続ける理由
さて、これで本来なら妹の願いを果たし、もうこのゲームをやる理由はなかったはずなんだが…。
「どうかいたしました?レンナさん?」
「考え事をしてるんだ」
胸ポケットの中でこっちを見つめるフェル…今辞めるとこの子はどうなるのだろうか…?良くないイメージが湧き上がる…。
いやこのゲームをめっちゃやってそうな妹に託せば悪いようにはならないと思うが、一度助けた以上、最後まで面倒を見るべきだろう、うん、そうするべきだ。
「なあユリ、ちょっと相談したいことが…」
「はいはい、自分がログアウトしてる間のフェルの状態の事だよね、私も今のお兄ちゃんの状態はレアすぎて扱いに困るけど、取り敢えず私のホームに行って、お兄ちゃんのリスタート先を私のマイホームにしよう、そうすればフェルも自由に行き来可能になるはずだよ?」
「そのマイホームて俺も持てないのか?」
「今は無理、高いからね、取り敢えずここで話すより私のマイホーム行くよ」
そういってユリに連れられてユリのマイホームに移動した。
更にユリの教えに従って、リスタート地点をユリのマイホームにする、これで倒れても過労死しても、町の中ではなく、このユリのホームに戻ってくるらしい。
この機能はハイフレンド限定機能と書いてあったが、ユリの説明ではこのゲームではフレンドとハイフレンドのシステム画面があり、フレンド状態だとメール機能と通知機能等が使えて、ハイフレンドではマイホームの共有機能など親密な関係じゃないと使えない機能があるらしい…。
妹だったから、言われるがままにハイフレンド申請にオッケーしたが、今後は気を付けよう。
「と、そうだそうだ、参考の為に私と逸れて、フェルと出会った話を教えてよ」
「あ、ああ…わかった…」
本音言えば思い出したくもないトラウマ体験だったが、妹とは共有したほうがいいと思い、話をする。
巨大蜘蛛に拘束されて、連れ去られた話と拘束を切ったら一緒に繭が切れて、中に囚われのフェルがいて、その後拒否すれば自分だけ逃げられるファーストクエストが出て来て、逃げるよりもフェルを救うために挑む事に決めて、クエストを受けた事を話す。
クエストを受けた後、シャベルを有効活用して救出、その時に蜘蛛に気付かれて、逃走してたら穴の所まで来て、ユリと会ったと話した。
最後に落下死して、クエストが終わり、称号とスキルを得たことも話した。
「ファーストクエスト…レベル1状態で初手数字クエストを引き当てるなんて…いや、だからこそフェルが仲間に…」
「ファーストクエストてそんな凄い物なの?」
いやまあ、トラウマになる的な意味ではとんでもなく凄いが…。
「ファーストクエスト…というか数字つきのクエストは発動条件が極めて難しくて、ほぼ発生させた人の限定のクエストになるの…その影響かクエスト報酬がオンリーワンな物が多くて、それを必死に探す人が多いんだよ…。
あと時折セカンド、サードなど続き物になるから、気になるなら続けたほうがいいよ」
む、そう言われたら気になるな…やる理由が増えたな…。
因みにユリも数字つきクエストを体験したことがあるらしい…。