルに言われてしまった。
その時は女性の妖精からやっぱり出来てるんだ!と顔を赤くしてはしゃいでいる…。
…何て反応すればいいのかわからず…まあ、そっとしておこう。
これ全部話す頃には、オールモスキートの根城確認する時間あるのかな?と思いつつも、話すのが楽しくて沢山話すのだった。