ネージュフラワーの試し撃ち
地魂の遺跡に行く道中、リーダーさんはフェルに話しかけた。
「所でフェルさん、貴女は今のレンナさんの状態で故郷に踏み込む事に納得しているのか?」
「え!?……わかりません」
わからないて…どういうことだ?
「確かにレンナさんの装備は強くなりましたし、私も強い杖を手に入れました…だけどレンナさんは戦いの専門家という訳ではないです…実力の底がわからないオールモスキートと戦えるかどうか…」
「オールモスキート?それがボスの名前か?」
「はい、リーダーさん…でもレンナさんが言ってた早く故郷に行けば、まだ生きている知り合いを助けられるかもしれないという可能性もあるから危険を犯す価値はあると思うのです…でも私とって友達もレンナさんも大事な存在だからどっちも失いたくないのです…」
フェルも悩んでいるんだな…でも俺は死んでも生き返るから失う事はないと思うが…?
もしかしてユキさんの件があって、慎重になってるのかな?
「なあ、地魂の遺跡からフェルの故郷に行く方法はわかってるけど、逆にフェルの故郷から地魂の遺跡に行く事は出来るのか?」
「理論上は可能とカギロイから聞いた事がありますが…私が単身で使った時は、森に落ちてしまったので…なんとも言えません…でも魔力がごっそり減ったので1日に何度も使えるものではないです…」
なるほど、魔力がごっそり減った…MPをかなり使うみたいだな、座標がずれると気軽に使えないのか…大変そうだ…。
「ふむ、ならフェルの故郷に行く際のMP…魔力は俺が提供しよう、行ってMPが尽きた状態の所を襲われて、レンナ達が殺られるなんて困るからな」
「そんな事出来るのか、リーダー?それならありがたいけど、いいのか?」
「ああ、一度やったことあるからなんとか出来る、MP回復薬をたくさん買ってくれたし、サービスするぜ」
ありがたい、MPが減るほど防具の守りがもろくなるからな、MPを減らさずに済むなら、それが1番だ。
しかし道中敵が襲ってこないな…なんでだ?
「なあ、リーダーさん…敵が襲って来ないどころか逃げていくんだけど、なんかしたのか?」
「俺のレベル以下の敵が来ないように、敵避けの魔法を使ってるぞ、会話してたし必要かなと思って使ったけど不要だったか?」
「不要ではないけど、ネージュフラワーの試し撃ちしたいからちょっと魔法切ってほしいかな」
リーダーさんのレベル以下…リーダーさんのレベルて多分ナナサカさんと同じ上限の45だよな…?ここ周辺にいる全部の敵逃げるじゃないか…それだとネージュフラワーのお試しが出来ない…。
「わかった、フェルさん頑張ってな」
「はい!早速やってみますね!」
リーダーさんの敵避けの魔法がオフになった瞬間、一匹の狼がこちらに向かってきた!
「アイスニードル!」
胸ポケットに入っているフェルの一言で、フェルの掲げた杖から高速で氷の針が射出される!
しかし狼は氷の針を回避する!
「アイスチェーン!ホーリーボール!」
しかし狼は氷の鎖に巻き取られ、光の玉に撃ち抜かれて、力尽きた。
「凄い…今まで使えなかったホーリーボールがこんなにあっさりと…」
「敵を拘束する事もできるのか…これは強いな、フェル」
「はい、これならチェインライトニングも使えると思いますので、虫の大群に襲われてもなんとかなります!」
「レンナさん、虫の大群て大丈夫なの?」
「な、なんとかする!から大丈夫だ、リーダーさん!」
……虫の大群かー…そうだな、追体験の時は必死だったけど、フェルの故郷に行けば、当たり前のように虫の大群と戦うこともあるんだな…めっちゃ…いや、少し重くなった足取りを、無理矢理動かして地魂の遺跡に向かった。