やっとたどりついた鍛冶場
ユリの部屋に入ってきた時に立っていた所に立つと、足下の丸い魔法陣が光り輝き、視界が真っ白になったと思ったたら、工房とおもわしき所に立っていた、鍛冶場以外にも布を作るための施設やフラスコなど科学薬品を取り扱う施設もあるみたいだ。
「おーい、ちょっと鍛冶作業台借りるよ、リーダー!」
「珍しいな、いいぞー…て、その子誰?なんで体操服?初心者…?NPC?」
リーダーと呼ばれた人がこちらを注目する、体操服に触れられて恥ずかしくなったので、ユリの背後に隠れる。
「私の新武器を作ってくれる逸材だよ、とっておきのコネで連れてきたよ」
「え、鍛冶屋…??体操服の鍛冶屋????」
頭にハテナマークを浮かべたリーダーがこちらを観察しているが、ユリは気にせずに自分を鍛冶場に立たせた。
「一応さっき部屋でやり方教えたけど行けるよね?」
「無茶言うな、バーと溶かして、ガンガン叩いてジューと冷やす!て言われてもわからないよ、それに材料がない」
そう言うとユリはゴトリと赤い牙のような物、金と思われるインゴット、赤い木炭のような物、真っ黒な粉末を出してきた。
「これで作れるかな?」
「待て待て待て待て、薄々わかっていたけど、色んな意味でユリのご期待に沿えないぞ?」
まず材料がめちゃくちゃだ、インゴットはともかく他のやつがわからない。
鑑定眼のスキルで牙は風の龍の牙、木炭は火炎の木炭、黒い粉末は花火の粉と名前はわかるが、どう使えばいいの?
どうあがいてもリアル知識なんて意味を成さないだろう、自分が取り扱えるのは現実にある物質だし、それに金なんて高価な物は取り扱えないわ!
それに花火の粉は確実にここで使うものじゃ無いだろう!?
「レンナさん、必要なら補助魔法で力を貸しましょうか?」
「フェル…ああ、材料が未知数すぎて、妖精の手も借りたいくらいだ、力を貸してくれ…ユリ、材料駄目にしても文句言うなよ?」
「大丈夫!文句言う前に、お兄ちゃんなら出来るよ!今回はシステム操作は私がするからお兄ちゃんは眼の前に出てくる金属を叩く事だけに集中してよ!」
そんな根拠のない大丈夫を言いながら、ユリは鍛冶場を動かし始めた……めちゃくちゃだが、まあ、これもユリの楽しい誕生日にする為に、出来る限り頑張るか…そう気合を入れて、ハンマーを強く握りしめた。