レンナ鍛錬中。
「ちょっと待ったー!ユリ、流石にその組み合わせは不味いから止まってくれ!」
唐突にリーダーと呼ばれた人がユリを止めに入る。
自分はどうすればいいかわからないので、取り敢えず、先程立たされた金床の前に立っておく。
…リーダーが止めた理由は何となくわかる、流石に材料に花火の粉は爆発しそうだし、使えないだろう。
ユリとリーダーが組み合わせがあるだの、火の温度調整とか話してるが、前途多難…なのかな?
「フェル、もしも熱くて耐えられなくなったら、俺の背後か、ユリの所まで行ってくれ」
「わかりました、レンナさん、でも見てるだけじゃ嫌なので可能な限り助力しますね」
自分は熱いのは慣れているがフェルはわからない為、一応注意を促しておく。
「すまない、レンナさん、ユリがめちゃくちゃな組み合わせでやろうとしてたから、止めさせてもらった、材料がめちゃくちゃだと、鍛錬時に爆発しちゃうからね」
「ま、まあ花火の粉とか入れてたら爆発してもおかしくないですからね…後うちのユリがご迷惑おかけします」
リーダーに話かけられたので、対応する…リーダーの視線が好奇心の塊のような視線でなんかムズムズしてしまう。
「取り敢えず爆発はしない組み合わせのレシピにするけど…レンナさんは鍛冶スキルどのくらいあるの?」
「え、一応プロになかなかと言われる程度…です」
「ふむ、レベルまでは教えてくれないか、でも上級者レベルなんだな、そのくらいの難易度調整するよ」
リーダーの言葉で鍛冶スキルが、投擲術等のスキルレベルの事だと気付いたが、訂正出来ずにリーダーはユリの所に行ってしまった…大丈夫かな?と少し不安を感じていると、空間の温度が上がり始めた。
鍛冶場の機械が動き始めたのだ、現実では鍛冶屋見習いなのに、機械の正式名称が言えないのは現実で見たことない機械だからだ。
多分金属を溶かすやつなのかな…?炭とか用意したり、金属の質を分けたりする必要ないんだな…まあ、ゲームだし、そこら辺はリアルにしたら誰もやらないか…。
ゴトンとなんの金属の塊かは分からないが、真っ赤な燃えた金属が、ご丁寧に自分の所に運ばれてきた。
それと同時に自分の手元に冷やす、熱する、ひっくり返すというスイッチのようなアイコンが現れる、なるほど鍛錬の所は自分でやれというやつか?
後の工程がどうなるかで打ち方が変わる為、後の工程が何も説明されてないのが困るが…やるしかない。
「リジェネレート、フェアリーウィッシュ」
フェルの声が響き渡る、フェルのサポートだろう。
そのサポートを背に自分はハンマーを振るい始めた。
一振り一振りするだけでも、派手に火花が飛散る…不純物が飛び散ってるはずだが、下手したら不純物じゃなくて金属の質が花火と飛び散って、質を落とす場合がある。
だがそれは現実での話であって、ゲームの場合はその限りではないはずだ…。
「はあ、はあ…」
未知数だらけの鍛錬は予想以上に精神が削られる。
どれだけハンマーをたたきこんでひっくり返して叩いたのか分からなくなって来た時…。
「形を整えて冷やして焼入れして!」
そんな声が聞こえた、初めて聞く声だったが、未知数だらけでほぼ直感で、ハンマーを振るってた自分はそれに従う。
形はユリが森で振るってた剣に合わせる。
「ブーストエレメント!」
仕上げなのか、フェルの声も大きくなる。
そろそろ終わりだな、そう思った時、冷やすアイコンの隣に仕上げのアイコンが現れたので、それをパンチするようにアイコンを押した!
するとファンファーレの音と共に視界が下に下り、世界がまがり、視界が真っ暗になってしまった…。
視界が元に戻ると、自分は…初めてこの世界に舞い降りた所にいた。