共鳴の試練、追体験:最悪の厄災の記憶の序章
『共鳴の試練、ハードモード
目的
今までの思い出と記憶を元にフェルとして、次の追体験:最悪の厄災の記憶を生き残れ。
成功条件
転送の魔法陣に飛び込む。
失敗条件
共鳴率がゼロになる、死亡時
特筆事項
共鳴率はフェルらしくない行動をするほど下がる。逆の場合は上昇する。
記憶の追体験の為、失敗条件を満たした場合、リトライが可能です。
またこれは追体験です、どれだけ努力しても現実の事実は変えられません。』
試練の内容と共に、ハイとイイエのボタンと、視界の端に共鳴率70%という文字が現れた。
なるほど…今まで経験を元に、フェルとして行動すればいいのか…いささかフェルの記憶で得られた情報が少なめだが…ハードモードだからなんだろう。
そして最悪の厄災の記憶か、つまりフェルの故郷を襲った、化け物の姿を確認できるのか…。
もしかしたら化け物の強さも、把握できるかもしれない。
「よし!行くぞ!」
気合を入れて、スタートボタンを押す、すると視界いっぱいにノイズが走り、次の瞬間にはテーブルとノートが視界に写った。
すぐさま持ち物を確認する…筆記用具と思われるペンのみ、着ている服はフェルと始めてあった時に着ていた、植物の服みたいだ…。
「オーイ、急にポケット探ってどうしたの?フェル?」
顔を上げると、不思議そうにこちらを見つめるユキさん、あ、授業中だったか!?
「い、いえ、ちょっと失くし物を…」
「え?何を失くしたの?一緒に探すから教えてほしい」
「えーと…家の鍵です」
「え?家の鍵?何を言ってるの?貴女が家の鍵なんて…?」
『共鳴率がゼロになりました…試練は失敗です』
ユキさん話しかけられてからて、咄嗟に嘘付いたら、一気に共鳴率がゼロになった…視界が真っ暗になる。
待って、フェルは家の鍵を持つ事がかなりおかしいのか!?もしかしてフェルの故郷て治安良すぎて誰も鍵を持ってないのか?
ええい、リトライだ!持ち物も確認出来たし、次は不審がられずに済むはずだ!
リスタートを押して、再び花畑に舞い戻る。
「これで本日の授業はおしまい、分からない所はあった?」
「いえ、大丈夫です、ユキさん…」
そういうとユキさんは少し頭を傾げた。
「どうしたの?なにか、不安そうな声を出してるけど…」
「いえ、少し嫌な予感がして…」
「え!?」
そう言うとずん!!と地面が揺れる…あ、やべぇ…フェルの背中にある妖精の羽で飛ぶべきだが、飛び方が分からない!
「フェル、こっちに!」
「はい!」
ユキさんがこちらに手を差し伸ばしてきたので、そちらに飛び乗ると、肩に乗せてくれた、落ちないように服を掴む。
辺りを見渡すと遠くで黒い煙が上がっていた…いや、煙て、あんな真っ黒一色になるものか!?それに動きが煙じゃない!?
「なに、あれ…?……虫?」
「え!?虫ですか!?」
虫!?嘘だろ、信じたくない…。
すると一部の黒い煙がこちらに飛んでくる…。
「バリア!ワイドキャスト!コンセントレーション!」
純白の杖を取り出して、補助魔法を使い、戦いの準備を整えるユキさん。
「う、嘘でしょ!?」
黒い煙がこちらに近付き、より正体が分かる、それはイナゴやカナブン、蝿等の群体だった、数多の虫を視認して恐怖がこみ上げるが、なんとか悲鳴を上げずに済む…。
取り敢えず、フェルの使える補助魔法をユキさんに使わないと!
「エレメントブースト!スピードアップ!」
「ありがとうフェル!チェインライトニング!」
杖から迸った雷が数多の虫を貫く!
黒い煙、虫の群体は地に落ちた…。
「ユ、ユキさん、皆と合流しましょう!」
「ええ、まずはカギロイと合流しましょう!あれだけの数、私の魔法だけじゃ対応しきれない!」
そう言って、走り出すユキさん、振り落とされそうになるが、必死にしがみついた。
共鳴率は60%、少し落ちてるが虫に驚いた分かな?
どちらにせよ気にする余裕はない。
頭の中には嫌な確信が満ちる、セカンドクエストのカギロイの武器が刺さってたオオムカデ、今見た大量の虫の群体…ほぼ確定だ、フェルの故郷を襲った化け物は虫の軍団だ…。
群体が戦闘員で、オオムカデが幹部か?じゃあボスは…?
逃げたい心を抑え込んで、ユキさんの服にしがみつくのであった。