クエスト:共鳴の試練開始
水着からジャケットとコートに着替えた自分達は、ナナサカさんから貰った地図を頼りにツー街の端っこにたどり着いた。
「ここに、共鳴の特殊なクエストがあるはずなんだが…」
「特殊な依頼…ナナサカさんが強くなる際のアドバイスの時に言ってたから、強さに繋がる…はずですよね、レンナさん?」
二人して辺りを見渡していると、老婆がこちらに近付いてくるのに気付けた。
「ほう、妖精と共鳴する人が居るとはの…」
「共鳴に関して詳しい人ですか?ナナサカさんに教えて貰って来たんですが…」
「ナナサカ…?その方は知らないのう、だが共鳴に関しては詳しいのは確かじゃ、見た感じそれなりに絆を紡いでる…それなら共鳴の試練を受ける事が出来そうじゃのう、受けるつもりがあるならついてくると良い」
歩き出す老婆、それについていくと、変哲のない建物に入っていく、その建物に入っていくと、病院の診察室みたいな部屋が目に入る。
ベットが3つあって、そのうちの2つは機械がついた棺のようになっている…。
「さて、試練に受けるに関しては一つの注意じゃ、共鳴の試練は死にはしないけど、色々と種類がある、事によってはお互いの黒歴史を見て、見られたりして、関係が破綻する可能性はゼロではない…それでもやるかい?」
「フェルが嫌なら受けないが、どうする?」
「受けたいです!私も強くなれるかもしれないので!」
フェルは乗る気のようだ…自分の黒歴史は…なんだろうか?思い出せない…まあ、ひたすら親の仕事に憧れて鍛冶屋の修行してたからな…。
「ふむ、ならそこの機械のついたベッドに、別々で横になっておくれ、寝ている間無防備になるが…その間は誰にも襲われぬので安心するのじゃ」
「わかった、フェルはそっちに」
「はい」
棺のようなベッドに横たわる、現実でも機械を付けてベッドに横になっているが、ファンタジーフリーダムの中でも似た感じになるのは、少し笑えてくる。
横になると、自動で透明な棺の蓋が閉まる。
すると一気に眠気が出てきて、目を閉じた…。
『スリープモード起動
シンクロシステム接続
Aコネクタ、フェル
Bコネクタ、レンナ………変換、錬那として入力
共鳴深度7.1、ハードモード、欠落の声起動
ソウルダイブを開始します』
眼の前で文字が浮かび上がる…ソウルダイブてなんだ?というか錬那て…何で現実の名前が!?それにハードモードて…。
「……ねぇ!…………ねえ!」
誰かの声が聞こえる…知らない人の声だ、だけど優しげで心地よい声だ。
「ねぇ、起きて、フェル!」
目が勝手に開く、そこにはフェルが大人になった姿でいた…いや人間サイズになってる!?
「な、フェル!?」
うわー可愛さが奇麗になってる!手足伸びてる!?
「もーお寝坊さんね、フェル…ほら顔を洗って着替えなさい」
「え?」
大人フェル?がフェルに話しかけてる?疑問に思っていると、勝手に体が起き上がり、ふらふらと洗面台のような所の体は移動する。
「え!?フェル!?少し幼い!?」
鏡が少し幼いフェルの姿を映し出す寝間着で表情は眠たげでリラックスしきっていて、無防備だ…自分の視点は完全に幼いフェル視点だ、もしかしてさっきの大人フェルはフェルのお母さん!?
これはフェル視点の過去?じゃあフェルは逆に自分の過去を見ているのか?
取り敢えず分かるのは、自分に体の操作権は無く、こちらの声も届いてないということだ、あとフェルの声が聞こえない…欠落の声て一部の声…フェルの声が聞こえないという、そういう事か?。
「もう、今日は魔法の授業でしょ?早く着替えないと先生待たせるわよ」
フェルのお母さんの声を聞きつつ、幼いフェルが魔法で水をだして、顔を洗う。
すると視界に強いノイズが走り、場面が変わる、見た感じそれは魔法の授業だった…。
それで1番注目したのは、魔法の授業をしていたのは自分と同じ白目白髪の女性でロングヘアーの巨人…いや、大人の人間だった…更に驚いたのは…。
「それじゃあ魔法の授業を始めます、家庭教師は私、大時雪が務めさせていただきます!ユキと呼んでいただければ嬉しいです!」
オオトキユキ…装備もカラーがチグハグで統一感なく、ポンチョを着ていて、手足はゴツい金属鎧に覆われた、明らかにプレイヤーだった…。