思考のノイズと下手な気遣い
「取り敢えずさっきも言ったけど、大体の状況は分かった…少し結界内を散歩してきていいか?少し一人で考え事をしたい」
なんとかフェルのお母さんに頭を上げて貰った後、自分は一人で結界の中を歩いていた…。
散歩を提案した時、フェルもついていこうとしていたけど、お母さんや友達と積もる話があるなら今のうちに話しておきなさいと言って、置いてきた。
「ふう、どうするかなこれ…
フェルとフェルのお母さんに合わせた結果、少し思った事がある…。
これ以上フェルを連れ回すのは酷ではないかと…。
……まあ、かと言って、フェルの協力無しでオールモスキートを倒せるかと言われたらかなり厳しい…ネージュフラワーを手にしたフェルはめちゃくちゃ頼もしいし。
というか大前提としてフェアリーガーデンに行く為には妖精の存在が必須だ、他の妖精の力を借りるという考えもあるが………なんかそれは違うだろという考えになるな。
フェルはどう考えるんだろう、多分お願いしたら一緒に戦ってくれそうだけど…お母さんと一緒に居たいという気持ちや考えもあるはずだ…。
はー自分だけでフェアリーガーデンに行けたら、単独でオールモスキートに挑むとかできるんだけどな」
そんな事を言いながらぼんやりと花畑を見渡す。
本当に綺麗な風景だ、ずっと見ていたくなる…。
背後を見ると大きな大樹があり、沢山の穴が空いていた、そこは妖精の住処となっている、フェルのお母さんが言うには仮住居らしいが…。
万が一自分がやられたら二度と見られなくなるのかな…それはやだな…と纏まりのない考えをしていると背後から話しかけられた。
「レンナさん、何馬鹿な事を考えているんですか?」
「うお!?き、聞いてたのか?フェル!?というかいつから聞いてたの!?」
「ふう、どうするかなからです」
うーん、ほぼ全部聞かれてないか、これ?
「というか友達やお母さんと話さなくていいのか?」
「確かに話したかったけど、殆どの知り合いの無事を確認できました、今はそれで十分です、それにレンナさんは結構無謀な性格をしているので、ほっとけません!」
「無謀て…」
結構トゲがある言い方だ…。
というか殆どの知り合いの無事を確認できたのか…それなら、ナンバークエストを頑張ったかいがあったな。
「単独でオールモスキートに挑もうという考えがある時点で、無謀ですよ!なんでユリさんやリーダーさんの力を借りるという考えがないんですか!」
「え、えーとそれは…」
サードクエストで他のプレイヤーと一緒に妖精の故郷に行くことを失敗条件にされてたせいで、助けを求める考えをしても、どうせ力を借りに行く前にフォークエストとか発生して、他プレイヤーの協力は借りたら駄目ですと言われそうで、そんな発想が出なかった。
「私はレンナさんの側から離れるつもりはありませんよ!それに私だって、ユキさん、カギロイの仇を取りたいんですよ!」
「ああ、そうだったな…」
考えが色々と浅はかだったな…フェルの方がオールモスキートに因縁がある…それにフェルは自分だけ逃げるという選択肢は取らないのは、少し考えればわかることだろう…。
「すまん、色々と考えすぎて考えがドツボにハマっていた」
素直に謝る…はあ、下手な気遣いをしてしまったと言う事か…。
「取り敢えず、これからもよろしくな?」
「勿論です!」
少なくとも目標は変わっていない、自分達の目的はオールモスキートの撃破だ。
その為には必要なのは…MP回復手段だな…セーフティゾーンで休めば、回復するかなと思ったが全く回復しない…MP持続回復が無ければ、休憩しても意味はないのか…MP回復アイテムはボス戦に備えて温存しておきたい。
一旦ユリのマイホームに戻る事も考えたが…オールモスキートが結界付近で出会ったし、何処で出会うか不明な為、下手な外出はリスクになる、万全な状態ならともかく、消耗している状態では出会いたくない。
初回は咄嗟の判断で妖精火門使ったおかげで逃げれたが…次は通用しないだろう…。
さて、どう動こうか…と考えているとシステム画面が現れた。
一瞬ナンバークエストか?と身構えたが、来たのはユリからのメッセージだった。