決闘終了、納品完了
『決闘の勝敗が決まりました!勝者レンナ!
両者の状態を決闘前に復元します』
体が光に包まれてすべてが全回復する。
しかし妖精火門の効果範囲がバリアの中全部になるとは…。
MPの大半を注ぎ込んだ一撃とはいえとんでもないな…妖精火門の火が自分を焼く効果があったら、相打ちだったな…。
「殴るつもりが焼き尽くされたとは…なにあの大魔術、初見殺しじゃねーか…火属性の耐性装備必須じゃねぇか」
「一応一回は殴られたからな…?」
「ショットナックルは遠距離攻撃をだから殴ってないぞ!まあ、生のリオアの歌を聞きながら、戦えただけ、幸運と思うか」
「そんなことより、納品物だぞ、受け取れ」
システム画面を操作して、作った武器をTTに送りつける。
「おーすぐ作ってくれたのか、ありがとうな!これ受け取ってから決闘するべきだったな」
「いや、作ったから呼んだんだからな?蹴りは食らってなかったから、勝敗は変わらんぞ?」
取り敢えず納品はこれでよし…。
観戦組の方に向くと、フェルが突撃してきた。
「レンナさん!大丈夫ですか!?」
「大丈夫だ、お互い様傷一つないだろう?戦闘後両者回復する決闘だから喧嘩じゃなくて競争に近い感じだぞ」
「もう、そうだとしても決闘は程々にですよ?それで仲違いしたら悲しいですよ」
「まあ、対人戦闘は事によっては仲違いに繋がるけど、大丈夫だ、そうだろ?TT、なんやかんやで仲いいだろ?自分達」
「リオアさん!サインください!あ、さっきの一曲サイコーでした!」
「いいよーいつも応援ありがとうね☆」
……TTはリオアからサインを貰っていた。
こちらの話なんて聞いてない…。
「……」
「……」
フェルとの間に無言の時間が流れる。
「友情よりもアイドルへの愛が勝ったのね…」
「TTさんとは友達…なんですよね?レンナさん?」
ウランさんが感想をもらし、フェルが疑問の眼差しを向ける。
「…TT、埋めていいか?」
アースキーをTTの背後の地面に突き刺す。
この行き場のない気持ち、TTを埋めて晴らしてやろうか…。
「言っておくけど俺は一応怒ってるからな、錬那」
「…何に?」
「リオアと接点あったのに、聞いた時に完璧に嘘を疲れたこと」
……あー…そういえばそんな事あったな、あの時はまだリオアと接点無かったからな…。
嘘付いたと思われてるのか、もしかして決闘挑んだ理由の一つなのか?
「あの時はまだリオアと縁がなかったんだよ、リオアと縁が出来たのは夏休みイベントの最序盤だし」
「レンナの言ってることは本当だよー」
「まじか!お前どんだけ運いいんだよ!?」
リオアの言葉に驚くTT、リオアとの出会いは運がいいという感じではなかったと思うが…まあ、変に言ってこれ以上拗れるのは避けたいのでここは黙っておく。
「まあ、今日はもう戦いも冒険も仕事も店じまいだ、フェル、一緒に泳ごうか」
「はい、レンナさん!」
「ウランさん、泳ぎで競争しようよ!」
「いや、リオア、私は泳ぎ苦手だよ?まあ、でもこんな時じゃないと泳がないか…わかったよ、付き合うわよ、そっちのTー…Tさん?も一緒に競争する?」
「え、あ、はい!よろしくお願いします!」
こうして各自で満足してログアウトするまで自分達はセーフゾーンの海で泳ぐのであった。
後々聞いた話だがウランさんとTTは仲良くなってフレンドになったらしい…楽しそうでよかった。
ウランさんのメインプレイ時間が深夜帯だから頻繁に会えそうにないけど、また会えたらいいな。