壊れた杖を修理をしよう
次の日の朝、ファンタジーフリーダムにログインして、フェルと合流、杖を直す為にゼロオーダーの工房に訪れた。
中には誰もいない。
「早速杖を修理してみよう」
「はい、レンナさん!完璧に仕上げて、ユキさんにお返ししましょう!」
ユリの説明に従って、レシピと壊れた杖をセットすると…。
『破損した武器の欠落率0%、追加素材無しで修復可能です、修理しますか?』
おお、これで修理できるのか…呪血鍛冶の効果で血を注ぐ事も出来るが、これはオフにする、血を使いすぎて、最大HPを減らすわけには行かないからな…。
「あのレンナさん、補助魔法や武器に魔力を注ぐだけじゃなくて、私もハンマーを振るって、手伝いたいんですが…もう一つのハンマーはありませんか?交互にハンマーを振るえば効果が増えるかもしれません!」
「いや、ハンマーを振る係は自分に任せてくれないか?しっかり役割分担しないと、出来る物もできないよ?」
フェルの提案したやり方だと色々と難易度が凄そうだ、それこそ一心同体じゃないと無理なやり方な気がする。
「そうですか…わかりました、私はサポートに専念します!」
「ああ、頼む、補助魔法や武器に魔力を注ぐなんてこっちには出来ないから、頼りにしているよ!」
「はい!」
今まで通りのやり方で行くことを決めてから、自分は鍛冶装置のスタートボタンを押した!
修理と言ってもやり方は強化と似たようなこと感じだった、杖の形をした真っ赤な金属を叩くだけだ。
フェルの沢山の補助魔法を体に受けつつ、ハンマーを振るい始める。
しかし、ハンマーを叩く事に雷のエフェクトや氷のエフェクト、光のエフェクトがランダムに発生して少し怖い、手応え的にはしっかり叩けてるはずなんだが…。
なんと言えばいいのか、エフェクトが発生しているのに杖そのものに力を感じない!
「くそ、これでどうだ!」
ガイン!と音と共に仕上げボタンが発生して、それを押して、修理を終わらせる……しかし出来た杖は純白ではなかった。杖は灰色でくすんで見える、新品に直したばかりのはずなのに。
『封印されし教導の杖
属性:封印中
ステータス:攻撃+1
特殊効果:封印
特殊スキル:封印
封印された杖、封印は持ち主の手に渡るか、強力な力で封印を解かない限り、真価を発揮出来ない』
『レンナはスキル修理のレベルを1獲得しました』
「これじゃあ綺麗に直せたかわかんない…!それに見た目的に、綺麗に直った感じがしない!」
一応修理スキルを確認する、修理時の難易度低下だったり、MP消費やHP消費を軽減する効果だった。
「封印て、おかしいですね…ユキさんは封印術なんて使えないはずなんですが…?」
「まあ、何かあったんだろう?それでも持ち主の手に戻れば、解除されるみたいだから、イツキさんに渡せばいいかな」
多分ナンバークエストの影響で、封印されているのだろう…?
システム画面を開いてから、フレンド一覧を確認すると、イツキさんがログインしているのを確認できたので、イツキさんに杖が直ったから会いたいのメッセージを送る。
しばらく待っているとイツキからシンプルなメッセージが届いた。
『ワン街の入口で、会いたい』
「イツキさんが街の外で待っている、杖を渡しに行こう」
「あのレンナさん、今更聞くんですけど、イツキに杖を渡したら…ユキさんと会えますか?」
「……そればかりはユキさん次第としか言えないな、ユキさんのカギロイを失った悲しみよりも、再びフェルにあえる喜びが勝てば、会える可能性はあるが…それにユキさんの生活事情もあるからな…自分の生活でそれどころじゃないなら、会えない可能性もある」
「そうですか…」
落ち込むフェル…だがここで嘘を言うわけにもいかない。
「でもきっと会えるよ、今は夏休みと言って、人と人が出合いやすい季節だからな」
「そ、そうなんですか?」
夏休みという言葉で励ましつつ、自分達はワン街の入口までむかった。