地魂の遺跡に行く準備
「これは幻影を呼び出して、援護をしてもらうアイテムですよね?ナナサカさんから刀神のやつを貰っています」
「あー…あれか、あれも俺が作った物だ…全く気前が良いものだな…」
あれも作った…?つまりこのゼロオーダーの呼札もリーダーさんが作ったのか?凄いな…。
「それは特別な支援型のアイテムだ、ボス戦等のピンチの時に使ってくれ、これは刀神と違ってどこでも使えるやつだからな、もう一つ欲しいとは言うなよ?作成コスト的に何枚も作りたくない代物だからな…」
「あ、ありがとうございます…でもなんでこれを?」
「言ったろ?ユリから事情は聞いているて、万が一が起きてレンナさんが引退したら、ユリが凹んで、荒れたらこっちに被害きそうだからな、なら少しでも太い命綱を渡すということさ…それにフレンドが不幸になるのは嫌だしな」
万が一…フェルの故郷で自分が倒された場合かな…出来れば想像したくない最悪だ。
「なるほど、なら命綱を大事に使わせていただきます」
「エリクサー症候群にならんように気をつけてくれよ?」
「エリクサー症候群?」
「強い消耗品を大事に持ちすぎて、使うべきタイミングを逃す事をエリクサー症候群というんだよ、フェルさん」
フェルがエリクサー症候群に関して疑問を持つが、リーダーさんが説明してくれた。
「それじゃあ、自分達はそろそろ地魂の遺跡に行ってくるよ、リーダーさん」
「あ、地魂の遺跡の最奥までは一緒について行っていいか?あの魔法陣が動く所をみたいんだ」
「ああ、それは構わないが…」
「えっと私の故郷まで力は貸してくださらないんですか?ナナサカさんとあれだけすごい戦闘をしていた、リーダーさんが一緒に居れば万全です!」
リーダーさんの言葉にそんな疑問を投げかけるフェル、リーダーさんは迷ったような表情をしてからこう言った。
「悪いが今はまだ無理だ…だが時が来れば、必ず君達の力になるからそこは安心して欲しい」
ユリから事情を聞いているということは、ナンバークエストの失敗条件や報酬の事も聞いているのだろう、リーダーさんはなんとかいけない理由を絞り出していて、申し訳ない気持ちが湧いてくる。
「フェル、リーダーさんにはリーダーさんの事情があるんだ、ただでさえ設備借りたり、強力な支援アイテムをただで貰ってるんだ、これ以上甘える事は出来ない…」
フォローを入れる…本当は自分だって、ユリやリーダーさんの力を借りたいけど、ナンバークエストの失敗条件があるからな…。
多分だけど、自分みたいに数や強者の力を借りて、ゴリ押しや他者に頼りすぎるプレイをさせないように、他のプレイヤーと共に行くという失敗条件があるのかな?
「そ、そうですね…残念です…リーダーさんが居てくれたら、レンナさんが大怪我する可能性が低くなると思ったんですが…」
「フェルさん、そこはレンナさんの腕を信じてあげな…レンナさん、もしも消耗品が必要なら安値で売るから言ってくれよ」
消耗品か…回復薬は前に潤沢に買ったのがあるし…。
あ、アースキーに付与された地門というスキルを使う事を考えたら、MP回復薬をある程度買ったほうがいいな、お金ならTTがお菓子と共にくれたお金がある!
「MP回復薬を売って欲しい!リーダーさん」
「はいよ、毎度ありだ…買った以上生きて帰れよ?」
自分達はリーダーさんから、15本のMPが200回復する、高級なMP回復の薬をTTから貰った25万で買って、リーダーさんと共に地魂の遺跡に向かったのだ。