純白の杖、ネージュフラワー
ユリのマイホームで復活した自分は、すぐに工房に戻った。
「お帰り、レンナ…全くリーダーさんは、とんでもない人を連れてきたわね」
「お騒がせして、もうしわけない…」
「本当によ、最初にてっきり鍛冶設備壊れたかと思ったわよ」
少しジト目で見てくるウランさん、悪い事をしてしまった…。
「おかえりなさいレンナさん!杖が出来ました」
フェルが純白の杖を掲げて、こちらに見せてくる。
『記憶の妖精門の鍵
属性:氷
ステータス:攻撃力+1、魔法力+39
特殊効果:MPタンク(300/300)、魔法のスピードアップ(中)、苦痛耐性(中)、装備制限:フェル、レンナ
特殊スキル:妖精氷門、ユキの魔術
レンナとフェルが協力して作った妖精門の鍵、形状は純白の杖、2つの記憶結晶が使われていて、かつてフェルに魔法を教えていた女性が持つ数多の魔術を扱えるようになる。
また、妖精の故郷に繋がる鍵となる。』
『特殊スキル:妖精氷門
全てのMPを使い大自然の氷の力を妖精の門を通して開放する、消費したMPが多いほど氷の力と範囲が高まり広がる、このスキルで使うMPは鍵の持ち主のMPと武器のMPタンクのみ。
特殊スキル:ユキの魔術
以下の魔術が使えるようになる
上級氷魔術、中級雷魔術、中級土魔術、中級火魔術、初級聖魔術』
うーん、呪血鍛冶のおかげか、シンプルに強い…というかアースキーが見劣りしてきたな…こう見るとレンフェルソードもそんな強くなくて、あの時ユリは褒めていたけど、気を使っていたのかな?と思えてしまう。
「あ、あのレンナさん!この杖私が名付けていいですか?」
「ああ、なんという名前にするんだ?」
「ネージュフラワーにしたいです!」
ネージュフラワーか、システム画面をタッチして杖に名前をつける。
「凄い力を感じます!これならあいつを…!」
確かに強いが…だからこそメイン武器であるアースキーを強化したい…。
そういえば、呪血鍛冶を獲得時、改造というスキルを手に入れたな…それを使えば、アースキーを強化できるかもしれない。
『改造
装備を強化できる、強化対象に対応した設備でスキルを使うことが出来る、強化するために使ったアイテムが希少で多いほど、性能が上がりやすくなるが改造の難易度や作成時に要求されるMPが上がり、失敗時のリスクがあがる』
改造の説明を確認する、希少なアイテムか…。
「やっほーレンナお兄さん、今日も遊んでるね」
リオアの声が聞こえる、声の方向を見たら、当たり前だがリオアが立っていた。
「お兄ちゃん?リアル兄妹なの?というか男性なの?」
「ランダム作成でこうなったんだよ、中は数歳年上のユリの兄だよ」
ウランさんが頭を傾げるので自分の姿の経緯を話す。
「あーなるほどランダム事故ね、このゲームのランダム作成はしっかりと格好いい姿、かわいい姿を作ってくれるけど、極稀に性別と真逆の姿を作られてしまうのよね…しかも姿を変えるシステムは無いから、一度なったらそのままという…災難だったわね」
なんというか、荒れそうなシステムだよな…。
「所でフェルの武器を作ったの?かっこいいね」
「はい!これで戦闘にもっと貢献できます!」
胸を張るフェルが微笑ましい。
「あ、そうだリオア、武器の強化素材に良い物を知らないか?アースキーを強化したい」
「うん、アースキーの強化素材?それならアース・ドラゴンの牙かな?」
「アース・ドラゴン?」
「そうそう、アース・ドラゴン、スリー街とフォー街の間のダンジョン、竜の砦にいるボスだよ…そいつを倒せば確定でドロップするよ」
スリー街とフォー街を行き来するに、攻略必須のダンジョンか…あれ?でも確定で落ちるなら言うほど希少ではない気が…でもフォー街に行く為にも、行っておくのはありか?
「ふむ、ならばいくか」
「あ、アース・ドラゴンの牙ならあるわよ、欲しいなら売るわよ?」
ウランさんが、ゴロゴロと大量のアース・ドラゴンの牙をだした。
「まさか地龍の弓を手に入れる為に周回したのが、役にたつとはね」
……どうやら行く必要はなかったみたいだ。