高田との合流、雪山への準備
ユリのマイホームに降りるとフェルは眠っていた…。
「もしかして、共鳴の試練で疲れたのか?」
水着に着替えた後、寝ているフェルの頭を人差し指で撫でる、フェルは無防備眠っている。
「うーん、一人で行くか…?」
雪山は危険な所だ、フェルを置いていくのも選択肢だが…。
寝ているから置いていくというのも、かなり酷いよな?
「ねぇ、起きて、フェル…」
「……お母さん…?」
「………レンナだよ」
お母さんという言葉に、なんと言えばいいのか悩むが、自分の名前を告げる。
「………あ、おはようございます!レンナさん!」
「すまんな起こして、一人で冒険に出かけるのは良くないかなと思って起こしたけど、眠いならまだ寝てるか?今日は予め誘った友達と、冒険に行くんだが…どうする?一緒に行く?」
「行きます!」
そう言って、寝起きとは思えない速さで、素早く胸ポケットに入り、自分が水着になってることに気付いて、水着に着替えるフェル、そんな急がなくても自分は逃げはしないんだが…。
というかこのバンドゥ・ビキニを着た高露出の水着フェルを高田に見られるのか…雪山に登る為に夏イベント会場を集合場所にしたのは間違ったか…?
いや、どちらにせよ夏イベントステージじゃないと結晶手に入らないからどちらにせよか…。
「友達て誰ですか?私が知ってる人だと名前で言いますよね?」
「ああ、フェルはまだあったことない友達だ、名前は後々わかる」
そう言って自分は集合場所に向かった。
集合場所と言っても、入口近くにある消耗アイテムを売ってる海の家だが。
「ここだよな…」
「あの、友達てどんな人なんですか」
「頭はいいんだけど、お調子者で宿題は基本極限まで後回し、プログラミングが得意な男性だよ」
フェルに高田の事を教えていると、短髪黒髪黒目の一人の男性が話しかけてきた。
水着ではなく、レザーアーマーで防御力がしっかりありそうだ、武器はなにも持っていないが、ナナサカさんみたいに質量のないデータとして保持しているかもしれない。
顔は高田のままだ、故に彼が高田なのだろう。
「やっほー錬那!この世界ではTTと言ってくれ」
「TT?高田じゃなくて?」
「ゲームで使ってるネームだよ、錬那みたいに名前をダイレクトで使ってる人なんて殆どいないからな?頼むから高田とはいうなよ?」
『TTからフレンド申請が届きました』
『TTからパーティ申請が届きました』
取り敢えず高田…TTからのフレンド申請を受理して、パーティ申請も受理して、パーティを組む、その結果、自分のHPバーの下にTTのHPバーが現れた。
…レベル差等で生じるステータス変動の通知が来ない、自分とTTのレベルが近いのかな?
「貴方がプログラミング?が得意なレンナさんのお友達?」
「ああ、お調子者で宿題は基本極限まで後回ししていたTTだ、彼女がフェルちゃんかよろしく頼む」
「聞いてたのか…」
胸ポケットにひょっこり顔をだし、TTを見るフェル。
「……しかし妖精か、ドワーフやエルフ等は見かけたことあるけど、妖精は初めて見たな」
「こっちは、エルフとドワーフは見たこと無いぞ?」
「まあ、エルフはともかくドワーフは意外と見分けつきにくいからな、それにドワーフやエルフの姿を模したプレイヤーも多い、尖耳というアクセサリーとかあるからな」
「へーそうなんだ、他プレイヤーをあんまり観察して、見てないから、わかんなかった」
今までの冒険中、自分の事で結構いっぱいいっぱいだったからな。
「意外と無関心だな…ともかく、せっかくなら雪山で素材を手に入れるイベントクエストもあるなら、それを受けていから行こう、それに防寒対策もしっかりな」
「防寒対策て、どうすれば良い?」
「海の家というショップで、耐寒バフを得られる薬があるから、それを余裕を持って買っておいたほうが良いぞ」
TTの案内で、雪山関係の素材採取イベントクエストを受ける、そして海の家で飲むと1時間ほど耐寒効果を得られる薬を16本ほど買って、自分達は雪山へ向かうのだった。