雪山からの下山
「なんというか予想以上楽だったな…フェルちゃんがボスを魅了したのが大きかったな、氷将軍と敵対してたら天候操作で吹雪吹かされて、視界不良の中で更に雪の中でもガンガンに動けそうな馬に乗られて徹底的に不利の中で戦う羽目になってただろうし」
下山中、TTが登山の感想をこぼす。
道中で敵が出てきても、1体か2体なので苦戦することはなかった、兎や小さな氷のゴーレムも倒せたし、自分もTTも数的不利が取られなければ、この雪山でもなんとかなるみたいだ。
自分の場合は火光の力のおかげなので、MPが尽きる前に山を出たいものだ。
まあ、火光を振ってたおかげで、剣術のスキルをレベル1で覚えれたが。
「個人的には楽な方がいいよ、死にたくないし…もしかして戦いたかった?」
「いや別に?というか俺には眼中になかったなあのボス…」
「まあ、フェルに魅了されてたからな、魅了の力てとんでもないな…」
自分も経験したが、本当にあの状態はフェル以外に見られなくてよかった…。
「しかし本当にびっくりしたよ、フェルちゃんがレンナの胸ポケットの中で凄くセクシーな水着を着ていたとは…くく…」
TTに氷将軍が魅了されていたのは水着の効果と教えて、TTにフェルの水着姿を見せたが、TTは魅了されず、代わりに馬鹿みたいに笑っていた。
TTにとってはフェルの魅力より、自分が高露出の水着を作ったたという事実がありえなくて、面白かったらしい…。
あんまりにも笑いすぎて、こっちは音の衝撃で雪崩が起きないかハラハラしていたからな、氷将軍も縄張りの範囲外なのか、来なくてよかった…まあ、代わりに5体の牙が長くて赤い兎に襲われてそこそこ大変だったが…。
まあ、自分も高露出の水着を作るとは、ファンタジーフリーダムをやる時には思ってなかったけどな、だからと言って、あそこまで笑うなよな…まったく。
「そういえばフェル、なんで氷将軍に特大の氷の結晶の作成を頼んだんだ?作れるかどうかわかっていたのか?」
「いえ、作れるかどうかは賭けでした…でもウィンディーネが水の結晶を作ったと言ってたので、氷の名前を関する氷将軍さんなら作って貰えるかなと思いまして…」
なるほど…結果としては最善の結果を引き寄せたということか。
「ファインプレーだったな、フェル」
「えへへ、頑張りました!これで鍵が作れますね!」
フェルの頭を撫でるとフェルは笑顔になった。
うむ、可愛らしいな。
「…なんというか、もしもガチの一目惚れだった場合氷将軍かわいそうだな…」
「え?魅了じゃないのか、TT?」
「ファンタジーフリーダムのNPCは一目惚れする場合があると噂があるよ、まあ普通に長時間の魅了だったのかもしれんが…どちらにせよ今の二人は完全に恋人カップルだったぞ、氷将軍が勝てないレベルの」
……唐突に恋人カップルと言われても、リアクションに困るんだがな。
「恋人カップル…」
「ああ、スクショして掲示板に貼ったらモテない人達から嫉妬の嵐が巻き起る位に二人は仲いい風に見えるぞ?」
「フェルに変な事いうなしTT」
赤面するフェルに変な事いうTTを小突く。
「いて、過保護だな」
「自分達みたいに無限に立ち上がれないんだから、過保護にならない?」
「まあ、NPC過保護になる話はちらほら聞くな、やりすぎるとフェルに嫌われるだろうから程々にな?」
程々にと言われても、一歩間違えたら死に繋がりかねない世界だからな…調整が難しいものだ。
「それにしてもスキー道具を持ってくればよかった、スキーならあっという間に降りれそうだ」
「いや、この雪山でスキーてかなりリスキー過ぎないか?坂が結構すごいし、モンスターも出るし、攻撃されたら、まともに戦えないだろ、ストックで刺せそうだけど、現実的ではないし」
「えーでもロマンあるだろ?」
TTは突拍子も無い事をいうな…ロマンがあるとはいえ、ダメージ食らったら少なからず衝撃が来るのに、整備されていない山でスキーとか、かなり危険だ、素人のやることではないのはたしかだ。
「そうだTT、下山した後武器作りたいし、工房に行きたいからパーティ別れて良いか?」
「え?工房て俺は入れないの?」
「無理だな、所属してないチームの工房を借りてる状態だから自分が勝手に他人を入れるのは不味いんだよ」
そういうとTTは少し悩んでからこういった。
「俺も武器作成を依頼していいか?」
「いいけど、レシピと素材は持ち込みで頼むぞ?」
「あいよ、セーフゾーンについたら渡すぞ」
そんな会話を交わしながら自分達は下山しきった。