雪山の世界、頂上付近の氷将軍
氷のゴーレムがいた周辺の採取ポイント、採掘ポイントからアイテムを取り尽くした自分達は、更に登山を続けた。
敵があんまり出ないのは、過酷な環境だからか?
それに雪の積もりっぷりが凄くて、かなり登山スピードが遅くなっている、膝くらい積もっている。
水着でこの状況てリアルだと、絶対助からないだろうな…とそんな事を思いつつも、余裕を持って耐寒の薬をフェルと一緒に飲んでおく。
「気をつけろレンナ、ここらへん氷になってて、滑りやすい、下手な転び方したら滑り落ちて大怪我だ」
「わ、分かった、というか道なき道行ってないか?他の登山者はここ通ってるのか?」
「他のプレイヤーは複製された別の山を登ってるから、他のプレイヤーの登山跡はないぞ?」
そう言いながらもザクザク進んでいるTT、なんか特殊アイテムを使ってるのか?と思うほどこっちと違って足取りが軽い。
「なあTT、山頂て後どれくらいあるんだ?」
「そこそこまだ先があるぞ、けど目的は大きい氷の結晶を手に入れるだろ?」
「そうだけど、ここまで来たのなら山頂まで行きたくなった」
せっかく苦労して高い所に来たんだ、せっかくなら頂上まで行きたい。
「なんだ?鍛冶屋から登山家にクラスチェンジする気か?」
「しないわ、というかあるのか登山家?」
「あるぞ、そのクラスになれば雪山でもサクサク登れるらしいぞ…うん?なんだこれ?」
TTが何かを見つけたみたいで自分も見てみると、そこには地蔵みたいな物と朽ちた看板があった。
看板を見てみると、頂上ま■あ■約1…と書いてあるが…数字や文字が欠けすぎてまともに読めないが、頂上までの道しるべみたいな物だったのはわかる。
「地蔵には、なんかお供えものされているな…これはエリクサーだな、貰っていこう」
「あのTTさん!お供えものを持っていくのは良くないと思います!」
「そうだな、この世界で罰当たりな行動したら本当に良くないこと起きそうだし、やめとこう?」
エリクサーを持っていこうとするTTを止めるフェルに同意するが、TTは気にせずに自分の所持品にしまう。
「大丈夫だよ、それにこういうトリガーで強敵が出てくるなら雪や氷系の敵だ、倒せば特大の氷の結晶手に入るかもよ?」
「それで勝てない強敵出て来たら一生恨むぞ?事によっては、お前置いて逃げるからな?」
「ああ、エリクサー取ったのは俺だから、ヘイトは多分ほぼこちらに向くだろうから、任せてくれ」
このファンタジーフリーダムの世界、何がトリガーで、何が起こるかわかったものじゃないから少し怖いが、まあ、最悪TTに責任とって逃走時の囮になってもらおう。
そんな事を考えながら登山を再開するが…10分もしないうちに、みるみると目に見えて天候が悪くなってくる、風も吹き始めてきた、視界も悪くなる。
「おい、早速罰が当たってないかTT?」
「あはは…すまん、強敵感知した、こっちに近付いてくる」
「あーもう!悪い事はできないな!」
火光を構えて身構える、TTもカタールを装備して戦闘の構えを取る。
「我が名は氷将軍、我が領域に何用だヒューマン」
声の方向を見ると、白い馬に乗った全身に黒い和風の鎧を纏っている将軍が視界不良の中現れた。
領域?ここを縄張りにしているのか?言葉が通じるなら、会話で敵意を解く事が出来れば、戦闘をしなくて済むかもしれない。
戦って勝てば、氷の結晶が手に入る可能性があるとしても、避けられる戦いなら避けたい!
「知らずに勝手に領域に入ってしまって申し訳ない、氷将軍様、自分の名前はレンナ、自分達はただの登山していて、別に領域侵害や貴方に攻撃する考えはございません、このまま登山の為に貴方の領域を通りすがらせて欲しいです」
出来る限り、丁寧に言葉を紡ぐ。
TTはこっちの意図を読んで黙ってる。
「ふむ、身の程をわきまえているみたいだな、我とて領域に入ってきたから即殺すほど知性無き暴虐ではない、通り過ぎるが…な!?」
驚く氷将軍、え、何事?TTじゃなくて自分を見ている。
いや、自分じゃない、胸ポケットのフェルを見ている!
「そこの小さい妖精よ、名をなんという?」
「え!?わ、私はフェルです…」
「そうですか…素敵な名前だ…ぜひお茶をしませんか?」
「え?え?」
唐突のお茶のお誘いに混乱するフェル、え?もしかして水着の効果でフェルに魅了された?というか氷将軍男なのか?