クッキー食べるフェル
次の日の午前中は親の手伝いでログイン出来ず、お昼ご飯を食べた後、ログインするとユリのマイホームの中で箱詰めされたお菓子の山の上で、お菓子を食べるフェルがいた。
「どうしたんだフェル?そのお菓子の山は?ユリが買ってきたのか?」
「いえ、TTさんからの贈り物みたいです、私とレンナさん宛だったので少し頂いています」
TTの贈り物?なんでユリのマイホームに届いているんだ?
そういえば近くにいなくても、アイテムや装備を配達という形式で送れる設備があるとユリが言ってたっけ?それをTTが利用した結果、自分がリスタート地点としているユリのマイホームに届いたのかな?
「あ、贈り物の中にメッセージがありましたよ、昨日急に決闘を挑んだ詫びと、呪い素材を加工時に必要だった、薬代やビーコンというのを送っておくとの事です」
良く見てみると、箱入りお菓子の山の隣に25万が入った袋と光り輝くランプが置かれていた。
薬代は、ウランさんから聞いたのかな?
「相変わらず律儀だな」
お金は受け取ろう、ビーコンも良くわからんが貰おう、お菓子は鑑定眼で見てみたらNPCにとっては極上のお菓子と鑑定結果が出てきた。
高級品なのだろうか?地味に種類がある…一つ食べてみたが、プレイヤーが食べても少し味がする程度の安価なお菓子みたいだ、なら全部フェルにあげたほうがいいだろう。
「お菓子食べ終わったら、工房でアースキー強化しような」
「はい!」
少しの間、自分はフェルにとっては、マンホール位の大きさのクッキーをほうばるフェルをのんびり眺めた。
ハムスターのように、ほっぺたを膨らませていた可愛らしいな。
俺はのんびりユリのマイホームにあった、飲んでもいいよと書かれた冷蔵庫にあったお茶を飲む、お茶は普通にお茶の味があった。
「レンナさん!これとっても美味しいですよ!」
「そうか、良かったな」
数十分後、自分達はゼロオーダーの工房に来ていた、そこにはリーダーさんがいた。
「いらっしゃいレンナさん、フェルさん今日も鍛冶の設備を使いに来たのかな?」
「お邪魔してます、リーダーさん、アースキーを昨日呪血鍛冶と同時に手に入れた、改造のスキルで強化する為に使わせてもらいます」
「え、呪血鍛冶取ったの?フェルと一緒に行動してるのに、最大HP低下はかなりリスキーだと思うが…というか昨日手に入れたのか改造…なるほど、また一つユリの無茶振りが一つわかった」
リーダーさんが両目を丸くして驚いている。
ユリの無茶振りて、ウチの妹は何やってるんだ…?
「ユリがまたご迷惑かけたようですまない…因みにどんな無茶振りを?」
「武器を強化してーと、中級レベルの武器を、ユリが実践で使える上級レベルまで、鍛え上げる羽目になったよ、俺は裁縫、細工担当なんだが…」
「もしかしてその武器の名前はレンフェルソード?」
「………ああ」
気まずそうに言うリーダーさん、ナナサカさんと互角レベルで戦えて、裁縫と細工にも詳しい以上、確実に高レベルの鑑定眼持ってるだろう。
そんなリーダーさんなら剣の製造者が自分だってわかるはずだ…というか剣を作った時、その場にいたしわからないほうが変という話だ。
「すまない、リアルで鍛冶仕事しているレンナさんからしたら、専門家でもない俺がレンナさんが作った武器を改造して強化するのは聞いてて気持ちいい物ではないよな…」
「いや、むしろ良かったと思ってるよ、ユリは上級レベルの強さなんだろう?それなのに自分が初めて作った武器が、足を引っ張ったら悲しいし、リーダーさんは雑に扱ったりしてなさそうだし、しっかりこっちの気持ちを考えてくれたし、リーダーさんが強化してくれて良かった!」
そういうとリーダーさんは顔を背けた、褒められ慣れてないのかな?。
そりゃあ自分だって、自分の作った物を雑に使われるのは嫌だけど、リーダーさんは丁寧に扱ってそうだから安心できる。
「同性とはいえにここまでに手放しに褒められるとこうも恥ずいのか…」
「リーダーさん、顔赤いです…大丈夫ですか?」
「気にするなフェルさん!ほら、鍛冶設備使うんだろ!ご自由にどうぞ!」
そう言って、鍛冶設備を指差すリーダーさん。
なんか微笑ましいな、まあ、ありがたく使わせてもらおう。