フォークエストと予期せぬ出来事
『フォークエスト
巨大な虫と妖精と結界
成功条件
虫の軍勢の戦力を30%まで削るもしくはオールモスキートの撃破
失敗条件
他の味方プレイヤーと共にフェアリーガーデンに行く
最終防衛ラインである結界の崩壊
強制終了条件
フェルの死亡
成功報酬
失敗ペナルティ
特記事項
妖精の結界の性能や出力は妖精達のMPや食料や生活事情に左右される。
現在の虫の軍勢の戦力は72%
今後の戦力はクエスト一覧で確認できます』
やっぱりナンバークエストだったか…それにしてもやはりと言うべきか、他のプレイヤーを連れて行くことは出来ないのか…。
結界はまあ、あの妖精達の結界の事だろう…事によっては集中攻撃されて、結界が崩壊とかあり得るのだろう…気をつけないといけないな…。
因みにサードの時と同じく拒否権はない、自動で受理された、元から拒否する気はないからいいんだが…。
システム画面が消えた後、視界が正常に戻ると自分達は、地魂の遺跡の最奥に立っていた…明るさだけはあった荒野の世界から一転、薄暗い遺跡の中で目が暗さに慣れるのが大変だ。
辺りを確認したら、当然だがリーダーさんは居なかったが…他のプレイヤーが自分が転移してきた事に腰を抜かしたように座っていた。
そのプレイヤーは何時ぞやレイドバトルで見た男性神官騎士の姿をしていた…というか夏イベントのレイド戦リオアファンの神官騎士だ…。
「まさか小さい農家を召喚出来てしまったのか!?」
「何時ぞやのリオアファンの神官騎士、なんでこんな所に…?因みに自分は魔法陣で移動してただけだ、神官騎士に召喚されたわけではないぞ?」
というか名前も知らないから会うことはもう無いと思ったんだが、まさか再び出会えるとはな…。
何なんだろうな?知り合いと会いやすくなるシステムがあるのかなと思っていたけど、それ以上の何かを感じる…気がすると思うのは自意識過剰なのだろうか?
「そうですか、失礼したが再びお会いできて光栄です!小さい農家よ!」
「すまん、自分は農家ではなく鍛冶屋なんだ…神官騎士」
起き上がり、手を出してくる神官騎士に、握手で返しつつ、レイド戦で訂正出来なかった事を訂正する。
「な、シャベル使いなのに農家じゃなかったのですか!?鍛冶屋ならハンマー使いだと思いました」
「偏見凄いな…ハンマーは鍛冶以外で使ってないよ」
もしかして、鍛冶屋ならバトルハンマーとかスレッジハンマー等のハンマー系の武器にボーナスとかあるのかな?まあ、今更武器を変える気にはならない。
「えーと、所で神官騎士は、どうしてこんな所に?ゴーレム狩り?」
「…いえ、探し物をしているんです、まあ全然見つかりませんが…」
捜し物か、そういうクエストをやっているのかな?
「探し物か…鑑定眼はあるけど、捜し物に有効なスキルは覚えて無いから力にはなれないな」
「いや、気持ちだけで十分だ…何処を探しても見つからないし、半ば諦め気味に探している物です…」
何処探しても見つからないて、どんだけ難易度が高い探しものなのやら…?それとも男性神官騎士が捜し物が苦手なだけか?
「なあ、何を探してるんだ?」
「幼なじみの武器です、一緒にプレイしていたのですが引退して…何処に遺したのやら…」
幼なじみの武器なのに何処に残したのかわからない?引退や幼なじみの言葉からして、同じプレイヤーの武器だよな?変なの…リアルで聞けばわかるんじゃないのか…?
「と、そうだ!俺の捜し物より、小さき鍛冶屋にお礼を言うのを忘れていました!あのレイド戦のおかげで推しのリオアからサイン色紙を貰ったんだ!本当に感謝しかない!」
そう言って、リオアのサイン色紙を取り出して、こちらに見せてきた。
サイン色紙に
『イツキへいつも応援ありがとう!リオア☆』
と書かれている、凄くアイドルぽい見栄えがいい書き方だ…。
その瞬間、胸ポケットに隠れながら、神官騎士を見ていたフェルが、あああああ!!!と叫び、フェルの声が地魂の遺跡に響き渡った。
ちょっと待ってフェル、何処に叫ぶ要素あったの!?