共鳴の試練、追体験:最悪の厄災の記憶の終章
「ユキさん!氷だけじゃなくて他の属性の攻撃をしてみましょう!エレメントブースト!スピードアップ!」
「わかった、チェインライトニング!フレイムタワー、ホーリー!」
様々な攻撃魔法で攻撃するユキさん、ちょっと待ってそんな一気に複数の属性で攻撃されると、どれが有効な弱点属性がわからないよ!
「むう、一気に攻撃されると流石に全て吸いきれないな…」
「火属性が弱点ね!」
わかるの!ユキさん!?でもさっき吸ってたよな…?弱点属性でもカウンターしたらノーダメージなのか?
「時間を稼ぐわカギロイ、門を!アースチェーン、アイスチェーン、サンダーチェイン!」
氷、土、雷の3種の鎖がオールモスキートを縛り付ける。
「おやおや美味しそうな鎖ですね…」
口を伸ばして、鎖を吸い始めるオールモスキート、すると雷の鎖は消えてゆき、氷の鎖は溶けて、土の鎖はボロボロになっていく、鎖の力を吸ってるのか!?
「開け!妖精火門!敵の全ての焼き尽くせ!」
カギロイが天に向かって剣を突き上げると、オールモスキートの頭上に魔法陣が展開されて、一気に炎が吹き出してオールモスキートを飲み込んだ!
妖精火門!カギロイも使えたのか!あれならただじゃすまな…いや、駄目だ!これで勝ててるなら、フェルが蜘蛛に食われかけてる事が起きないはずだ!
「下がって!カギロイ!」
「え!?わ、わかった!」
カギロイが下がって距離をとる。
今の言葉で共鳴率若干下がった、フェルなら明らかに決まったように見える初見で、カギロイに下がれとか言わないか、でも仕方ない!
「ふふふ、すごい力だが、当たらなければ勿体ない」
「な!?」
妖精火門から出た炎が消えると、そこにはなにも無かったが、色んな所の黒い…いや蚊が動き出し、一点に集まるとウゴウゴと蠢き、オールモスキートになった…小さい蚊に分裂して避けたのか!?
驚愕するカギロイ…やばいな今のでカギロイの手札ほぼ使い切ったようなものだぞ…というかMPが殆どないせいか、飛行がふらふらだ…。
「そりゃあ、あんなに拘束して大技放ちますよーと予告してたら対策しますよ」
「だ、だからってノーダメージで凌ぐなんてありえない!」
「秘密です、切り札はバレたら切り札じゃなくなりますのでね…貴女の血を吸わせてもらうなら考えますが…?」
「ユキさん!オールモスキートの視界を奪って逃げましょう!妖精火門でカギロイさんの魔力が尽きたなら、これ以上戦うのは、危険です!」
共鳴率がまた下がり30%になる、あーくそ、フェルは具体的な行動指示とか出さないよな…でもこれ以上戦うのは危険だ!
「…そうね!ロックウォール!カギロイ、力を抜いて、テレキネス!」
オールモスキートを石の壁で包み、カギロイを魔法で引き寄せてもう片方の肩に乗せる、カギロイはMP回復の力を持っているのか、なんとか巨大な剣を浮かせて運んでいる。
「掴まってて、二人共逃げるわよ!」
「はい!スピードアップ!」
「くう、皆は何処に逃げたんだ?」
走り出すユキさん、背後を見ると石の壁はあっという間にボロボロに壊れていった。
「ふむ、逃げるなら彼に行ってもらいましょう」
そんな声が聞こえたらと思ったらズズズ!と揺れと同時に地面からオオムカデが現れた!
あれは…セカンドクエストのやつか!?
うわ、凄い勢いでこちらに来ている!
「…ユキ、後ろからオオムカデが来ている、私が足止めをするので、フェル様をユキの世界に逃がしてくれませんか?」
「馬鹿!あんたが居なくなったらどうやってこの世界に戻ってくるのさ!それにあんたも鍵もMP回復中でしょ!?魔法剣士なのに魔法無しで戦うなんて自殺行為よ!MPがない今、長時間も飛べないでしょ!?」
「そうだとしても!このままでは、オオムカデに追いつかれて全滅です!だから…さらば!」
「ちょっと待って!………届いてパワーアップ、スピードアップ!リジェネレート!」
呼び止めたが、カゲロイはユキさんの肩から飛び降りて、オオムカデと交戦を開始した…届いたか分からないが、補助魔法を唱える…くそ、悔しい!
共鳴率が上がる…ああ、くそ、フェルも同じ悔しさを味わったのか…。
「嫌だ、嫌だ嫌だ!絶対に死なないでカギロイ!」
ユキさんの足が一瞬止まりかけたが、再び走り出す、頑張ればオオムカデだけなら倒すことは出来るかもしれない…。
たがオールモスキートが追いかけてきたら詰みだ、それを理解してユキさんは泣きながら数分ほど走った後、壁と地面に大きな魔法陣が書かれた神殿?のような場所にたどり着いた…あれは転送の魔法陣か?
周辺に花畑があるが、虫食いのよう食い漁られた花畑もある…ここも虫に襲われたのか?
「よし、こうなった以上、バレてでもあいつに相談を…」
「おや遅い到着で」
「嘘でしょ!?」
魔法陣の前に立ち塞がるようにオールモスキートが現れる。
「ふふふ、メインディッシュである貴女を逃すわけないじゃないですか?この世界に人間は貴女だけですし」
「……そう、それなら良かったわ」
「ゆ、ユキさん、早まったら駄目です!今は逃げましょう!」
くそ、どうにかして二人で転送の魔法陣に…。
「テレキネス」
ユキさんの魔法で自分の…フェルの体が浮き出す。
「…アイスコフィン…氷よ彼女を守って」
「え…ユキ……」
体が凍る、ヤバい、視界しか機能しない、ユキさんなにを!?
「妖精ばかりに注意してていると、こうなりますよ」
ドス!とオールモスキートの長い口がユキさんのお腹に突き刺さる…。
ユキさん!!
「くう!せめてフェルを…逃がす!」
氷に包まれた自分の体はユキさんの魔法で転送の魔法陣に投げ込まれた!
魔法陣に飲み込まれる直前に見えたのは赤いエフェクトに包まれるユキさんの姿だった…。
『共鳴の試練をクリアしました』
…クリアしたみたいだけど何も嬉しくない!
頑張ればユキさんやカギロイが助かる展開とかあったのかな、でも仮にフェルの体じゃなくて自分の体だったとしても…厳しかったのかな?カギロイと同じ切り札、妖精火門も効果なかったみたいだし…。
この後はどうなるのかな…?