チュートリアルと体操服
『共鳴
自分と違う異種族と強く心を交わした者が得るスキル、心を交わした異種族によって効果が変わる。
妖精フェルとの共鳴効果:フェルとそばにいる時のみ効果発揮する、戦闘時は武器に属性、特殊効果が、製造時は製造したものに属性、特殊効果が付与される可能性がある。』
手に入れたスキルの効果を確認する、その効果を後ろからみていたユリがはしゃぎだした。
「凄い属性、特殊効果付与がほぼノーコストで発生する効果なんて!」
「凄いのか?」
「凄いよ!属性、特殊効果の素材は調達めんどくさいし、加工難易度が跳ね上がったりするから、特殊効果が付与された物は高いんだよ!これは早速お兄ちゃんに装備作って貰わないとね!」
「いや、力のステータス不足で鍛冶に使うハンマー装備できないんじゃ…今日はもう戦いたくないんだが…」
はやるユリを抑える、あんな巨大蜘蛛に襲われるという、一歩間違えたらトラウマになることをしたんだ、ちょっと今日は勘弁して欲しい。
「大丈夫ですか?レンナさん」
「大丈夫、ちょっと精神的に疲れただけだし…」
「うーん…あ!少し待ってて!あ、あと今のうちに言っておくよ、町の中でフェルをあんまり人に見せないほうがいいよ、喋る妖精が仲間になるなんて初めて聞いたし、それが広まると確実にトラブルを引き寄せるからね」
そういって、倉庫みたいな所をガサゴソし始めるユリ、むう…だがフェルを隠すにも限度がある…どうすればいいんだろうか?
「もしかして、私はいるだけで迷惑かけるんですか
…?」
「いや、大丈夫だよ、変なやつに絡まれたらなんとかする、それにフェルよりそこのユリの方がめっちゃ迷惑かけてくるから、こっちが虫嫌いなのに虫が沢山出てくる森に行かされたし」
「お兄ちゃん遠慮がなくなって、言うようになったねー!あ、見つけた見つけた!」
悲しげに顔を伏せたフェルを元気づける、それに気づいていてこっちの下手な慰めを怒るのではなく、楽しげにこっちの文句を軽く流すユリ、そしてユリの手には体操服みたいな服が握られてた。
「お兄ちゃん!これに着替えてよ!」
「え?」
「これは着てるだけで力を高める装備だよ!装備方法は二種類あるけど、システム的に物理的なのがあるから好きな方選んでよ!」
「まて、まずはシステム関連を教えてくれ、俺はあんまりゲームしないから、こういうの疎いの忘れてない!?このゲームチュートリアルもなくて困ってたんだけど!」
そう言うと、ユリはあーと、何かに気づいたかのような表情をしてからこういった。
「ごめん、お兄ちゃん、最初にチュートリアルやらせるの忘れてたよ★」
「おいいいい!?というかなにその目から星のエフェクトは!?」
「今教えるよ!!」
こうして妹に色々と教わりつつ、全身を体操着のような防具に着替えるのであった。
『体操着のセット効果が発動しました
力、敏捷に+5』
本来の体でも恥ずかしいが、今の体は美少女に近い体だ、どうしたも恥ずかしさが込み上げてくるな…しかも胸に何故かレンナと刻印されてるし…。
でも効果的にごく僅かな防御性能だった初期装備の寝間着より強い…寝間着より半袖半ズボンと露出多いのに…。
「うーん、お兄ちゃんが妹になると、こうも可愛くなるのか…ランダム作成様々だね」
「おい、普通の服で力を上げる装備てなかったのかよ、なんか完全にユリの趣味に走ってないか?」
「…あっても、それを選ぶ権利は服の持ち主の私にありますよー」
あったんだな、くそ…まあ、いいや、タダで貰ってる以上文句は言えない。
それに鏡で確認したが…似合ってるんだよな…二次元特有の整った体と顔だからこそなんでも似合うようになるというやつか?
「あと、これ!鍛冶で使うハンマーと預かってたシャベル、フェルは体操服の胸ポケットに隠してよ」
「わかりました、レンナのポケットの中に入ってますね」
「うん、ありがとうな」
ハンマーを見る、ずっしりとしていてシャベルより攻撃力があるが、リーチが短く戦闘では使いにくいだろう。
「それで鍛冶屋に行って、鍛冶仕事するのか?」
「うん、案内するからついてきて、私の妹よ!」
「頼むから妹と呼ぶか、兄と呼ぶか片方に絞ってくれ…」
こうして新たな装備、体操服とハンマーを装備して、妹の後についていくのであった。
因みに自分の呼び方を絞ってくれという要求は、却下された。